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2008年2月

2008年2月29日 (金)

黄色い実験

Jikkenn

実験内容:人は本当にバナナの皮で転ぶのか?





実験者:僕

実験場所:家

実験方法:床にバナナの皮を置き、それにむかって全力疾走して踏んづける。

実験結果:盛大にすっ転ぶ。肘に激痛。バナナの皮で転ぶ事は可能。ただ、床がバナナの皮の残骸でズリズリになる。予期せぬ後悔。片づけ中に我にかえって泣きそうになる。部屋から南国の香りがする。


実験者:僕

実験場所:広めの公園

実験方法:スピードを出した自転車で轢いてみる。

実験結果:ただ踏んだだけ。全然面白くない。乗り物ってすごい。


実験者:ババァ(母)

実験場所:実家

実験方法:実家の玄関にバナナの皮を放置。

実験結果:帰宅した母が玄関に落ちるバナナの皮に気づき、難なく拾い上げる。「うちのババァもさすがにそんなに間抜けじゃないか」と実験の失敗を感じていたところ、「もう、洗濯物はちゃんと洗濯機に入れてよね」と、ババァのまさかの発言。絶句。この人には勝てない。


実験者:ババァ(母)

実験場所:実家

実験方法:何も思いつかなかったので、とりあえずバナナをババァに渡してみる。

実験結果:牛乳と混ぜてバナナジュースを作ってくれる。とっても美味しい。


実験者:ババァ(母)

実験場所:実家

実験方法:こたつで横になり居眠りするババァの顔の上にバナナの皮を載せてみる。

実験結果:なんか幸せそうに笑った。




総評:バナナ食べ過ぎると醤油飲みたくなる。

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2008年2月26日 (火)

MUKASI  BANASI

Mukasi_banasi_3 原作: 『桃太郎』

英訳: 斉藤 アナスイ(英検4級)-『あん』管理者





ムカシムカシ オジー&オバー イン アルトコロ。オジー シバカット マウンテン。オバー ウォッシュ リバー。オバー ウォッシング イッチョウラ 、ビッグピーチ ドンブラコドンブラコ。 オバー イタダキ ビッグピーチ。

「ヘイ、オジー!ラッキーラッキー!」

「ワオ!オバー!ベリー デカシタ!」

ビッグピーチ マップタツ イン ザ ナイト。ナントビックリ ボーイ イン ピーチ。

「ワーオ、イッツ ミラクル!」

オジー&オバー コシヌカシ 3デイズ。

「ヘイ、オジー!ディス イズ ピーチジョン!」

「イエス!ディス イズ ピーチジョン!」

ザ ボーイ イズ モモカラウマレタ ピーチジョン。ピーチジョン イズ スクスクオオキク。スクスクオオキク アットイウマ。

-ピーチジョン イズ 15ズ ナイト。  

「ヘイ ピーチジョン。オデカケ?リッツパーティー?」

「ノー。アイ ゴー トゥー オニタイジ」

「ワッツ?」

「オジー&オバー アイ ゴー トゥー オニタイジ!」

「WAHAHAHAHAHA!イッツ ベリー ナイス ジョーク!PJジョーク!」

「ヘイ!ノー ジョーク!リアル!ザ リアル!」

「・・・リアル!オー、オーケー!」

オバー プレゼント キビダンゴ ピーチジョン。キビダンゴ イズ ワガシ。デントウノアジ。ピーチジョン ゴー トゥー オニタイジ バイ バイセコー。

ピーチジョン バッタリ ドッグ。

ドッグ 「ヘイ ピーチジョン!プリーズ キビダンゴ!オニタイジ スケット!バウワウ!」

ピーチジョン プレゼント キビダンゴ ドッグ。ドッグ ゴー トゥー オニタイジ。トゥギャザーシヨウゼ。

ピーチジョン バッタリ モンキー。

モンキー「ヘイ ピーチジョン!プリーズ キビダンゴ!オニタイジ スケット!ウキー!」

ピーチジョン プレゼント キビダンゴ モンキー。モンキー ゴー トゥー オニタイジ。トゥギャザーシヨウゼ。

ピーチジョン バッタリ ナンカシラナイ マイナーバード。

キジ「ヘイ ピーチジョン!プリーズ キビダンゴ!オニタイジ スケット!キジ!」

ピーチジョン「ノーサンキュー」

ピーチジョン イズ ノット ノートイエナイニホンジン。キジ イズ サミシソウナセナカ。マァイッカ。

ゼイ オジャマシマス オニガシマ。ワーオ。ライト モ レフト モ オニ オニ オニ。バトル スタート!

ピーチジョン スイング カタナ。

ドッグ パックリ ノドボトケ。

モンキー ヒッカキ コドモノケンカ。

キジ オウチデ マクラヲヌラス。

ウィナー イズ ピーチジョン。オニ ドゲザ 6デイズ7ナイツ。

イエス!ザ ジャスティス ウインズ!

ハナサク スマイル!スマイル イズ 1000000ドル!

イエー!オーイエー!

(Fin)

次回予告 金太郎

『ベアー VS ザ・ゴールドマン』

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2008年2月25日 (月)

あの鐘を鳴らすのはあなた

Dredre 僕は確かに大人になった。

大学生活も今年で終わりを告げる。これ以上はもう親に迷惑はかけられない。うちは両親共々働き、僕は今でこそ一人暮らしをしているが、いわゆる鍵っ子であった。もちろんそれを寂しいと思ったことは何度もある。もちろんそれで他の友達との差を感じたこともある。でも、僕はそれを仕方のないことだとわかっていた。一家が食べていくために。僕らを学校に通わせるために。親父もババァも働かなければいけなかったのだ。僕はこのブログ内で両親、特にババァをネタにするようなことを何度も何度も繰り返してきた。それに関して反省なんかはしていない。後ろめたさなんてかけらもない。でも、一つだけはっきりと言えることがある。僕は両親を尊敬している。両親に、それはもう超えられないような憧れを感じている。そして感謝している。面と向かっては恥ずかしくて絶対に言えない言葉。両親にこのブログが見られないことを知っていて書き連ねるなんて、なんて卑怯な僕。

少しでも恩返しがしたいなって。スラム街の黒猫と呼ばれる僕には、確かに似合わないセリフだろう。自分でもそう思う。でも、思うのだ。恩返し、具体的には自分の稼いだ金で食っていく、つまり自立した姿を見せてやりたいのだ。そして生活費を抜いて余った金で、親に花束の一つでもプレゼントできたら、と思う。もちろん余裕があれば楽だってさせてあげたい。親がそんなことを望む望まないではなく、ただ少しでも楽にはさせてあげたい。僕を心配の種にしたくない。どうしようもない僕だって、なんとなくそんなことを思っちゃうんだ。

僕は今22歳。夢を夢と語るのが、もしかしたら少し見下されるような年になったのかもしれない。でも、夢を見ることはどうしても悪い事とは思えなくて。ミュージシャンになりたくて日々ギターをかき鳴らす者、絵描きになりたくて日々キャンヴァスを塗りつぶす者。彼らは青いかもしれない、足りないかも知れない。でも、間違っているのか?今は何も生み出せなかったとしても、だからといって嘲笑の的になるべきなのか? 少なくとも僕は彼らを応援したい。そして擁護したい。同じ夢を追う立場に立つ者として。

夢は逃げなかった。逃げるのはいつだって自分だった。ずっと今までそうだった。そんな日々はもうたくさんだ。言い訳ばっかりうまくなって、その実空っぽの自分。なんだそれ?何やってるんだ。「努力する」か「諦めるか」か 人間に選べる道なんていつだって たいてい この2つしかないんだよ。僕は今努力を選ぶ。本当はもう一つあるけど・・・僕はそれを口にしない。

