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2007年2月

2007年2月27日 (火)

質問2

子供は知りたがる生き物であり、聞きたがる生き物でもある。

前回の話の続きがある。知りたがり聞きたがる子供と、それに答える大人たちの攻防。ブタの貯金箱から、幾分かの時間のクッションを挟んだ後のことだった。

うちのババァと知り合いの子供の女の子が出かける準備をしていた。どこに行くのか別に興味もないし、僕はババァの背中に、親指を立てながら、グッドラックとつぶやき、こたつに潜り込もうとした。

ところがである。

ババァがこっちを向いて手招きをしている。

嫌な予感がした。嫌な予感というか、まぁ十中八九そういうことだろう。

いやだ。

ババァが口を開く前に僕は断りの一報をいれた。僕は行かない。なんでこんなクソ寒い中わざわざ。冗談じゃない。

ところがである。

ババァが女の子に耳打ちをした。女の子がこっちによってくる。

嫌な予感がした。まぁ案の定である。

「お兄ちゃんも一緒にいこうよ!」  子供を使うとは、なんとまぁこすい手を。しかし、これからコタツに入って昔のこち亀でも読み返そうかと思っていた僕に断れる理由は一つもなかった。

これが女子高生ぐらいの女の子だったら、ババァを昏倒させてでも二人で出かけたいものだが、確か小学校1、2年の女の子。浮かない話である。せめて小学校3、4¥年であって欲しかった。

「しょうがないでしょ、この子と話合うのあんたぐらいしかいないんだから。」

ババァぐらいになると子供は大体みんな同じ具合に見えるのか、それとも僕がただなめられているのか、ババァの発言の真意は定かではない。

実の息子と小学校低学年の女の子を前に、若い子のエキスをいっぱい吸っとこう、などとババァが自宅の玄関でご乱心。そのセリフが言いたきゃホストクラブでも行け。お前は吸血鬼か。

とにもかくにも僕達は、三人で出かける事になったのだ。

そんな僕たちが駅前に差し掛かったときである。

お世辞にも綺麗とは言えない方々が、路上で雑誌を100円で売っていた。漫画雑誌も写真週刊誌も、今日発売だろうと、すべてが一冊100円で買える。いろんな駅近くでこのシステムを見かけてきてきたが、うちの最寄り駅近くではリヤカーに商品を乗せているスタイルだった。商品である雑誌は拾ってくるのか、よくわからない。

嫌な予感はしなかったのだが。

子供は知りたがるし聞きたがる。また無垢であり無邪気であり無知である。

おいおい、指差して「あれなぁに?」とか言ってるよ。

僕は黙っていた。質問は僕にではなくババァに向けられていたからだ。

もちろんババァにはそれがなんだかわかっている。ただ社会の白でない部分を教えるのは簡単なことではない。「子供はどうやって生まれるの?」という質問にいくつも答えがあるのと一緒である。

しかしここで、知らないと言うババァではない。見栄だけは人一倍強い女だ。子供の前とはいえ、降りる女ではない。

さぁどうでるか。

どれ?どれ?などと最初は質問をかわそうとしていたが、子供の前では通じない。

やっと何かを決意したのか、ババァの視線がそれに向けられた。

「・・・あれはね、100円ショップよ。」

おいおいおい、それはまずいだろ!せめて本屋さんとかだろ!しかも、調子に乗って、

ダイソーよ。」

とか言い出す始末。ババァ引き返せ!

そんな心配をよそに、女の子は、「ふーん、そうなんだ。」とすでに次の対象に興味が移っている様子だった。

そんな子供らしさに助けられるとは不幸中の幸いとでも言うべきか。

まぁその不幸自体が、全ては子供らしさから始まったのだが。子供は知りたがり聞きたがり、そして無垢で無邪気で無知である。

ババァはなぜか得意げな顔をしていた。

いやいや全然いい答えじゃないからね!?

