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2007年12月

2007年12月28日 (金)

D-NOTE

Death 学校の授業は退屈だった。窓から眺める景色だけが僕を少しだけ救った。斉藤アナスイ22歳。大学生。

その日もいつものように窓の外を眺めていると、キャンパスの片隅に、薄い何か黒い長方形が落ちているのに気づく。

「ん?なんだあれ?」

授業が終わって外に出ても、それはまだそこにあった。近くで見て初めてそれがノートだと気がついた。誰からも拾われなかったのか。確かに漆黒のノートなど気味が悪い。触れたくないというのもわかる。しかし、アナスイは違った。誰もが避けたこのノートを何のためらいもなく拾う。昔から落ちているものに何の抵抗も示さないことだけがアナスイの取り柄だったのだ。その表紙には「DEATH NOTE」と書かれていた。

「こ、これは・・・!?ま、まさか・・・デアスノーテ!?」

アナスイはあまり英語が得意ではない学生だった。そのヒヨコレベルの英語力では、何か書かれている英語の説明文のようなものもやはりわからない。とりあえずアナスイはノートをカバンに入れて持って帰ることにした。昔から落ちている物は口かカバンに入れるように教育されてきたのだ。

『書く人物の顔が頭に入っていないと効果はない ゆえに同姓同名の人物に一遍の効果は得られない』

『名前の後に人間界単位で40秒以内に死因を書くとその通りになる』

『死因を書かなければ全てが心臓麻痺となる』

『死因を書くと更に6分40秒詳しい死の状況を記載する時間が与えられる』

ようするに名前を書かれた人は死ぬ、ということか。なんだこれ、くだらない。こんないたずらよくやるよな。辞書を調べてようやく導き出した説明に対するアナスイの感想はそんなところだった。こんなことをしてないでブログの更新でもしようか、と思ったそのときだ。

「ふ、ふふ」

誰もいないはずの後方から急に声が聞こえた。アナスイは恐る恐る後ろを振り返った。

「う、うわぁあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!おばけぇぇぇぇえええええーーーー!!!」

そこにいたのは異形の、何とも不気味な姿。全身真っ黒で、目は飛び出し口は大きく裂けている。まるでこの世のものとは思えなかった。

「だ、だ、だ、だ、だ、誰!?おばけ!?おばけ!?おばけぇぇぇぇえぇえええーーー!!!」

「何故そんなに驚く。そのノートの落し主、死神のリュークだ」

「し、し、し、死神!?・・・おばけぇぇぇええええぇぇえええーーーー!!!」

「いや、だから聞けって・・・」

落ち着くまでかなりの時間を要した。だって目の前に死神がいるのだから仕方がない。お化けでないことはようやく理解できたが、それでも動揺は隠せない。死神?死神ってあの死神?あの死神ってどの死神?

タバコに火をつける。その煙がアナスイの考えをいくらか冷静にさせた。どうやらこのノートは本物だと思ってもいいようだ。まだ誰の名も書いていないので効果を試したわけではないが、実際死神が見えるようになっただけで説得力は十分だった。

名前を書いただけで人が殺せる?マジで?大嫌いなあいつも。どんな悪人も。そんなのって最強じゃないか。使い方によっては世界だって変えられる。このノートの力がある以上、僕は、そう、神だ。無敵の神だ。

その日アナスイは眠れなかった。突然手にすることになった強大な力に対する緊張感と恐怖に何度も吐き気を催した。そしてその裏側にある悦びに打ち震えていた。




朝になると時計が予想外の時間を刻んでいる。やばい。アナスイは焦った。昨日夜更かしが過ぎて予定時刻に起きれなかったようだ。学校に行かなければ。遅刻だ。目を開けるとリュークの怖ろしい顔がすぐそこにあったおかげで、驚いてすっかり目は覚めた。最悪の気分だったけれど。急いで準備をし、家を出ようとする。靴を履こうとするアナスイに声がかかった。後ろからだけど、リュークではない。