夢がある。僕はもう逃げない。だからそのための努力は欠かさない。僕は今、毎日のようにお布団の上でバック転の練習に勤しんでいる。おかげで何の恐怖心も持たず、後頭部を床に叩きつけられるようにまでなった。夢のための努力。前進。少年ジャンプの角が直撃したときは、さすがにどこかの川で芋を洗う死んだおばあちゃんの姿を見たが、なんとか無事に僕はここにいる。バック転の練習を始めてから記憶力が、涙が出ちゃうくらい低下しているのだが、そこには何も関係がないものと信じたい。ただこの前「りんご」が思い出せなかったときはさすがに泣きそうになった。ホラ、あれなんだっけ。あの、赤くて。甘くて。カレーとかにいれるという噂の果物。ちげーよ、お赤飯じゃねーよ。お前お赤飯を何だと思ってんだよ。

一回変な音がして手首に激痛が走ったときはさすがに大爆笑したが、野菜ジュースを飲んだら治った。すげぇな、野菜ジュース。これさえ飲んでおけばどんな病気も怪我も治る気がする。

それだけではない。写真うつりのいい角度も毎晩模索している。ケータイ電話の画面にうつる僕の姿。あぁでもないこうでもない。そうこう苦心していると時に奇跡のような1枚が撮れることがある。こ、これが僕?いやいやこれはもう妖精でしょ。資生堂のCM来るでしょ。はい、僕の時代来たー。そうして僕は迷惑な事にその画像を添付して友達に送りつける。それを見た友達が僕に返信してくる。

「RE: お前いつも同じ服着てんな

・・・あんまりだよ。そんなこと聞いてねぇよ。違うんだよ、これ似たようなの3枚ぐらい持ってて・・・それで・・・。しかしまぁ、悲劇もこの程度で済めばかわいいものである。1度そんなに親しい仲でもない女の子に間違えて送信してしまったことがある。送った後に間違いに気づき、どうやったら一番楽に死ねるかネットで検索をしていたところ、2時間ほどしてその子からメールが返ってきた。

「無題: ごめんなさい。

・・・なんか僕、謝られちゃいました。いやいや、こちらこそ本当に申し訳ありませんでした。あれ、何これ?なんか知らんけど僕フラれたのかな?決め顔つきの気狂いの類の告白だと思われたのかな? あの、できればその、メールと記憶を抹消してはいただけないでしょうか。あ、はい、無理ですか。明日皆に言いふらしますか。そうですか。・・・えーと、少しでいいので弁護をする時間をいただけないでしょうか?あ、なるほど、今チェーンメールを作ってるから忙しいと。もういっそのこと殺してはくれないですかね?あ、はい、それも無理、と。・・・あああああぁぁぁぁあああああああぁ。

だから僕がなんでこんな奇行に走っているかといえば、それはもう唯一つ。夢のため。僕はジャニーズ事務所に入りたいのだ。いやマジで。あの、場末のフリーマーケットで200円で売ってそうなパジャマみたいなやつ着て踊り狂いたいのだ。だって楽しそうではないか。あの煌びやかなステージ。華やかで、それでお金もらえて、素敵でしょ。なんか「OI!NARI!3」とかいうわけのわからんグループがあるなら(ありません)それでもいいから潜り込ませていただけないものだろうか。満面の笑みで踊りますよ。いや、マジで。

「ジャニーズ 入り方」で検索してみたところ、どうやら年齢制限はないらしい。ヘイヘイ。いいんじゃないの?年齢的な問題から一度は諦めかけていたのだが、これは紛れもない朗報である。これはもしかしてもしかすると本当に遅咲きアイドルの誕生か。来年のFRIDAYに「OI!NARI!3のアナスイ 酔っ払って家の玄関の鍵にSuicaを当て続ける」なんて見出しが出るかも知れない。喫煙家だから体力はちょっと自信ないけど、ホラ、なんだったら僕楽器もできるし。バック転もきっとできるようになるし。ご飯粒残さず食べるし。豚より優しいし。

近いうちにジャニーズ事務所に履歴書を送りつけてみようと思う。住所はすでにメモしておいた。その際は顔、上半身、全身の三枚の写真を同封するらしい。僕の探求の成果が発揮されるときがきたようだ。僕がもしメジャーになったらこの写真もお宝になるんだろうな。自分のサインは高校時代から考えてあるから大丈夫。あぁ、なんか燃えてきたぞ。

お父さん、お母さん。今まで苦労かけてごめんね。やっと恩返しができるときが来そうです。

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2008年2月19日 (火)

潜入~ザ・ミッション~

Sennnyuu 地球と言う星に日本という国があって、その中に東京という都道府県がある。さらにその中に品川という駅があって、その駅前に聳え立つのが品川プリンスホテル。ここが今回のターゲットである。品川プリンスホテル、通称品プリはホテルとしてかなりの地位にある。全館合わせて3680室を誇り、さらには水族館や映画館までもを揃えた巨大要塞なのである。

さて、この品プリに何故僕が目をつけたかと言うと、それはもう至極単純。ただただ行ってみたかったからである。なんかロビーとかでカッコつけてソファに座りたかったからである。高級ホテルでなんかあれやこれやするのが、僕の中のできる男のイメージ。これに少しでも近づかなければいけない。

僕みたいなものは普段こんな高級ホテルとは縁がない。安アパートに住み、素うどんを食べ、公園で葉っぱを拾って「もしかしたらお金に変わるんじゃないか」などと本気で念じているような大学生は品プリと交われない。でも、あるんだ。そんな僕にだって。無性に背伸びしたいときが。普段どおりじゃない自分を装いたいときが。東京に20年以上住んでれば、いくら縁がないとは言ってもその名を聞くことはある。憧れは積もる。いいじゃない、普段はカステラの底についてる紙まで食う僕だけど、たまには高級ホテルでコッフィの一杯ぐらい堪能したっていいじゃない。あぁ、もう誰も僕を止められないんだ。待ってろよ、品プリ。

18:00 ミッションスタート。

だだっ広い玄関の前まで行くと警備員が立っている。その男は顔つきこそ穏やかだが、目は鋭く光っている。ように見える。くそ、さっそくの難関だ。僕は唾を飲み込む。最初にして最大の難関。正直恐い。ここに来る前に、自分の頭の中で色々とシミュレーションしてみたが、とうとうホテルに入る前に止められる可能性を0にすることはできなかった。ホテルに入る際、一番大切なのは身なりだと思う。僕はそれを考慮して一応家にある服の中で最も小奇麗な格好はしてきたつもりだが、それでもかなり危なっかしい。黒のジャケットに黒のTシャツ。カーキ色のパンツ。大きなサングラス。果たしてこれで通用するのだろうか。「お客様、すいませんがホームがレスの方はちょっと・・・」。目を閉じればそんな幻聴が聞こえてくる。大丈夫だ、落ち着け。これは幻聴だ。僕はゆっくりと歩を進める。

・・・待てよ。急に嫌な予感が走った。僕は自分の匂いを嗅ぐ。「こ、これは・・・!」。そうだ、間違いない。「ポテト・・・!」。僕の体からは食べてもないのにフライドポテトの匂いがした。まさにギリギリだ。冬だというのに手のひらに汗を感じる。危ないなんてレベルじゃない。このまま気づかずに歩を進めていたら間違いなくあの警備員にとっ捕まって警防でお尻を叩かれていたことだろう。しかし何故だ。何故体からポテトの匂いがするのだろう。しばらく考え、ハッとなる。まさか、あの時・・・!あいつだ。我が家の毛布。これがまた何故かフライドポテトの匂いを放ち、それに包まって寝ると2週に3回ペースでマクドナルドの夢を見るという呪われた一品なのだ。きっとその匂いが染み付いたに違いない。くそ、なんてこった。僕は、すでに罠に落ちていたのだ。世界が僕を品プリから遠ざけようとしている。