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2007年2月26日 (月)

質問

子供は知りたがる生き物である。そして、聞きたがる生き物でもある。

先日のこと、我が家に知り合いの女の子が遊びに来ていた。まだ年端もいかないちびっ子である。我が家を駆け回ってはツボを倒し、ツボを立て直しては中にティッシュを入れている。あぁ素晴らしき愚行。っていうか、あんなツボうちにあったっけ?買ったのかな?そのツボの入手先に何故だか妙に不安になる。まさか幸福を呼んだりしないだろうな。

そして、その子がまた何かと知りたがるのだ。僕に何かと聞きたがるのだ。

この子達の知識欲はまぁ半端ではない。何でも気になって気になって仕方がないのだろう。ここで間違った知識をつけさせ、大人になったときに恥をかかすのも一興だが、他人様のお子様ゆえ、そうもいくまい。

しかし答えられるものならまぁいいのだが、こちらがわからないことも少なくない。こんなとき大学で得る知識など大抵は役にたたないものである。そんな質問の中にはこちらもつい考えさせられるものもある。

ただし、威厳にも関わるため、そう簡単に知らないとも言えないのだ。最近の子は平気で、ごく簡単に人を見限ったりするから怖い。一度、このお兄ちゃんダメだと思われたら、その信用を取り戻すのは容易ではない。(大人にそう思われるのはもっと怖い)

ちなみに、こんなに小さい子にすらも気を使うのが世の中のうまい渡り方だと思う。(できれば違う道を選びたい)

「なんで貯金箱はブタなの?」

知るか。でも確かに貯金箱といえばブタである。なぜブタなんだ?別にゾウだってシマウマだってバイソンだっていいじゃないか。なかなかいい質問じゃないか。こっちが答えを知りたいぐらいだ。なぜ人はブタの貯金箱をハンマーで叩くのだろう?(ベタなイメージ)

わかりません。しかしそうは言えません。このクソガキがいつか大化けする可能性もあるので、ここで見限られるのはおいしくない。何か言わねば。

「ほら、あのブタって人からすると殺しやすいじゃん?」

それを近くで聞いていた僕より大人から怒られた。なんだその答えは。意味がわかったからか、それともわからなかったからか、女の子は悲しそうな顔をしていた。

やってしまった。夢も希望もない。もしこの子が「大人なんて嫌い」と、家を飛び出したら僕のせいだ。

なぜ貯金箱はブタなのか、知っている人がいたら是非ご一報ください。

誰かこの女の子を救ってあげてください。

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2007年2月19日 (月)

下町七不思議 其の二

世界には未だに解明できない怪奇現象や生物が確かに存在している。そして東京のとある下町で起こったそんな不可思議を紹介していくコーナー「下町七不思議」。これらの話はすべて確かに起こった事実である。
恐怖への扉が今開かれる・・・・。


━ジジィ樹の快

ジジイ樹(じじいじゅ)。

天気のよい日、陽だまりの下の公園のベンチなどで目撃することができる。夕方、日が落ちると住処へ帰って行く。動きは遅く、どうしてもそのベンチに座りたいとき以外は被害もない。とにかくベンチに座って動かない。もしかしたらベンチに根付いているのかもしれない。太陽光をありがたがるところから、おそらく光合成をしているものと思われる。しかし、そこで水を欲しがるかと思いきや酒(日本酒か焼酎)のほうが喜ぶなど、まだまだ謎が多い妖怪。酸素はそれほど必要としない。肌は乾燥してパッサパサ。

出かけるとき通りかかった公園で発見、用事を済ませた帰り道にまたその公園を通りかかったらまだいる、なんてパターンも少なくない。ジジイ樹よく似た妖怪で高い鉄棒にただただぶら下がっているジジイ蔦(じじいつた)もいる。姿だけではなく、行きも帰りもぶら下がっているという点も酷似している。ただジジイ蔦はジジイ樹に比べ動きも俊敏で活発である。そんなジジイ蔦がジジイ樹より先にポックリ逝ったりするからわからない。