「アナスイ、朝ご飯食べていかないの?」

ババァだ。

「いらない。時間ない」

「もう、せっかく用意したのに。肉骨粉」

「そんなもん食わねーよ!」

そう言い終わるか終わらないかのうちにアナスイは家を飛び出していた。リュークが背中で笑っていた。

家に一人残されたのはババァである。さぁて勝手に息子の部屋の掃除でもしようかと、そのドアを開けた。息子の部屋は相変わらずひどい散らかり様だ。空になったペットボトル。辺りに敷き詰められた洋服。散らばった漫画と何故か2本ある『トバルNo1』。そしてババァは机の上に一冊の見慣れぬノートを見つけた。漆黒のノート。DEATH NOTE。ババァはそれを手に取った。

「何かしらこれ?ノート?」

ババァは小さくため息をついた。

「まったくあの子ったら持ち物にはいつも名前を書いておきなさいって言ってるのに。しょうがない子ねぇ」

ババァは気をきかせたつもりでノートに息子の名前を書いた。ふふん♪とご機嫌で綴られる、ババァ独特のいつものその丸文字には神の力が宿っていた。




‐斉藤アナスイ 死亡 

 死因 心臓麻痺




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2007年12月24日 (月)

メリークリスマス

Mery 皆様クリスマスイブをどうお過ごしですか?恋人とお過ごしの方、ご友人とお過ごしの方。どうかその幸せが続きますように。

僕はといえばブログを更新しています。あれ、家の中なのに息が白いや。ホワイトクリスマス、なんちゃって。うふふ、楽しいなぁ。

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2007年12月21日 (金)

あぁん!

Aaaaaaaaaaan ここでついつい「あぁん!」となる小咄を一席。

わたくし夢を見ていたのでございますよ。それはそれは熱い夢でして。寝ているのにドキドキとしてしまうような、それはそれは素敵な夢でございました。

わたくしは野球をしていたのです。野球。みなさんもご存知でしょ。野球。

気がついたら試合中でした。夢の話ですからね、そういうこともあるでしょう。いきなり9回裏、ツーアウトでした。しかもこれがまたいい試合でしてね。スコアが1対0。我がチームが負けておりました。あと一人抑えられたら負けという状況、この上ないピンチですね。ところが、ところがですよ? これがチームメイトの誰にもかけらの悲壮感も漂っちゃあいないんです。負ける気がしないというか、きっとそんな状況でも誰もが勝ちを信じていたんですね。

1番打者の彼、名前はなんと言ったかな、ちょっと思い出せないですけれども、とにかくそんな彼がわたくしに言うわけですよ。「必ず塁に出るから必ず帰せ」。どうです、男らしいでしょう。ちなみに私が4番でして。まぁまぁ、夢の中ぐらい華を持たせてくださいな。そして彼は本当にヒットを打ったんですね。

2番打者の彼はわたくしにこう言いました。「この試合に勝っていい酒を飲もう」。彼の発言は心強かったですよ。体の中がぽっかぽかとした。実は言うとこの試合に勝てばね、大会優勝だったんですよ。何の大会かなんて重要じゃあないんです。どうせ夢の中の話なんですから。とにかく勝てば優勝だと。そんな試合に勝って飲む酒はそりゃあ格別でしょう。そして彼もまた、ヒットを打ったんですね。

3番打者の彼はわたくしにこう言いました。「俺から4番の座を奪ったんだ。打たなきゃ承知しないからな」。彼はわたくしがチームに来るまでずっと4番を任されていた選手なんです。野球で4番と言えば花形ですからね。それをわたくしに奪われたのは腸が煮えくり返る思いでありましたでしょう。でも彼はチームの勝利のためを思ってわたくしにそう言ってくれたんであります。これで燃えない男がありますか。いいや、そんなものは男でない。わたくしは彼の活躍を強く願い、打席を見守りました。するとどうでしょう。彼もまた、ヒットを打ったのでございますよ。