しかし。自分の運命を嘆き苦しむ暇があるならば、その運命を変えることに苦しめと。あの時誰かが僕にそう言ってくれたから。僕はカバンから香水を取り出し、いつもより一吹き多めに吹きかける。少なからずポテトの匂いは残るものの、これでずい分とマシになったはずだ。行け、進め、負けるんじゃない。「お客様、お飲み物もご一緒にいかがですか?」。大丈夫、これは幻聴だ。僕はポテトじゃない。勇者だ。振り向くな。ただ、前へ。

玄関までは、あと少し。よって警備員までも後、少し。最後の身だしなみチェックとして鏡を取り出し、髪を見る。風は強かったものの特に崩れてはいないようだ。僕は一安心し、それでも一応髪に手ぐしを通す。そして手の中に残ったものを見て、僕は愕然とした。はは・・・嘘だろ・・・?でも見れば見るほど、違うと信じて見直せば見直すほど、世界は酷なことを思い知る。なぜ、ここにこれが?なぜ僕の頭から?疑問は尽きなかったが、手の中に握られたそれは、悲しいけれど確実な事実だった。陰毛。どこにでも落ちているそれを、どこにでも潜り込むそれを、人はそう呼んでいる。陰毛。ニャーン。

目の前が真っ暗になる。もう、ダメなのかもしれない。膝から崩れ落ちそうになるのを堪えるのがやっとだった。今の僕には、とても受け入れられそうにない。経験値も、何もかもが足りない。お父さん、お母さん、ここまで育ててくれてありがとう。生まれ変わったら綺麗な虹になりたいな。

あ、あぁ。ああああああああああああああ。あぁ。・・・あぁ!!

・・・バカ言え!こんなところまで来て何を言ってるんだ僕は。そもそも僕は何をしにここに来た?できる男になるためだ。できる男が陰毛一つでたじろぐか?そんなわけがない。今こそ行くんだ。また一つ、人生において自分を進めるチャンスじゃないか。昨日より格好いい自分になるチャンスじゃないか。そうだ、思い出せ。あのとき大親友のマー君と交わした約束を。今こそ胸に刻むんだ。

「マー君、もし100万円拾ったら200円あげる」

僕はもう迷わない。さっきまではまるで悪魔のように見えた警備員も、今ではちゃんと人の子に見える。歩く。一歩二歩。近づく。また一歩。文面にすると長く感じるが、初めから今まで経った時間はたかが30秒だとかそんなもの。その間に僕は大きくなった。明確な目標があると、ときに人は劇的な進化を遂げることがあるのだ。「ご苦労様でぇっす」。僕は警備員に声をかける。警備員は僕に一瞥する。緊張しなかったといえば嘘になるが、足を止める理由はもうどこにもなかった。

ホテル内のまぶし過ぎるほどの、それでも品のいい灯りが僕を照らした。到着だ。僕は今、品川プリンスホテルにいる。

18:00 ミッションコンプリート

・・・何をしたらいいのかわからなくてエスカレーターを上って降りておうちに帰った。

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2008年2月14日 (木)

だからこそ甘く苦い思い出

Choko 僕ははっきり言って、小学校の頃に限れば思いっきりモテていた。本当に驚くほどモテたのだ。いやいや、ホントにごめんなさいね。当時の武勇伝は尽きないのだが、例えばバレンタインデーになれば、手作りチョコレートを軽く10個はもらっていた小学生だった。まったく。今では考えられない数字である。まぁ小学生の頃モテるのに大切なポイントなどたかがしれてはいるのだけれど。

しかし、しかしだ。何を思ったか当時の僕は自分がモテいるのを当たり前のように思っていたのだ。モテていることにほとんど気がついていなかった。まぁこんなもんなのだろうと。そう思っていたのだ。だからチョコをもらったところで大して喜びもしない。女子から誘われても心踊りもしない。信じられない。我ながらなんて悪童なんだろうと思う。だからちょっと今から過去に戻って説教をしてこよう。待ってろ俺。

ターイムスリップ!

-女子「はい斉藤くん、チョコあげる。手作りだよ」

小っちゃいアナスイ「あ、うん。ありがとう」

はい、ストーップ。動かないで。動いたらお湯ぶっかけるよ。

小っちゃいアナスイ「は、え、何!?お兄さん誰!?」

未来の君だよ。10年後からやって来たんだ。

小っちゃいアナスイ「え、そんなの信じられないよ!」

ほら顔とかよく見てみ?面影あるでしょ?

小っちゃいアナスイ「僕って言うより、お父さんに似てるかな?」

あ、やめて。それ俺割りと本気で気にしてるから。

小っちゃいアナスイ「やっぱり信じられないよ!」

・・・お前この前スーファミのカセットに息フーフーしすぎて貧血で倒れただろ。

小っちゃいアナスイ「な、なんでそれを!?誰にも言ってないのに・・・」

な?だから言っただろ。お前は俺なんだよ。

小っちゃいアナスイ「じゃあ未来の僕が一体何の用なのさ!?」

いやいや、ちょっとさ。社会をまったくわかってないお前に説教してやろうと思ってね。お前さ、今女子からせっかくチョコもらえたのに「なんだまたかよ」みたいな顔したよね。うん、絶対したな。

小っちゃいアナスイ「え、そんなこと・・・」

いーや、したね。あれ?何?ちょっと調子のっちゃってんじゃないの?

小っちゃいアナスイ「・・・いや、だってもうチョコけっこうもらったし」

うーわ、聞きました今の。こわいわぁー。なんでかなぁ。なんで大事にしないかなぁ。あとあと絶対後悔するよ?実際後悔してる俺が言うんだからこれ間違いないよね。

小っちゃいアナスイ「うーん。だってどうせこれから先ももらえるでしょ」

あははははは!あ、あ、あ・・・あははははは!ちょ、待って、笑いすぎてお腹痛い。みんなー、ここにバカがいるよー!バーカバーカ。あー。おもしれ。

小っちゃいアナスイ「な、なんで笑うのさ!?」

いやいや!言っとくけどさ、お前中学入ったらチョコ一個も貰えないからね!

小っちゃいアナスイ「え!?そ、そんな・・・!!」

小学校ではモテてたし中学でも問題ないでしょ。うんうん。これね、見事に打ち砕かれるから。残念でした。クラスの最初の自己紹介で緊張しすぎて「僕のお名前は・・・」とか言っちゃうから。それで少しの間、女子の間でのあだ名が「貴族」になるから。もちろん悪い意味でね。

小っちゃいアナスイ「ひ、ひどい・・・」

あはは。ざまぁみろ。そうだな、どうせだから高校の話もしてやろう。バレンタインデーの日に自分の机の中に手入れたらさ、どう考えても箱の感触があるんだよ。あれ、これチョコじゃない?まぁ当然そう思うよね。そりゃもうドッキドキですよ。それでいざ満面の笑みで取り出したらあれね、明治ブリックね。アクアブルガリア。ちきしょう!これ昨日俺が飲みかけで入れっぱなしにしといたやつじゃーねぇか!

小っちゃいアナスイ「・・・お兄さん、泣いてるの?」

う、うぅ・・・。ブリックってなんだよ・・・!ブリックって何だよ・・・!!