孫に弱いジジイ樹。

ハトがよく似合うジジイ樹。

声をかけたり、挨拶をすると喜ぶ。ただ口数は多くない。他に音に反応する植物としてはフラワーロックなどがある。

よく見たら身内だったりする

なおジジイ樹に関する目撃談が寄せられた。

S藤 アナスイさん・21歳・大学生 からの目撃談

「いやぁよく見ますよ。うちの近くに割りと大きな公園があるんですけどそこではもうしょっちゅうですね。特に春先なんかは。まぁ大体4割ぐらいはうちのおじいちゃんなんですけど。ぶら下がってる方とも仲いいみたいですよ。あ、でもあんまり好きではないみたいです。」

なぜずっとそこにいるのかは孫のアナスイさんにもわからないという。

「なんですかね。え?光合成?かも知れませんね。ただ家でご飯食べてますよ。えぇ、そうです、基本は魚です。」

みなさんもジジイ樹を見かける事があるかもしれない。そのときはどうか声をかけてあげて欲しい。ジジイ樹はどちらかというと若い女の子に声をかけられたほうが喜ぶ。あらゆる意味で枯れてないのだろう。

しかし冷たい言葉はご法度だ。なぜなら彼らは陽だまりの温度を好むのだから。

世界には未だ解明できない怪奇現象や生物が確かに存在している。今ロウソクの火がまた一つ消された。

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2007年2月16日 (金)

sibuya

先日柄にもなく渋谷という街に行ってきました。ものすごい久しぶりです。センター街以外はたまに足を運んではいたんですけど。いや、かなりの人の数でした。
お友達のお買い物に付き合って行ったんですがすごいですね、あの街。やりすぎです。やりすぎというか、わかりやすすぎる。
 僕は渋谷と聞くとギャルだのギャル男だのっていう連想をします。でもそれは外国人が今でも日本に侍がいると思ってる程度の浅い考えでした。実際今の日本でそんなことやってるのはカンカラぐらいですからね。マイナーなお笑い芸人出してしまいました。誰もわからないかも。すいません。
 話を戻します。そう、渋谷です。実際にギャルとギャル男ばっかりなんですよ。おいおい、イメージ通りもいいところだぜ、と。そんなに忠実に表現してくれなくてもいいじゃないか、と。
 まぁ僕も人間観察は嫌いなタチじゃないいんで彼らを眺めてたんですね。あの青い髪はどうやって作り出したんだろう、ネズミにかじられたのかな、とか。脳みそにお経書き忘れて持ってかれちゃったのかな、とか。
 でもなんかちょっとかっこよかったです。みんな同じような顔してるんだけどそれなりに色気があって。背高いとああいう格好って似合いますね。僕はあれなんでしないですけど。そしてギャルの子
達ってエロいですね。セクシーです。露出が激しい。なんであんなに露出するんでしょう? 僕としては願ったり叶ったりだからいいんですけど。よいしょって感じでした。
 まぁそれで、お買い物も終わって。何もすることがなくなったんですね。渋谷なんて完全アウェイですから。どこで遊んでいいかわからない。それでとりあえずハチ公前に座ってみました。ここに座ってたらなんかおこるんじゃねぇかって。20分ぐらい。しかし何も起こりませんでした。あれだけ人がいるんだから一人ぐらい話かけてくれてもいいと思うんですけどね。
 それからご飯を食べることになったんです。僕も一緒にいた友達も渋谷なんて詳しくないですからね。とりあえず間違いなさそうな定職屋に入ったんです。和食の。入り口をくぐるとなかなか落ちついた感じで。あ、こりゃ正解だったなって思ったんです。
 でもなんですかね、渋谷って。店員がギャルなんですよ。とりあえずそこでいやな予感はしました。でもまぁ渋谷だし、こういうこともあるよなって。納得したんです。態度も悪いわけじゃなかったし。その納得が粉微塵にされたのがまぁ2秒後ですね。スウェットなんですよ、店員。スウェットのギャルにエプロン。そんなアダルトビデオがあったらそれはそれでエロいかもしれないですけど、こっちはご飯を食べにきてるわけですから。オカズ違いもいいとこですよ。
 それでもまぁいいや、と。僕はそこまでマナーだとかにうるさい人間じゃないんで。とりあえずタバコに火つけて一服しました。
 しかしほんとにわかりやすいですね、渋谷って。タバコを吸って落ちついた僕の耳に入ってきたのは店内に流れるBGM。それはレゲエでした。そこまでやるか、と。いやいやレゲエが悪いわけじゃもちろんないですよ。ただ和食の店にこの選曲はどうかと。だってその底無しに陽気な音楽の元で運ばれてくるのはサバの味噌煮ですよ。どんだけミスマッチなんだよ。いや、そもそも俺サバの味噌煮なんか頼んでないし。どうやらギャル店員が隣りのテーブルと間違えたようです。
 うーん、客層からしてそういうのもありなんですかね。
 ギャルでもなんでいいと思います。そんなのは自由です。ただ客に不快感をあたえちゃうのは違うでしょ。お金貰ってんだし。さすがに他の客も苦笑いでした。
 この後店出てすぐ電車に乗ったんで渋谷にいたのは3時間ほどだったんですけど結構楽しかったです。たまにはこうゆうのもありですね。あの店員のおかげで渋谷を理解できました。アゲアゲ。