いよいよわたくしに打席が回ってきました。チームメイトの期待を一身に背負ってですね。その期待って言うのは、少しばかり華奢な体をしている私には支えきれないかと思うほどでしたよ。わたくしがヒットを打てば試合に勝てる。わたくしが打てなければ試合に負ける。こんな大舞台に立つことなんかそうそうございませんからね、打席に行こうにも足がすくんですくんで中々歩き出せないのですよ。

そんな私はとても大きな勇気をもらったんです。何気なく手をつっこんだユニフォームのポケット。その中に入っていたのは、年の離れた弟からもらったお守りでした。わたくしは2人兄弟の末っ子でして、実際は弟なんて存在しないんですけど、まぁ何度も繰り返しますがそこは夢の話なので。昔、弟とはしょっちゅう近所の公園でキャッチボールをしていました。弟はわたくしよりずっとセンスがあったのでしょうね。すぐにうまくなりました。「大きくなったらお兄ちゃんと同じ野球チームに入る」。よく、そんなことを言っておりました。弟が病に倒れたのはそれからしばらくしてのことでした。思ったよりずっと思い足の病気。残酷なものですね。わたくしよりセンスのあった弟が野球ができない体になって、弟よりセンスのなかったわたくしが野球を続けているなんてね。でも弟は腐らずに応援してくれたんです。わたくしのために動かない体を引きずってお守りを買いに行ってくれたんです。

お守りを握りしめると体中に力がみなぎってきました。もう、恐れはなくなっていました。わたくしは打席に立ち、1度大きく深く呼吸をしました。

とは言えやはり相手のピッチャーもなかなかなもので。ここまで我がチームを0点に抑えていたぐらいですからね。わたくしは2ストライクとあっという間に追い込まれてしまいました。でもね、見えるんですよ。球が見える。それはつまり、打てる自信があるということです。チームメイトの顔が頭をよぎる。弟の顔が頭をよぎる。絶対に負けられない試合がそこにはあったんです。

勝って美味しいお酒を飲もう。きっと美味しいはずです。勝って弟に報告しよう。きっと喜んでくれるはずです。

ピッチャーが球を投げました。待ちに待ったストレート。わたくしはギュッと強くバットを握り締めました。




・・・とまぁ、そこで目が覚めましたんでございます。

あぁん!

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2007年12月19日 (水)

ある冬の天国旅行

Tengoku 「アナスイ君(仮)、これ、ありがとう」

話は少し遡る。あの子が寒いといったから、僕は自分の着ていたカーディガンを貸してあげることにした。それは大学の飲み会の最中のことだった。ほんの少しの親切心。その女の子はありがとうとごめんねを言って、素直に僕の貸したカーディガンを羽織った。僕のお気に入りの黒のカーディガン。女の子には少しサイズが大きくて、でもそれがなんだか妙に可愛らしくも見えた。帰り際に僕は言う。

「寒いからそれ着て行っていいよ」

「本当に?やった、嬉しいな。じゃあちゃんと洗って返すからね」

別に洗って返さなくてもいいのに(悪い意味で)。僕は口に出さずにそう思ったんだ。

そして冒頭に戻る。2限が始まる前にたまたま会った廊下で、僕はその子からカーディガンを返された。綺麗に折りたたまれたカーディガン。僕はこんなに大切に扱ったことはない。ちょうど肌寒かったし、荷物になるのもあれだし、と思い、僕は着ていたコートの下にカーディガンを羽織ろうとした。そしてそこで、止まった。

・・・腰が抜けるほどいい匂いがする。

え?え?何?何なの?な、なんだよ、これ。一体どうやったらこんないい匂いが出せる?甘くて、とろけそうな、きっと舐めたら蜜の味。落ち着け。え、無理?そう、無理だ。勝てやしない。待って、やばい、壊れてしまう。僕の理性が。僕の仮面が。僕は自分を抑えようと深く呼吸をした。その結果鼻から大量のいい匂いが入り込んできた。ここでゲームオーバーを確信。あ、あ、もうダメだ。僕は夢中で返してもらったカーディガンを自分の顔に擦り付けた。きぇぇぇぇ。