小っちゃいアナスイ「ほら、お兄さん元気出して」

ぐすっ。うん、ありがとう。

小っちゃいアナスイ「はい、これハンカチ」

や、優しいんだね。うわーこのハンカチ懐かしい・・・。

小っちゃいアナスイ「もう泣かないでね」

うん、大丈夫。と、とにかくね、女の子との関係は大事にしたほうがいいってことだよ。ごめんね、取り乱しちゃって。

小っちゃいアナスイ「んーん。わかったよ。ありがとうお兄さん」

よかった。わざわざ過去にまで説教しに来たかいがあったよ。

小っちゃいアナスイ「あのさ、一つだけ聞いてもいいかな?」

ん?

小っちゃいアナスイ「本当は何しに来たの?」

え?いや、だから説教を・・ね・・・?。

小っちゃいアナスイ「お兄さんは僕なんでしょ?嘘は通じないと思うけどなぁ」

・・・うん。

小っちゃいアナスイ「本当は何しに来たの?」

あ、あの、チョコをね・・・。

小っちゃいアナスイ「チョコを?」

ちょっとチョコをわけてもらおうかなー、なんて・・・。

小っちゃいアナスイ「お兄さん」

え?

小っちゃいアナスイ「帰れ」

・・・はい。

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2008年2月13日 (水)

あんテンドーDS

ついに念願のニンテンドーDSを中古で手に入れました。しかし残念ながらソフトを買うお金がないという悲しい現実。というわけで自分なりに工夫して遊んでみました。

Ds4 『脳を鍛える大人のDSトレーニング』

遊び方:問題を書いては次々に解いていく。自分のレベルにあった問題を出せるので、無理をしないでトレーニングができる。試してみたところ付属のタッチペンでは書き込めなかった。はっきり言ってDS本体は必要ない。

Ds_2 『Newスーパーマリオブラザーズ』

遊び方:開いたり閉じたりパタパタやってると、マリオやクリボーが動いているように見える。今回作ったゲームの中では一番の良作で、2分やっても飽きなかった。ただ調子に乗ってパタパタやりすぎてなんかあんまりちゃんと閉まらなくなった。やらなきゃよかった。

Ds3 『ドラゴンクエスト4』

遊び方:メンバー同士の人間関係とかを模索するゲーム。こいつとこいつは仲悪いとか。こいつとこいつは付き合ってるとか。こいつのバームクーヘンを食べたのはこいつとか。そうしているうちに、自分自身のレベルが上がる気がする。ただ、どんなに頑張ってもトルネコは生き返らない。

Ds_1 『おいでよどうぶつの森』

遊び方:自然の雄大さを感じることができる、ここはアフリカどうぶつの森。ゾウやキリン、シマウマたちと触れ合う貴重な体験ができます。さぁ、あなたもおいでよどうぶつの森。

背中に乗ろうとすると本体ごとイきます。

Photo 『ポケットモンスター』

遊び方:象、ゲットだぜ!(大問題)





Photo_2 『ニンテンドーDS』

遊び方:なんか「DS」って字に見えないこともない。この象はちょいとばかし可愛すぎる。





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2008年2月10日 (日)

ラブゲーム 解

前編 中編 後編

俺は大学2年になった。

今年の夏は、例年より幾分か涼すくなるとニュースでは言っていた。とても信じられない。照りつける太陽が俺の体力を奪う。

夏休み中とあってか平日なのに人通りが多い。自動販売機で何か冷たい飲み物でも買おうかと思ったその時だった。俺は人ごみの中に憧れ続けたその姿を見つけた。見間違えるわけはない。

「関口・・・さん?」

「え?・・・いっちゃん!いっちゃんだよね!」

「関口さん!なんか久しぶりだね!」

「本当に!元気だった!?」

関口さんはいくらか時間があると言うし、こんな暑い中で話すのも何だったので、俺たちは近くの喫茶店に入ることにした。関口さんと話すのは、俺がフラれた卒業式以来だった。あれだけ親しかった仲だ。積もる話もあるし、そして今ならやっと聞けることもある。

店員が注文したメロンソーダと冷たい紅茶を運んできた。会わなかった時間をゆっくり溶かすかのように俺たちはしゃべりだす。お互いの今の立場、高校時代楽しかったこと。関口さんは俺をフった罪悪感があるのか、ほとんど自分からは三人で過ごした日々を話題にしようとはしなかったが、あえて俺はその話題を選んだ。胸は少しだけチクチクと痛んだけれど、このまま気まずいのも嫌だし、俺はすでに全然気にしていないというポーズをとりたかったのだ。もちろん寺谷の話にもなった。

「ねぇいっちゃん知ってる!?あたしはまだ見てないんだけど寺谷君の漫画が雑誌に載ってるらしいよ!」

俺は飲んでいたメロンソーダを吹き出しそうになった。

「マジで!?そうなの!?」

本当に知らなかった。あれ以降寺谷ともまったく連絡をとっていなかったのだ。しかし、あの野郎。そんないいニュースなら報告してきたらいいのに。

「雑誌名はなんて言ったかな?忘れちゃったけど本屋さんに行けばまだあると思う」

「へぇー。じゃあ探してみるよ!あいつすげぇな!」

それからも楽しい会話は途切れることはなかった。関口さんは高校時代とほとんど変わっていない。髪が少し伸びたぐらいのものか。話し方も、笑い方も。まるであの時のままだ。俺は高校時代、この子が大好きだったのだ。あれから何日もの日が過ぎた。うん。今ならパンドラの箱を開けてもいい頃かも知れない。

「ねぇ、関口さん」

無意識に声のトーンが低くなった。関口さんはそれに気づいていないのか相変わらずの表情である。

「ん?」

「・・・ラブゲームって・・・聞いた覚えない?」

彼女はどう返すのだろう。知らないのだろうか。知っていても知らないフリをするのだろうか。もしかしたら種明かしをしてくれるかも知れない。高校時代毎日届いたメール。差出人も目的も不明のメール。関口さんからの俺への好感度が記されたメール。俺は今でもずっとその正体が気になっていた。関口さんこそは、きっと何か知っているに違いない。しかしその質問を受けた関口さんの反応は、俺のどの予想とも大きくかけ離れていた。

「ラブゲーム?・・・そうだ!なんだやっぱりいっちゃんも知ってるんじゃん!」

え?何を言ってるんだ?

「寺谷くんの漫画のタイトルでしょ!そうだ!『ラブゲームへようこそ』だ!」

・・・!?どういうことだ?何故ここでこんな形で寺谷の名が出る?・・・そうか、やはり寺谷にもラブゲームからのメールが届いていたんだ。そして寺谷はそれを漫画にした。確かに面白いアイデアだと思われるだろう。

だとしても・・・。関口さんは本当に何も知らないのか?関口さんのことはよく知っているけど嘘が上手につけるタイプの子ではない。じゃあ誰が何のために俺や寺谷にあんなメールを送ったのだろう?

「またいつでも連絡してよ」

喫茶店から出た後に俺がそう言うと、関口さんは笑顔で頷いた。そして関口さんと別れた俺は本屋へと急いだ。もちろん寺谷の漫画が載っているという雑誌を探すためだ。



結果から言おう。その雑誌はあった。寺谷の漫画も載っていた。ただそれを見つけてしまったことを俺は後悔している。それは少年なんちゃらでもヤングなんちゃらでもなく、アダルトコーナーにひっそりと置かれていた。買うのが大分恥ずかしかった。たまたまそのコーナーを通りかかってその雑誌のその文字を見なければ、俺は一生見つけられなかったかも知れない。アダルトコーナーの奥の奥。そこにそれはあった。

「特別読みきり ラブゲームへようこそ 寺谷ゲイッちゃん」

漫画の内容は大方予想通りだった。どこか俺や関口さんに似た高校生や、寺谷を遥かにかっこよくした高校生が出てくる。きっとあのとき盗み見た原稿に描かれていた漫画なのだろう。そしてそこには俺の予想通りの内容と、俺の予想だにしない真実の全てが書かれていた。

え?おい、嘘だろう・・・?