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2007年2月10日 (土)

2文。

うちのおばあちゃんがポカリスエットのこと「ポカリス」って言ってた。
 なんだかちょっとドキドキした。

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2007年2月 8日 (木)

下町七不思議

世界には未だに解明できない怪奇現象や生物が確かに存在している。そして東京のとある下町で起こったそんな不可思議を紹介していくコーナー「下町七不思議」。

恐怖への扉が今開かれる・・・・。


━こうもりババァの怪。

こうもりババァはとある建物の二階にある美容院から出現する。どういうつもりか頭にはロッドを巻いたまま、体には切った髪の毛が服につかない為の、あのケープというか前掛けをつけたままの姿で現れる。ケープの色は漆黒。その異形たるや凄まじいものがある。異形も異形。その姿を見たものはあまりの恐怖にその場で立ちすくんでしまうであろう。
こうもりババァの怖さはそれだけではない。こうもりババァの動きは非常に機敏だ。階段を一段ずつ下りてきたと思えば、最後の三段ぐらいでジャンプして着地するのだ。ババァの動きとはとても思えない。我々の常識が通じる相手ではない。もし追いかけられたとしても、この飛行能力の前では逃げることは不可能だろう。
その最後のジャンプをした時に、漆黒のケープの中に風が入り、ケープが膨らむ。その姿がまるで巨大なこうもりが翼を広げているように見えるところから、こうもりババァと呼ばれるようになったようだ。
そしてこうもりババァは目的のために手段を選ばない。その姿のまま、近くのコンビにへと入っていく。そうして店内にいる人もまた、恐怖のどん底へと落とし込まれる。
そして狙った獲物(おでん)を捕らえたババァは、満足そうにまた美容院へと戻っていくのだ。

こうもりババァの目撃談が寄せられた。

S藤 アナスイさん・21歳・大学生 による目撃談
「えぇ、そりゃもうビックリしました。まさかあの姿のまま出てくるとは。何か階段で飛んだし。夜だったらちょっと泣いていたと思います。きっとパーマでもかけてる最中に小腹が減ったのでしょう。それから気になってずっと見てたんです。でもお釣りを募金箱に入れてたし、もしかしたらいい妖怪なのかも知れません。え?お会計は全部小銭でしたよ。」

この事件以来S太さんはこの美容院の前をなるべく避けているという。もう二度とこうもりババァの姿を見たくないからだそうだ。

「そうですね、次会ったらなんだか生まれ育ったこの街が嫌いになっちゃう気がして。」

みなさんも二階に美容院がある建物の前を通るときは、気をつけたほうがいい。こうもりババァが漆黒のマントをひるがえし飛び回っているかも知れないのだから。

世界には未だ解明できない怪奇現象や生物が確かに存在している。今ロウソクの火がまた一つ消された。

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2007年2月 7日 (水)