荒れた呼吸のまま、恐る恐るカーディガンを羽織る。心臓の鼓動は止まらない。装着完了。お、お、お。最強だ。今の僕は最強だ。この匂いに包まれている間、僕は何にも負ける気がしない。僕は最強の騎士。守るものは決まっている。唯一つ、この、匂いだ。

そこに友達がやって来た。「おい、喫煙所行こうぜ」

僕は言う。「・・・ごめん、俺はいいや」

行けるわけがない。だって喫煙所なんて行ってみろ。あの狭い部屋に閉じ込められたタバコの煙。タバコの匂いでこの繊細で優しい匂いが潰されてしまうに決まっている。自ら行けるか。そんな魔境に。

「え、なんで?」。友達が聞く。

「俺禁煙中なんだ。タバコ吸うとガンになる」。僕は平気で嘘をつく。だって僕には、守るべきものがある。自分以外の何かを守るべきための嘘を、僕は許す事にしている。

なんとか友達を説き伏せ、僕は授業へと向かった。授業中も幸福である。授業内容なんか頭に入るわけもなく、それは確かに学生としてどうかとも思う。しかし僕は学生である前に人間であり男だ。授業なんてそっちのけ。もう、嗅ぐ嗅ぐ。嗅ぎに嗅ぐ。あぁ、なんていい匂いなんだ。これが僕の元気の源。どんな栄養ドリンクだって目じゃじゃない。うふふ。さぁて、もう一嗅ぎしますか。前の席に座った女子生徒が、ハァハァとあまりに呼吸の荒い僕をチラチラと怪訝そうな目で見ている。どうとでも思え。好きに蔑み、好きに堕とせ。ただこのカーディガンだけは渡さない。そうこうしているうちにチャイムが鳴り、昼休みが始まった。

そこにまた友達がやって来た。「おい食堂行こうぜ」

僕は言う。「・・・マジで?」

食堂か。何かとリスクが高い。ただ、さっきも喫煙所を断った手前、再び断りを入れるのはさすがに感じが悪い。まぁ食堂に行くぐらいなら大丈夫か?大切なカーディガンにこぼす恐れがあるので僕は何も食べないで、そしてひたすら時が過ぎるのを待てばいい。

友達がうどんを持って席に座る。こ、この野郎、また汁が跳ねやすいものをチョイスしやがって。なにか僕に恨みでもあるのか?コートを着れば汁は防げるだろうが、コートを着るには食堂は暑い。僕が汗をかいてしまえばきっとそのカーディガンの繊細な匂いに傷をつけることになり、それでは意味がない。カーディガンを脱ぐ?ありえない。友達はうどんを啜りながら、僕に聞く。僕はいつ飛んでくるかわからない汁に出来る限りの注意を払いながら答える。

「何にも食べないの?」

「え、あ、うん。俺今金ないし・・・」

「うどんだったら安いじゃん」

「・・・うどん食ったらガンになる」

「いや、それはならんだろ!」

そんな会話を経て、僕はトイレへと立った。食堂はやはり危険が多い。至るところから汁が飛んできては、僕を汚そうとする。守りたい、ただあなたの香りを。僕はただただそれだけを願っているのに。そのたった一つがなんと難しいことだろう。少しの時間を置いて戻ってきた僕に友達が聞いた。

「・・・何してんの?」

「何って、トイレ行ってたんだよ」

「・・・いや、そうじゃなくて。なんで体中にトイレットペーパー巻きつけてんの?」

「俺・・・守りたいものができたんだ・・・」

「いや、まったく意味がわからん」

食堂を後にして、校舎に戻るとそこにあったのは別の友達の姿だった。ただいつもとは様子が違う。なにやら顔色が悪い。

「風邪ひいた。すげぇ寒い」

「大丈夫?心配しようか?」

「できればもっと実になることを頼む」

マフラーを貸してもまだ寒いと言う。コートはサイズが合わなくて入らない。それでもニットでフリーサイズのカーディガンは貸さない。これは僕だけの宝物。その選択は薄情かもしれない。でもきっと大丈夫、こいつデブだし。寒がるデブに説得力はない。それに僕が前に風邪を引いたときにうちに遊びに来て、食欲のない僕の前で見せ付けるようにアメリカンドッグを7本食べたときの恨みもある。