漫画を読み終えた俺は全てを理解した。犯人も、動機も、その全てを。しかしこんなことなら謎が謎のまま終わったほうがよかった。何も知らないほうがずっとよかった。俺は・・・俺は・・・なんてことを・・・。

寺谷との思い出が走馬灯のように駆け巡る。

『「マジで!?行く行く!俺遊園地って大好きなんだよね!あの新しく出来たボヘミアンコースターも乗ってみたかったし!」』

『「あれ?瀬戸ってそんなオシャレだったっけ?」』

『「でもよ、お前好き好きオーラ出しすぎなんだよ。わかりやすすぎ。あれじゃ、いくらお前に好意持ってたとしても引いちまうぜ?」』

『「あぁ・・・受かってたよ」 俺がそう言った瞬間、寺谷が俺に抱きついてきた。』

『「まぁ、そう言うなよ。俺はお前のこと好きだしさ、これからも仲良くやろうぜ」』

思い出すことに点と点が線になっていく感覚。額から汗が流れた。

あのメールを送っていたのは。そうだったのか。なんてこった・・・。くそ、あの野郎・・・。

寺谷・・・!!!

あの好感度は関口さんから俺へのものではなかったのだ。関口さんは本当に偶然に偶然が重なった奇跡のような、ただの転校生だったのだ。あの好感度は俺へ対するものであったことには変わりない。ただ相手が違ったのだ。

寺谷・・・!!!!

そしてあの夜起こったことを俺はやはり漫画で知ることになる。

『いつの間に寝てしまったんだろう。暗い部屋の中で俺は目を覚ます。どこからか寺谷のいびきが聞こえた。床で寝ていたせいか、体やら尻やら間接やらあちこちが痛い。』

く、くそっ!寺谷!寺谷ぃぃぃぃ!俺に何をしたぁっぁぁ!!!ゲイっちゃーーーん!!!なんだその飛び切りのペンネームはぁぁぁぁぁ!

あぁぁぁぁぁぁあぁ!!!!!!!!

・・・え?あれ?俺・・・。

いや、待て待て待て。

待てって!!!

興奮している。違う、そ、それは怒りからくるものだ。呼吸が乱れている。何だこの感覚は。ち、違う、こんな雑誌を読んだからではない。そんなわけはない。体が疼いている。植えつけられた感覚が呼び覚まされたとでも言うのか!?違う。俺は違う。俺は・・・。

寺谷の顔を浮かべれば浮かべるほど体は疼いた。そうなのか?1度覚えた快楽は忘れられないのか・・・?俺はもう・・・そっち側の人間なのか・・・?

気がついたら俺は携帯電話を手に取り寺谷にかけていた。間もなくして寺谷が出る。

「おう、久しぶりだな。心配してたんだぜ。まぁ会えない時間が愛育ってるって言うしなぁ・・・」

「寺谷・・・!てめぇー!」

「ふふ、・・・ラブゲームへようこそ。瀬戸 様の好感度は100%です」

俺はその瞬間部屋を飛び出していた。寺谷・・・!寺谷・・・!!もう何でもいい!俺を抱いてくれぇぇぇ!

開け放した窓から入る風が、筋肉に覆われた裸で笑う男が表紙の雑誌のページをめくる。絡み合う2人の男子高校生。責めに回る格好いいほうの男が言う。

「あの木の下で告白し成就したカップルは永遠に結ばれるんだぜ」

(完)

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2008年2月 8日 (金)

ラブゲーム 後

前編 中編

「なぁ、寺谷。お前さ、今、その、気になる人とか・・・いねぇの?」

「はぁ!?何だよ急に!気持ちわりぃな!」

「いや、別になんでもねぇけどよ!」

「怖い怖い。瀬戸怖い」

「わかったよ!もう聞かねぇよ!」

「・・・いるよ」

「え?」

「なんだよ!俺に好きな人がいちゃ悪いのかよ!」

「いや、別にそういうわけじゃねぇけどよ・・・」

「お前・・・関口のことが好きなんだろ?」

「え、あの・・・いや・・・」

「いや、隠さなくてもいいって。安心しな。俺は関口には興味ねぇから」

・・・え?

そうだ。もちろんそうだ。関口さんが寺谷をよく思ってたって寺谷が関口さんを何とも思ってないことだってもちろんあるのだ。だとしたらそれは、願ってもないチャンスだ。

「寺谷・・・」

「でもよ、お前好き好きオーラ出しすぎなんだよ。わかりやすすぎ。あれじゃ、いくらお前に好意持ってたとしても引いちまうぜ?」

こいつに女のことを語らせるのは癪だったし、「関口さんが行為を持っているのはお前なんだよ!」と叫びたくもなったが、寺谷の言葉には確かに説得力があった。俺は確かにがっつきすぎていたのかも知れない。難しい駆け引きなんてレベルのことが俺にできるわけはないのだろうけど、ちょっとストレート過ぎたのかも知れない。とにもかくにも俺は寺谷と話をして、少し安心したしスッキリしたことだけは確実だった。寺谷と関口さんの関係に毎日イライラしていて、おそらくそれが影響で好感度が下がってしまっただろうこともあった。どうするか迷いに迷ったが思い切って寺谷に話してみてよかった。ただ、ラブゲームについて触れるのは避けておいた。

それから俺は寺谷の言葉通り、関口さんへの態度を少し改めてみた。もちろん関口さんと2人で会話をすることもあったが、ほとんどの会話には寺谷を挟んだ。そんな日々の中で俺への好感度は順調に上がっていった。確かにそれは近くに寺谷がいたからだろう。でも寺谷がずっと関口さんに振り向かなくて。その時に俺への好感度が例えば90%あったとしたら。それはもしかしたら実を結んだりもするんじゃないだろうか。確信はとても持てなかったが、今の俺にはそれに賭けるしかない。それしかできない。

「title:ラブゲームへようこそ」

「瀬戸 様の好感度は70%」

ついに俺への好感度は70%を超えた。

次の日の朝。いつも通りの通学路を過ぎて、いつも通りの教室の中。でもほんの少しだけ、いつもとは違っていた。

「おはよう、いっちゃん」

関口さんが俺にむかって確かにそう言ったのだ。え?なんて?いっちゃん?今そう言ったよな?「いっちゃん」、というのは俺のあだ名だ。多くはないけれど、俺のことをそう呼ぶやつもいる。でもなんで関口が急に?・・・好感度70%。そうだ、間違いない。好感度が70%を超えると、呼び名があだ名になるのだ。もちろん嬉しくないわけがない。「瀬戸くん」が「いっちゃん」になったそれだけで、距離がずっと近くなったような気がした。うわぁ、俺女の子に、しかも関口さんにいっちゃんって呼ばれてるよ。

「おぉ、おはよういっちゃん(笑)」

・・・寺谷!!