そうだな

 この本屋でバイトを始めてもう2年近く経つ。

 ある日のバイトのこと。僕の説教が狭い店内に響く。僕の前では新しく入ったバイトの女の子は僕の話を聞いているのか聞いていないのか俯いていた。とても寒い日の午前だった。
 新人の女の子はこの日、30分ほど遅刻をしてきた。いい訳を聞けば許されてもいい理由ではあった。しかし僕は説教をする。
 「30分も遅刻するなんて何考えてんだ?」
 僕は彼女を責める。ヒートアップは止まらない。外の寒気と店内の熱気が交錯する。それでも僕は説教をやめなかった。
 「お前のせいでどれだけ迷惑がかかったと思ってんだよ」
 店内は緊張感で満たされ、いつもの姿はない。女の子はもう随分と口を開いていない。小さい体がより小さく見えてきた。よし、そろそろか。
 僕は普段まったく怒らない。この日だって例外ではない。決して寒さでやられていたわけでもない。そう、ぼくはこの時まったく感情的には怒りのかけらも抱いていなかった。
 ではなぜ説教をしたのか。そこにはある計画があったのだ。新人の女の子が30分遅刻したこの日、僕は27分ほど遅刻した。しかも理由はただの寝坊であった。ちなみに僕はほぼ毎回のようにバイトに遅刻をする。たまに時間より早く着いたりすると心配されるほどだった。つまり絵としては、救いようのない理由で遅刻した僕が仕方がない理由で僕よりたった3分遅れて来ただけの子に説教をしているのだ。そしてその事実を知らないのはその女の子だけだった。
 理不尽だと思うだろう。しかしこの理不尽さこそが今回の計画のポイントなのだ。僕の描いた計画はこうだ。僕は女の子に説教をする。そして頃合を見計らって店長にふる。「店長も新人になんとか言ってやってくださいよ」。きっと人のいい店長は何も言えない。ここで再び沈黙が訪れる。それを打開するかのように僕が店長に言う。「やっぱり遅刻はよくないですよね」と。そうすると店長は僕になんとつっこむだろうか。「お前が言うな!」なんて妥当かな。
 そこで僕が「そうでした!」と舌をペロっと出せば、店内はドッと沸く。さっきまで小さくなっていた女の子も「もうやだぁ」などと僕を軽く叩き明るい職場の完成だ。このドラマひとつで僕は面倒な自己紹介抜きにひょうきんな先輩というイメージを新人に植え付けることができ、またこの女の子も一気に職場に馴染める。この計画はどうだ。完璧だろう。
 僕はひとつ咳払いをする。いくらドッキリに近い計画とはいえ、これ以上は可愛そうだ。僕はちらっと店内を見まわす。そして店長の姿を目でとらえる。さぁ劇場の幕が開いた。
 このタイミングを逃すまいと僕は店長に最初のセリフを言う。
 「店長もなんとか言ってやってくださいよ。」
 しかし店長は何も言わない。というよりは言えないというのが正しいか。やはり店長は人がいい。よしよしここまでは完璧に計画通りだ。僕は頭の中で再び成功へのプロセスを思い浮かべる。ひょうきんな先輩にあたる僕はこれからのバイト生活を思い浮かべなんだか楽しくなってきた。でも笑ってはいけない。ここで笑ったらこの計画は台無しになってしまう。笑顔をこらえ僕は次の計画にうつる。頭で描いた通りのあのセリフ。
 「やっぱり遅刻はよくないですよね」
どうだ、この名演技。まるで迫真。さぁつっこめ!店長!普段遅刻ばっかりでこの日も遅刻してきた僕が言う権利のない発言をしているぞ!ちゃんと店長のつっこみを受けてひょうきんに舌をだしてやるぜ!
 僕の期待を背負った店長の口がそっと開いた。
 