デブを残して僕は授業に出た。

空は少しずつ陰りはじめていた。僕の気分もそう。時間とともに萎んでいく。原因はわかっていた。匂いだ。匂いが確実に薄れていっている。深く吸い込んでやっと気づけるか気づけないか程度の匂い。特別だったそれが僕に同化している。夢の終わりはもう近い。あぁ、終わってしまうんだな。僕はまた、いつもの僕に戻るんだな。偶然発生したいい匂いだけれど、それがなくなるのを寂しいと思うのは必然だった。

学校からの帰り道、もう匂いはない。必要以上に空気を冷たく感じた。タバコを吸う。久しぶりに吸うタバコなのにそれほど美味しいとは感じなかった。下を向いて歩く僕。その時、偶然またあの子に出会った。カーディガンを貸した、いい匂いのする女の子。ありがとう、君のおかげで今日一日幸せだったよ。並んで歩く帰り道。少しだけした会話の中に、僕は再び幸せの尻尾を見つけた。

「今日も寒いねー」

き、きた!僕はその子のその一言を聞き逃さない。その一言にどういう尾ひれがつくか、僕はよく知っているから。僕の頭に一つの言葉が浮かんだ。

「おかわり!」

まだ終わっちゃいない。また僕にあの匂いを嗅ぐチャンスが舞い降りた。逃すか、逃すまい。あの幸せの匂い。甘い甘い。マイスイートスメル。天国への切符。

「だ、だ、だ、大丈夫?またカーディガン貸そうか?」

「え?本当に?」

「すっごい本当!すっごい本当!」

「でも何回も悪いしなぁ。それに今日はそこまで寒くないから大丈夫かな?」

「ほら、でも、こっからまた寒くなるかもしれないし!ほら、俺暑がりでちょうど脱ごうかと思ってたとこらだから!うん、そうしたほうがいい!」

「マジで?ありがとう!」

僕はカーディガンを渡した。喜んでではない。仕方なく、だ。ふざけるな。最後の「マジで?ありがとう!」は彼女のセリフではなく、僕の隣にいた風邪気味のデブのセリフだった。僕らは一緒に帰っていたのだ。「お前に言ってんじゃねぇよ!」とは言えない。強く、どれだけ強く思っても言えない。それでは彼女の前で下心が丸見えになってしまう。結局カーディガンはデブの体を優しく包んだ。僕の思いは、寒く冷たく、ただ凍えるままに。

次の日デブからカーディガンが帰ってきた。

カラムーチョの匂いがした。

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2007年12月 7日 (金)

一人でできる悶

Money 僕は自分がバイト先で優秀だなんて言うつもりはない。ただ最近は遅刻も減ったし、レジに誤差が生じる日だって少ない。と、思う。商品知識に関しては絶対勝てないけれど、接客態度は負けないつもりでやっている。でもまぁ、確かに何かと至らなかったりもする。

僕のバイト先は人が少ない。平日は朝昼2人と夜1人。休日は朝昼も夜も1人。ただ、本屋と言う薄利多売の世界。増してや大型の本屋が乱立するこの東京にあって、小さい小さいうちのような店舗のことだ。人手を減らすというのは仕方のないことかもしれない。忙しく手が回らないこともあろうが、是が非でも利益を出すというテーゼで成り立っている以上、僕だってそこに一石投じるつもりはない。まさか給料がいいとも思えない。でも、実際僕は今のバイト先が気に入り3年以上続けているのだ。

確かに、時間帯により暇なときは本当に暇である。1人でも十分いける。お客さんが誰もいないときは、店内をふらふらとさ迷い、「素敵なあなたになれる ○つの法則」みたいな本を立ち読みし感銘を受け、「3日でゴルフがうまくなる」みたいな本を読んで、持ってた箒を思い切り振り回してみる。監視カメラの死角も熟知しているし、本好きな僕にとって、誰もいないそこはパラダイスと化す。あれを読んでこれを読んで。きっと宝石好きにとっての宝石店と、何ら変わりはないのだろう。