しかし隣にいた寺谷までが俺のことをいっちゃんと呼び出したのには少し腹が立った。関口さんがそう呼ぶのを聞いて、面白がって便乗したのだ。まったくこいつは。しかし今こいつを敵に回すわけにもいかないので、とりあえず俺はそれを流しておいた。

-それから日々は流れた。

高校3年生になった俺たち3人は、まるで導かれるかのように同じクラスになった。席こそ離れ離れになってしまったものの関係は相変わらずだった。俺がいて、寺谷がいて、関口さんがいる。休み時間になればいつも話をしていたし、一緒に帰ることも日常茶飯事になっていた。休みの日に3人で遊びにでかけることもあった。

ある日から好感度は80%を超えた。

高校3年生らしく、進路の話も随分とした。俺は3流の大学を目指し、関口さんは俺なんかではとても手の届かない有名私立大学を希望していた。できれば関口さんと一緒の大学に進みたかったが、まぁ仕方がない。寺谷は高校を卒業したら、なんだかよくわからないけど漫画家を目指すらしい。まぁ寺谷らしいと言えば寺谷らしいのだが。3人で誰かの家に集まって一緒に勉強をすることもあった。俺は関口さんに時に勉強を教えてもらい、寺谷は黙々と漫画を描いていた。何度頼んでも寺谷がその原稿を見せてくれたことはない。「恥ずかしいから嫌だ」の一転張りだったのだ。でも俺はチラッとその原稿を盗み見たことがある。そこには、どこか俺に似た高校生とどこか関口さんに似た女子高生、そして寺谷をはるかに格好よくしたような高校生が描かれていた。時間は刻一刻と流れ、焦りがなかったと言えば嘘になる。でも幸せな日々だった。

俺は思う。人はきっとこういうのを「青春」と呼ぶのだろう。

今日は俺の本命大学の合格発表の日だ。滑り止めとして受けた2つの大学にまさかの失敗をし、もう後がない。外は寒かったが受験票を持った手には汗が滲んだ。関口さんは早々と希望大学の合格を手に入れていた。寺谷は漫画家を目指す。後は、俺だけだ。足りないピースは俺だけ。俺は合格者発表の掲示板にそっと目を向けた。

128番。頼む、あってくれ。128番-。


「ピンポーン」

家のチャイムがなった。外に出るとそこには関口さんと寺谷の姿があった。もう夜も遅いのに、わざわざ俺を訪ねてきてくれたのか。関口さんが心配そうに口を開く。

「いっちゃん・・・結果、どうだった?」

「あぁ・・・受かってたよ」

俺がそう言った瞬間、寺谷が俺に抱きついてきた。

「よかったなー!本当によかった!」

「おいおい、大袈裟だって。落ち着け寺谷」

俺は笑いながら視線を関口さんにうつす。

「ほん・と・・に・・・よか・・・た・・・」

え?

関口さんが泣いている。俺のために。そのことのほうが大学に合格したことよりも、なんだか心に染み渡った気がした。関口さん。寺谷。本当にありがとう。俺が大学に合格できたのも、高校時代をこんなに満喫できたのも、間違いなく2人のおかげです。



それから卒業式までの日々はあっという間だった。俺らは相変わらず仲が良かったし、高校時代の思い出も十分満足できるだけ残したつもりだ。ただ、俺には後ひとつやり残したことがある。担任が最後の挨拶をする中、俺は関口さんを見る。関口さんは泣いていた。関口さんの涙を見るのは、あの日、俺の合格発表の日依頼だ。窓から外を見ると桜が咲いていた。うちの学校にはやたらと大きな桜の木が一本ある。それは生徒たちから「伝説の木」と呼ばれていた。俺は携帯電話を開き、昨日のメールを読み返す。

「title:ラブゲームへようこそ」

「瀬戸 様の好感度は 98パーセント」

「おすすめ告白スポットは 伝説の木の下」

担任の話が終わって、生徒たちが思い思いの行為を始めている。ずっと友達だよ、と言い抱き合う女子生徒。卒業アルバムの後ろのページに寄せ書きを書きあうクラスメイト。俺は決心して立ち上がり、その中を進む。

「関口さん、ちょっといいかな」

風が吹くたびに桜の花びらが舞い散る。伝説の木。3年間も通ったのに、いざ真下に立つとこんなに大きく見えるなんて知らなかった。

「いっちゃん。何?こんなところに連れ出して話って」

関口さんは転校生だからこの木の事を知らないのかも知れない。生徒達の間で、この木の下で告白し成就したカップルは永遠に結ばれる、という伝説があることを。俺は昨日寝ないで考えた言葉を、何度も何度も頭の中で繰り返し、ようやく言葉にできた。

「あのさ、俺ずっと・・・関口さんのこと・・・」

「え?うん」

「好きだったんだ。大好きなんだ。もしよかったら・・・俺と付き合ってくれないかな?」

「・・・うん、嬉しいよ。あたしもいっちゃんのこと大好きだよ・・・」

「え!?それじゃ・・・!?」

「でも・・・ごめんね・・・あたしいっちゃんとは付き合えない・・・ごめんね・・・」

「・・・そっか・・・わかった・・・急に呼び出したりしてごめんな・・・」

「・・・うん、じゃああたし行くね」

「あの、関口さん!」

俺のその声を聞いて関口さんはこっちを振り返った。

「ありがとう!その、本当にありがとう!」

俺は精一杯の笑顔で、俺の元から走り去る関口さんを見送ったあと、その場にしゃがみこんだ。思ったよりずっときつい。世界が歪む。やはり本当に好感度が100%じゃないとダメだったのか・・・。

「よー。いっちゃん」

「・・・寺谷!」

「フラれちゃったな!」

「くそ、ほっとけよ!」

「まぁ、そう言うなよ。俺はお前のこと好きだしさ、これからも仲良くやろうぜ」

寺谷がいつもの軽い口調で言う。そんなものに、俺は少し救われる。

「寺谷・・・」

「今日はパーッと飲みますか!?」

「はは、そうだな・・・!そうするか!」

その日俺は寺谷の家で、それはもう飲みに飲んだ。本当なら未成年は酒なんて飲んじゃいけないんだけど、今日ぐらいは許される気がした。だって今の俺ほど酒が染みるやつなんてそうはいないだろう。

いつの間に寝てしまったんだろう。暗い部屋の中で俺は目を覚ます。どこからか寺谷のいびきが聞こえた。床で寝ていたせいか、体やら尻やら間接やらあちこちが痛い。携帯電話を見ると時刻は深夜の3時を回っていた。毎日欠かさず届いていたラブゲームからのメールが、今日は届いていなかった。俺は二度とそのメールが来ないような気がした。

缶に残ったわずかばかりのビールを飲み干す。自然と涙がこぼれて来る。あぁ。本当に終わっちまったんだな。

缶ビールを潰したクシャっという音が、真っ暗い部屋の中に響いた。

「関口・・・さん・・・。関口・・・さん・・・」



卒業してバラバラになった俺たちは疎遠になった。

関口さんにもう会えないのは覚悟していたが、寺谷ともパッタリ会わなくなった。寺谷に会うと関口さんを思い出してしまいそうで、怖くて連絡をする気にならなかったのだ。むこうも忙しいのか連絡が来る事はなかった。それは寂しくて悲しい事でもあるけれど、向き合わなければいけない。俺たちは別々の道を歩み始めたのだ。

そしてあのとき感じた通り、俺が関口さんにフラれたあの日以降、ラブゲームからのメールが届くことは一切なかった。

(続く)

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2008年2月 7日 (木)

ラブゲーム 中

前編 へ

初めてそのメールが届いた日以来、欠かすことなくそのメールは毎日俺の元に届いた。もちろん今日も例外ではない。

「title:ラブゲームへようこそ 瀬戸 様の好感度18%」

誰が何のためにそんなメールを送ってくるのかは皆目見当もつかない。ただ、一つだけわかったことがある。このメールに表記されている「好感度」。これが転校生である関口さんとリンクしているということだ。