  「・・・そうだな


え?今なんて?いや、確かに遅刻は悪いけど、そういうことじゃなくて。僕がそれ言っちゃうのおかしいでしょ?ねぇ?そうだなって何?ねぇ?なぁに?ねぇ。お願いだからつっこんでよ・・・。
 混乱した僕はとりあえず舌を出してはみたけど、まわりには当然ちっとも意味は伝わらなかった。舌は乾いていた。店内にはヤバイ空気が蔓延し相変わらず女の子は下を向いたままだ。僕が予想していたのより遥かに空気が重い。
なんだこれは?なんかしらんけど理不尽に説教する先輩。このままじゃ僕は悪魔だ。どうしよう。
心臓がの鼓動が早まる。僕失禁するかもしれません。
僕はハムスターがあの車輪みたいなやつを回すかのように脳を使い考える。しかし今や彼女に言える劇団斉藤に残されたセリフはたった一つしか残されていなかった。
 「ごめんなさい」
僕は事情を彼女に説明した。彼女は笑って許してくれた。そして彼女は僕の前からそっと立ち去った。僕は下を向いていた。
その後僕が顔をあげたのは彼女が向かった方向からおもいっきりロッカーを蹴ったような音が聞こえてきて驚いたからだった。






 



 

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2007年2月 5日 (月)

風邪の夜だから

 まだ風邪が治らない。一人暮らしの風邪は寂しいものだ。ボーっとする頭の中に懐かしい記憶が巡る。

 小さい頃、風邪をひくと、よく母がおじやを作ってくれた。おじやには卵とたくさんの野菜が入っていた。普段の食卓には並ばないメニュー。風邪をひいていても食べやすいように、との優しさだろう。
 小学生だった僕は風邪をひくのが少し嬉しかった。学校を休んでテレビを見てていいだなんて! 胸が弾んだものだ。
 それ以上に嬉しかったことがある。風邪をひくといつもより優しくしてもらえたのだ。今でもそうだが、うちの両親は共働き。朝早く学校に行く僕と、夜遅く職場から帰ってくる両親。共有できる時間が少なければ、自然と甘えられる時間も少なくなる。
 そんな母が、風邪をひいたときだけは、いつもより少し速く帰ってきてくれた。帰ってきたお母さんは僕の体温を調べ、布団を直してくれた後、台所にたつ。おじやを作るためだ。母が作ってくれたおじやを食べて僕はいつも風邪を治してきた。食べ終わった後は、いつもより少しわがままを言ってみたりして。
 だからおじやはすごく僕にとって優しい思い出なのだ。お袋の味とでも言うか。母の優しさがそのまま形になったような料理のように感じられたのだ。
 ところが僕は、このおじやが好きじゃなかった。子供は正直だ。残酷なのだ。僕は正直に「おいしくない」と言ってしまった。あの時母は寂しそうな顔をした。「風邪なんだからしかたないよ」と言った。それもそうだろう、食欲もなければ、鼻も詰まっていてろくに味なんかわかりやしない。それに栄養を考えてたくさん入れてくれた野菜も当時、まだ小学生だった僕の味覚で好きになれるものでもない。今ではわかりそうなちゃんとした理由だった。
 それでも当時の僕は納得できずにおじやを残した。あの寂しそうな母親の顔は今でも忘れない。暖色の中に一滴だけ落とした暗い色だった。
 
 そんな僕も大人になった。ある日、ふと急にあのおじやが食べたくなった。別に風邪をひいていたわけではなかった。もしかしたら軽いホームシックにかかったのかも知れない。大学に入り、一人暮しを始め、お袋の味に飢えていたのかも知れない。
 実家に帰った折、そのことを母親に伝えた。夕飯は久しぶりにおじやが食べたい。その一言が母親の心の琴線に触れたかどうかは定かではないが、母はなんだか嬉しそうな顔をしたような気がした。
 食卓にはあの時と寸分変わらない、あの時とまったく同じおじやが出てきた。たくさんの野菜、卵が落とされご飯の白いキャンパスを黄色く濁らせている。母の優しさもそのままなのだろう。親子の絆、おじや。
 あの頃と唯一違う、ちゃんと持てるようになったスプーンで、僕はそのおじやを口に運んだ。