暇ならいいのだ。いくらでも歓迎なのだ。ところが、忙しくなるとそうもいかない。具体的には辺りが昼休みになるであろう12時台と、夜。

その時間帯に1人だと、トイレに行くにもお客さんの流れを把握し、そのわずかな切れ目を付く必要がある。時間との勝負。刹那。今はまだ早い。・・・今! 僕は颯爽と店内を駆け抜け、ことに及ぶ。少しでも早く。少しでも無駄を削って。用を済ませてる間にレジにお客さんが並べば、こちらの負けとなるのだ。お客様との真剣勝負。しかし3年続けていても、いまだ完璧なタイミングを掴むことはできない。僕はまだまだ修行が足りないのだ。これだけ大袈裟なことを言っておいて、たかが尿だから救われない。

だからレジが僕1人のときに、漫画や文庫を10冊ほど一気にお買い上げ下さったお客様が「カバーしてください」なんて言うと、店としてはありがたい反面、バイトの僕としては大変焦る。次のお客さんが並んでいるときなどは尚更だ。ひたすら急いでカバーをつける。そうしてる間にまた1人と、お客さんが列を作っていくのだ。そんなときは、「見せてやる、俺の100パーセント中の100パーセント!」そう呟き、僕は腕まくりをする。こうなった僕は本気だ。軽快なステップを踏み、動作はさっきまでのおよそ4倍になる。レジ狭しと動きまわるのだ。ただしこれは、体力の消耗が激しい割りに、これといって別にカバーに要する時間が減るわけでもないので、二度とやることはないだろう。

似たようなシリーズとして、1人バイトは、わかりづらい質問攻めにも弱い。もちろん接客上である以上、お客様の質問は焦りはするものの不快ではない。情けなく乏しい商品知識であっても、店内を駆け回って探すぐらいの気ではいる。ただ、それを捌く間にも他のお客様が待っているのだ。それがプッレシャーになる。

中年女性が僕に聞く。

「アレ、ある?ほら、アレよ。あの、便利な、ホラ・・・なんだっけ?」 

あまりにわからない。でも他のお客様がいる。どうしよう。仕方なく、便利というキーワードだけを頼りに、レジにあったガムテープを差し出したら、まるでイカをみるような目で見られた。ちなみに答えは家計簿。わかるわけがないにしろ、まぁこれは確かに僕の判断が悪すぎるのもある。

他の中年女性が僕に聞く。

「あたしって何星人なのかしら?」

「・・・え?いや、たぶん地球人じゃ、ないですかね・・・?」

「違うわよ!」

(違うんだ・・・。恐い・・・)

「地球人なわけないでしょ」

(言い切れるんだ・・・。どうやったら星に帰ってくれるのかな・・・?)

「ほら、細木数子の占いの!」

「・・・あ、あぁ!少々お時間いただけますか?」

そう言って僕は並んでいるお客様の会計を先に済ませ、一緒に中年女性が何星人なのかを調べる。その本を読むと、よくわからないけどどうやら生年月日から導き出すものらしい。驚くほど興味もないが中年女性に尋ねる。「○○年の○月○日よ!若く見えるでしょ!?」などと言い、おぼっちゃま君ぐらい品なく笑っている。あはは、今度調子乗ったらそのときはスターウォーズだからな。僕は中年女性に何星人か教えレジに戻ると、そこには2人のお客様が。お待たせしました。本当に申し訳ございません。なんか変なババァが、私は金星人、などとわけのわからぬことを言い出しまして・・・。