初めから、もしかしたらそうでないかとは思っていた。関口さんが転校してきたあの日の朝、俺は登校中の食パンを咥えた関口さんにぶつかった。これがまず出来すぎている。そして関口さんの席は当たり前のように俺の隣に。俺はまるでゲームのようだと思った。そしてラブゲームと書かれたメール。ほぼ同時に起こったこの二つに関連性を疑うのは決して不自然なことではないだろう。

そしてその仮説は確信に変わった。それまでも関口さんと朝に目が合えば「おはよう」と挨拶をした日もあったし、その日のメールでは好感度が上がっていた。俺が風邪で学校を休んだ日は好感度は上下しなかったし、授業中先生に当てられて簡単な質問に答えられなかったときは好感度が下がったりもした。そしてある日のことだ。俺は寺谷と関口さんと三人で会話をした。俺と寺谷が次の英語の授業の宿題の範囲がわからなくて、それで思い切って席の近い関口さんに聞いてみたのだ。関口さんは嫌な顔一つせず笑顔で教えてくれた。短い会話ではあったが、俺のウケを狙った発言に関口さんが笑ってくれたのが嬉しかった。その日のメールでは、いつもは1%ずつだった好感度が、初めて2%上昇した。その日俺は他の女子となんて会話していないし、誰かによく思われることなんて一切していない。だからたぶん間違いない。これは関口さんの、俺に対する好感度なのだろう。

関口さんは転校して来て以来、クラスにうまく馴染んでいた。抜群に明るいほうではなかったが、彼女の周りにはいつもクラスメイトが集まっていた。可愛らしいのにも関わらず男子より女子に人気があるところも俺としては見逃せない。

それから数日が経ったある日のことだった。携帯が鳴る。この時間ということはラブゲームからのメールだろう。もう慣れていた。

「title:ラブゲームへようこそ」

やっぱりな。俺はそのタイトルを見てそう思う。

「瀬戸 様の好感度30%」

おぉ、ついに30%を超えたか!最近では毎日のように俺と関口さんは短い会話をしていた。いつだって俺は寺谷とセットだったけれど。そしてメールはその後も続いていた。

「おすすめデートスポットは 遊園地」

え?なんだこれ?こんなことは初めてだった。いつもは好感度が書かれているだけで終わるのに。なんで?・・・好感度が30%を超えたから?可能性としてはゼロではない。これは現実だけどゲームなのだから。むしろ当たっているような気がする。デートをする?俺と、関口さんが、遊園地で。

その日の夜、俺は眠れなかった。はっきりと言える。俺は関口さんが好きなのだ。関口さんは俺のお気に入りの恋愛シュミレーションゲームの、その中でも特にお気に入りの子にそっくりなのだ。その子がもし現実に存在したらと考えると、まるで関口さんはイメージ通りなのだ。もしかしたらゲームと現実の境目が曖昧になっていたのかも知れない。だからこそすんなりと、この奇怪なラブゲームに入り込めた。だからこそ疑いよりも好奇心が勝った。このラブゲームは俺にとって手助けでもある。好感度がはっきりとわかることはある意味では残酷でもあるのだが、恋愛経験がほとんど皆無な俺にとって、女心が数字になって表れるのはありがたかった。ちゃんと好感度が上がり続けてくれたからこそ、そう思えたのかもしれないけれど。関口さんは、少しずつでも確実に俺のことを好きになってくれている。色んな疑問への視線を、その喜びが曇らせた。

結局朝まで一睡もできなかった。それでも朝、関口さんに会うと眠気が吹っ飛んだ。顔を見ただけで心臓が高鳴った。

「おはよう」

お互い挨拶を交わす。この子とデートする?無理だ。俺にはできない。今まで生きてきて女の子と2人でデートしたことなど一度もない。きっと緊張して何も話せなくなってしまう。でも、デートは諦めたくない。きっと好感度を上げる大きなチャンスだ。じゃあどうする?俺一人じゃ無理だ。そこで一つのアイデアが浮かんだ。そうだ。

寺谷・・・!

昼休みの始まりを告げるチャイムが鳴る。一緒に昼飯を食べる寺谷に俺は持ちかけた。

「なぁ、寺谷。今度の日曜暇か?」

「あぁ、別に予定はないけど。何?なんかあるの?」

「実は親戚にボヘミアンランドのチケット3枚もらってさ。よかったら一緒に行かねぇか?」

「マジで!?行く行く!俺遊園地って大好きなんだよね!あの新しく出来たボヘミアンコースターも乗ってみたかったし!」

「お、おぉ!・・・それでさ、チケット1枚余ってるし、他に誘うやつもいないしせっかく行くのに華がないのもあれじゃん・・・。だから、その、関口さんも誘ってみようかな、なんて・・・」

「ん?・・・あ、あぁ!2人だと確かにな!オッケー!オッケー!いやぁ楽しみだなー!」

俺は一つの隠し事と一つの嘘をついた。チケットはこれから俺が自腹で買うこと。そして寺谷はあくまでもおまけだということ。寺谷はもしかしたら俺の思惑に気づいていたのかもしれないけど。確かに本当は関口さんと2人で行きたかったのだが、まぁそれは今の俺では無理っぽい。

話は怖いぐらいに順調に進んだ。関口さんを誘う時は緊張のあまり吐き気すら催したが、関口さんはまるで誘われるのを待っていたかのように快諾してくれた。ただ、俺も不思議と関口さんは誘いを受けてくれるような気はしていた。きっと「おすすめデートスポットは 遊園地」の一言がなければ、デートに誘おうとすることすら思い浮かばなかったのだろうけど。

その日のメールは好感度が5%上がっていた。よしっ!よしっ!しかしこんなところで喜んでいる場合じゃない。本番は日曜日だ。俺は学校の帰り道、初めて買ったファッション誌のページをめくった。

日曜日の集合時間の5分前、集合場所にはすでに関口さんの姿があった。

「ごめん。待たせちゃった?」

「あ、瀬戸君おはよう。んーん、あたしも今来たとこだよ。あたしたし早く着すぎちゃったのかな」

そう言って笑う関口さん。か、可愛すぎる。私服姿をみるのは初めてだった。派手ではないけど、華があって、うまく形容はできないけれど、ただただ可愛らしい。そんなドキドキしている俺に関口さんが言った。

「瀬戸君の私服姿って始めてみたけど、オシャレさんなんだね!」

っしゃぁぁぁあ!!!俺は心の中でガッツポーズをする。その一言が聞きたくて昨日わざわざ服を買いに行ったのだ。服代と遊園地のチケット代で貯金は全て吹き飛んだが、その一言で報われた。まもなくして寺谷が現れた。

「いやぁ、悪い悪い」

「おぉ寺谷。俺らも今来たとこだよ」

「あれ?瀬戸ってそんなオシャレだったっけ?」

「ま、まぁな!」

遊園地では本当に楽しかった。意外と俺と関口さんはうまくしゃべれて、もしかしたら本当に寺谷はいらない子だったかもしれない。いや、利用しといてこんなことを思うのはさすがにあれか。すまない寺谷。寺谷は寺谷で楽しそうだったからまぁいいのだけれど。肝心の関口さんも終始笑顔が絶えていなかったように思う。ただ関口さんがこんなに絶叫マシーンが好きだとは思わなかった。まさか寺谷が散々言っていたボヘミアンコースターに3回も乗ることになるとは・・・。その日の来たメールでの、俺への好感度は一気に50%を超えていた。