 本当に驚くほどまずかった。体調も悪くないのに吐きそうになった。汚物かと思った。このババァ。


 「風邪とか関係なく単純にまずいわ!」 しかし大人になった僕は口にしない。
 僕はスプーンを置いてタバコに手を伸ばした。

 ババァ長生きしろよ。
  

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2007年2月 1日 (木)

風邪

今風邪をひいている。

熱、喉の痛み、気だるさと三拍子揃った超一流だ。

大学生になり、実家を出て一人暮らしをはじめて風邪の恐ろしさを知った。

誰も看病などしてくれるものはおらず、一人で戦わなければならない。

孤独と病魔 対 自分 という変則マッチ。

腹は減らないがそれでも何かカロリーを、と思い、動かぬ体で部屋中を這いずりまわる。

自炊はゆで卵に限る我が家で、今この身を救ってくれる栄養源に出会うのは、もはや宝探しに近いものがある。 

やっとの思いで、見つけた唯一の食べ物はプリングルスだけだった。

ヒゲである。

ヒゲのポテトチップスである。

あぁ、神様はなんといじわるなのだろう。

それでもようやく見つけた食べ物だ。とりあえず口にしなければ。

パサパサに乾いた口の中にパサパサのポテトチップスを放り込んだ。

当然パサパサである。なんのことはない。パサパサONパサパサだもの。

こうなることはわかってたもの。

言うなれば、マラソン中やっとの思いでたどり着いた給水所に、粉末のポカリスエットが粉のまま置いてあった感じか。

食べ物ない。飲み物ない。薬買うお金ない。

じゃあ今の僕に何ができるだろう。

答えは一つ、睡眠だ。

これに限る。病魔など自力でどうにかしてやる。孤独などのちのち後悔すればいい。

布団に入るが、自らのセキが睡眠を邪魔する。

とりあえず落ちつかなければ。寝ろ。寝ろ。寝ろ自分。

羊でも数えるか、プールの次の授業でもイメージするか。

そんなことをしているうちに、ようやく眠りの尻尾が、僕の目の前に現れた。

おやすみ。グッバイ風邪。あぁ。。。

その時だった。

部屋に爆音でインターフォンの音が鳴り響いた。

僕は一気に眠りから現実に引き戻された。

私の眠りを妨げるのは誰だ!

怪物とか妖怪とかがよく言うセリフが自然と口にでる。

あ、なるほど、そりゃ怒るわ。

またしても気だるい体をひきずって、インターフォン口まで行った。

どちらさまですか。

「あのー宗教団体の者なんですけど募金をしていただけないでしょうか?」

、、、ぶっとばすぞ。

例えこの先どんなにこの身、精神が弱ろうともお前のとこにだけはすがらないからな。

薬買う金もないのに、なんでお前に?

弱った子羊叩き起こして、その上金くれってあんたそりゃ神様じゃなくて悪魔だよ。それやっていいのはベタな不良少年と飲んだくれだけだって。そんな家族持ってないし。

僕の手は握られたままワナワナと震えていた。

しかし怒鳴りつける勇気はなく、小さくすいませんとだけ言って帰ってもらった。

また布団に入り。いちからやり直しだ。

セキは相変わらず止まらない。

再び数えなおす羊のなかに1頭だけか弱き子羊がいた。

そいつの顔は僕にそっくりだった。

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 初めまして。

僕は大学生。

この頃まわりの皆が就活を始め、スーツに身を包んでいる。

僕にはできそうにない。大人の階段のぼる時期。でもホラ今あのなんか足痛いし。

しかし正直焦る。

僕も何か始めなきゃ。ってことで今流行のブログ。

ただのピーターパン野郎ですね。

いやぁすげぇな、世間。全然止まってくれないんだもん。

『アカギ』の鷲頭マージャンぐらいの速度ならいいのに。

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