今までたくさんのお客様に迷惑をかけた。中には「大変そうだね、頑張って」なんて言葉をかけてくれる心優しいお客様もいる。もしかしたら二度と会うことのない他人の、何気ない一言なのかも知れないけれど、そんな些細なことに本当に救われるから不思議なものだ。 「あなた名前はなんていうの?」なんて鋭い目つきで聞かれることもある。そのお客様にどういう意図があるのかわかりかねるが、そこで後輩の名を勝手に語る僕には確実な悪意があり、反省しなければならない。

どんなに長くても、おそらく今の職場に来年の3月以降いることはないだろう。子供のように駄々をこねたくなるほど行きたくない日もあったし、残された期間だってまだ3ヶ月もあるのに、少し寂しい気もするのはどうしてだろう。

僕は1人考える。

そんなことをしている間に、レジにお客様が並んでいるとも気づけずに。

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2007年12月 6日 (木)

僕のあいつを紹介します

Keitai 物を長く使うのは非常に大事な事だと思う。そういう意味で僕はもう少し世間に認められてもいいのではないだろうか。僕の使う携帯電話は、もうずっと僕のそばにいる。黒のボロボロの折りたたみ。もう4年目になるか。たくさんの傷を背負って、たくさんの苦労を経てそこにいる。

まずこれは「使い込んだ携帯」の初級レベルの話なのだが、電池パックのフタがない。いつなくなったかさえ思い出せないほど、昔からないのだ。最初からついてなかった気すらする。例えばここに恋人とのプリクラなんかをそっと貼っておくと、ちょっとした秘密の花園にもなるのだが、僕がそれをやると完全にむき出しになる。何の情緒もない。なんか人面樹みたいになるし。

そして僕の携帯には通常の充電器が使えない。卓上ホルダが必要となるのだ。これは僕が寝ぼけて充電器を逆に押し込み、充電口のピンを全部へし折ったのが原因だ。僕の携帯に合う卓上ホルダなど「それならうちにあるよ!」といった類のものでは決してなく、誰かの家にお泊りに行くときなどは、必ず持参しなければならない。旅行などに忘れてしまうと常に電源が切れている状態になり、捜索願いが出されることになる。

僕の携帯電話の画面はすぐに真っ白になる。比喩ではない。本当に画面が白くなるのだ。携帯を開くと白一色で何もない画面が映る。それでもなんとか使えているのは、折りたたみがたまにいい角度になると本来の鮮明な色を取り戻し、画面が見えるようになるからだ。最近はその角度にするコツを覚えてきた。使いなれた携帯ゆえ画面が見えないままメールを打つことも出来る事は出来るが、ミスタッチにより変換機能を呼び起こしてしまい、いざ画面が見えるようになると「異人館ふりかけ」などという意味不明な言葉が出来上がっていたりすることも少なくない。それだけならまだしも、画面が不安定というのは周りと繋がっている電話である以上誰かに大迷惑をかけてしまうことにも繋がり、今僕の携帯における一番の悩みである。

僕の携帯電話では画像が開けない。というより、開くのにえらく時間がかかるのだ。画像展開速度が死にかけのゾウぐらい遅い。買った当初はまったくそんなことなかったのに。だから当然写メなどという機能を使いこなせすわけもなく、みんなが面白い光景に携帯を向けパシャパシャやっている間僕は、「俺はそんなの興味ないもんねっ」などという顔をして、本当にまったく興味もないペットボトル飲料の成分なんかを読んで暇を潰す羽目になる。でもまぁ、これは実際デジカメさえ手に入ればそれほど困る故障ではない。

充電がかなり残っているときでも、勝手に電源が切れることがある。別にそれ自体は多少面倒なだけで電源を入れなおせばいいだけなのだが、3回に1回ぐらいの割合で時計がリセットされるのは勘弁して欲しい。僕は普段腕時計などをしないため、時間を知るには携帯だけが頼りなのだ。時間がわからないというのは何かと恐いものがある。例えばじゃあ想像して欲しい。あなたは何かを間違えて、一人でカラオケに行ってしまったとする。終了コールなしの自動延長システムのカラオケだ。何曲か歌って、今何時ぐらいかな?残りあと何分ぐらいかな?と思って辺りをキョロキョロするが、困ったことに時間がわかる物が何一つない。また、延長に費やすお金もない。え?いや、でもさすがにまだ大丈夫だよね。・・・いや、でもなぁ。今何曲歌ったかな・・・1曲5分として・・・。じゃ、じゃあ後1曲だけ!・・・い、いや、1番だけ、かな。いや、やっぱりもういいかな・・・。なんか喉痛い気がするし。・・・うん、そうだ、時間が気になるんじゃなくて喉を大事にしたいから今日はもう帰ろう。そういって伝票片手にフロントに急ぐあなた。そこで見た時計にあなたはビックリする。・・・あ、あと20分もある!しかし物足りない気はするものの、今更もう一度部屋に戻る気にはならない。泣く泣くお金を払い店を出るあなた。外の寒気に触れ、そっとポツリ呟くのだ。「しかも頼んだのコーラじゃなくてメロンソーダだったのに・・・」。・・・どうだろう?まるで実体験のようなこの話に、時間がわからないというのがどれだけ怖ろしいことなのかわかって頂けただろうか。だから、携帯に時計機能がない、というのは本当に不便なのだ。

そして僕の携帯電話は1通メールが届くと永久にバイブする。ヴぃーヴぃーいい続ける。正しくはもちろん充電が切れるまでなのだろうが、充電中は永久となる。どのボタンを押しても騒ぎ続け、これが驚いた事に電源を切っても止まらない。地味だが非常に迷惑な故障だ。うるさいだけでこれといって何の使い道もない。おばあちゃんの背中に貼り付けるとちょっとだけ動きが機敏になるぐらいだ。ただこれはいつでもそうなるわけではなく、メール受信の瞬間と決定ボタンを押す瞬間が、たまたま寸分違わずドンピシャで重なったときのみ起こる現象だ。タイミングは相当シビアで、また狙ってできるものでもなく、一種の奇跡のようなものなのだ。僕と今の携帯は長い付き合いになるが、永久バイブモードは未だに2度しか訪れていない。

そしてついに、この前携帯が開かなくなりました。一人で大爆笑しました。だって開かないって。そんなのもありなのか、と。携帯が閉じたまま開かないのだ。どうやって使え、と。ロック機能だとかそんなものはついていない。デリケートな電子機器なので恐る恐る力を込める。ダメだ。開かない。貝のように閉じこもったきりだ。おいおいこのままじゃサブ画面だけで過ごすことになるぞ。それはあまりに不便すぎる。っていうか何もできやしない。さすがに僕も本気になって強引にこじ開けることに決めた。その決意のもと、思いっきり力を込めた。

よっ!

パキッ。

やった!開いた!

なんか破片が色々飛んだけどきっと大丈夫だろう。軽量化。軽量化。まだ使えることに僕は純粋にほっとした。とりあえず届いていたメールに返信をし、携帯をしまおうとした。

閉じません。今度は閉じません。閉じないと言うか、閉じるんだけど閉じたまま止まってくれません。なんかプランプランしております。なんかペチペチしております。骨がなくなった感じというか。逆に言うと開いたまま止まってもくれません。

さすがにもう限界かもしれない。これ以上何か起こらないうちに変えなきゃなぁ。でも、できるならまだ、もう少しだけこいつでいきたい。携帯電話。変えられない理由があり、強い愛着がある。これだけ一緒に過ごしてきたのだ。ある意味じゃ誰より長く。誰より側に。そんな携帯に労いの言葉の一つもかけてあげたい。僕は、ちょうどよくこの携帯電話のメールアドレスを知っている。他の人と同様に電話帳に整理されたその名前を探す。普段のお礼の一言。これからも使いたいという一言。僕は愛すべき携帯にメールを送った。僕の携帯電話が鳴った。

from 自分

subject お疲れ様

いつもいつも本当にありがとう!君が頑張ってるのは誰よりも僕が一番知ってるよ。でも君の力はまだまだこんなもんじゃないはずだ!明日からもまたよろしくね!




誰かに見られたら相当痛い感じになった

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