次の日、俺と関口さんは学校で色んな話をした。朝から下校時まで。学校で誰かとこんなに話したのは初めてのことだった。もう寺谷の力を借りる必要もない。俺と関口さんは昨日遊園地でそうであったようにスムーズに話せたし、なにより俺の好感度は50%を超えているのだ。関口さんも俺との会話でたくさん笑ってくれた。

最近であのメールが届くのが待ち遠しくもあった。特に今日はそうである。これだけ話をしたんだ。これだけ笑わせた。一体どれぐらい好感度が上がっているのだろう。いやがおうにも胸が高鳴る。いつもの時間に携帯電話が鳴った。

「title:ラブゲームへようこそ」

はいはい。オッケーオッケー。

「瀬戸様の好感度 49%」

それを見た瞬間俺は持っていた携帯電話を落としそうになった。な、なんで?なんで下がっている?あんなにたくさん話したじゃないか。あんなにたくさん笑わせたじゃないか。なんで?俺はひどく焦った。も、もしかしたら話しかけすぎて鬱陶しかったのかもしれない。関口さんにも他のクラスメイトとの付き合いもあるし。そうか、きっとそうだ。そうに違いない。

次の日話す量を減らしてみた。好感度は下がった。次の日もっと減らしてみた。それでも好感度は下がった。

なんでだ?何が起こった?これまで順調に上がっていた好感度が下がり始めている。なんで?俺のどこがいけない?なんで今の俺は関口さんによく思われていない?俺は手元にあったファッション誌を手荒くめくる。何でもいい。情報をくれ。誰でもいい。教えてくれ。そしてとあるページで手が止まる。そのページで小太りで肌を黒く焼いた女が、まるで男を見下したようにほざいていた。

「本命の男ががいるのに、どうでもいい男に付きまとわれてもウザいだけだよねー」

普段なら「ふざけんな」ともなりそうだが、そのときの俺にはその言葉が深く突き刺さった。まさか・・・。

関口さんに好きな人がいる?

そしてもう一つの疑問が浮かぶ。もう1度メールを読み返す。「瀬戸 様の好感度・・・」。「瀬戸 様の・・・」。

まさか・・・ラブゲームへの参加者は俺だけじゃないのか?

確かに今までは思いもつかなかったが、別にそうであったとしても何らおかしくはない。このメールの「瀬戸 様の・・・」というところを見る限り、参加者が他にもいると考えた方が自然だ。でも、本当にそうか。俺がこの、誰が何のために送っているのかわけわからないメールを信じてたのは、明らかに出来すぎていたからだ。関口さんが俺の好きなゲームの登場キャラクターに似ていたからで。遅刻をしかけて走っていたときに食パンを咥えていた関口さんにぶつかったからであって。その関口さんがうちのクラスの転校生であったからで。さらには席が隣になったからで。それだけの条件が重なったから信じたのだ。このクラスでそのゲームを好きそうなのは寺谷ぐらいしかいないだろうし、関口さんが話をするのはほとんどが俺か寺谷のどちらかだ。え・・・?はは、まさか・・・。

寺谷・・・!!

関口さんが転校してきた日、確か寺谷も遅刻をしかけたと言っていた。そして関口さんの席は寺谷の隣でもある。関口さんと初めてまともに会話をした日、そこには寺谷がいた。それからもそうだった。いつもそこには寺谷だ。そしてこの前の遊園地でも・・・。寺谷があの日食パンを咥えた関口さんにぶつかったかどうかは定かではないが、それ以外は確かに合っている。

次の日、俺は試しに久しぶりに関口さんとの会話に寺谷を混ぜてみた。ここのところ俺は関口さんに夢中で寺谷とあまり絡んでいなかったが、それでもそこは旧知の仲だ。会話は盛り上がる。関口さんもいつもより笑っている。そしてその日のメールで、俺への好感度は数日ぶりに上がっていた。

間違いない。寺谷だ。寺谷がラブゲームに参加しているのかどうかはわからないが、俺より好感度を持たれていることは間違いない。おそらく俺は今、関口さんに「寺谷くんのお友達」として見られている。寺谷君のお友達だから、寺谷と一緒にいるときは俺の好感度も上がる。というわけだ。

くそっ!

俺は携帯を壁に投げつけるのをグッと堪えた。

(続く)

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2008年2月 5日 (火)

ラブゲーム 前

(ふぁ、面倒くせぇ。なんで学校なんて行かなきゃ行けねぇんだよ)

俺は制服のネクタイを締めながらそう思う。気分は軽く陰鬱だった。

新しい学年になってクラスが変わった。去年までの仲が良かったクラスメイトとは離れ離れになった。今のクラスは、なんというか体育会でガヤガヤしてて、俺にはどうにもうまく馴染めそうにない。だからと言って、自分で思うに、クラス内でこれといって浮いているわけではないと思う。一緒に昼飯を食う仲間もいるし、ジョークの一つも飛ばせる。どこにでもいる一般生徒をうまく演じているつもりはある。ただ、退屈だ。ひどく退屈だ。

部活動はやっていない。そういったものにバカにしているつもりはないし冷めてもいない。少しぐらいは憧れもある。しかし俺は自分で自由に時間を使える帰宅部を選んだ。簡単に言ってしまえば、ただ楽をしたかっただけなのかも知れない。家に帰ってひたすらテレビゲームか漫画に興じる日々。俺の青春は、青いだけで春だとはとても思えなかった。もしかしたらどこにでもいるのかも知れない、そんな高校2年生だった。

何度やってもネクタイの細いほうが長くなる。もう何度となく締めてきたはずなのに、どうしてもこのミスは犯してしまう。少しだけイライラする。ようやく決まったのは、三度目にしてのことだった。俺は近くに置いてあった携帯電話をチェックした。やばい、もうこんな時間だ。早く行かないと遅刻してしまう。こんなことなら昨日遅くまでゲームをやっているんじゃなかった。後悔はするけど反省はしない。どうせネクタイのミスと同じように、今日だって明日だって遅くまでゲームをしてしまうに決まっているのだけれど。携帯電話には見知らぬアドレスからメールが届いていた。

「Title:ラブゲームへようこそ」

タイトルを見ただけですでに読む気が失せた。どうせ数ある出会い系の迷惑メールか何かだろう。こんなものに時間を割いている余裕はない。俺はそのメールの内容を読まずに携帯を畳み、制服のポケットに入れて部屋を出た。

「朝ごはん食べていかないの?」

ここ最近朝ごはんなど食べた記憶がない。母さんには少し悪い気もするが、高校生は高校生なりに、例えこんな俺だって忙しいのだ。

学校までの道のりを走る。はっきり言ってうちの担任は滅茶苦茶に厳しい。体罰こそないものの、遅刻一つでネチネチと小言を言い、蔑んだような目でこっちを見る。昨日だってそうだった。まぁ、こうも毎日毎日遅刻の瀬戸際にいる俺にも責任はあるのだが。今日こそは間に合ってくれ。二日連続であの小言を聞かされるのはさすがにきつい。俺は息を切らし走った。

そしてそれはいつもの曲がり角でのことだった。

ドンッ!

俺は何かにぶつかって尻餅をついた。「ごめんなさい」。俺はとっさに謝る。どっちが悪いとかそんなことに関係なく、とりあえず謝るのが今まで生きてきて俺が学んだ賢さだ。俺の目線の先には、同じように尻餅をついた女の子がいた。その女の子は口に食パンを加えていた。

「あの、ごめんなさい」。俺はもう一度謝る。そして同時に思う。

(おいおい、ベタすぎるだろう・・・)

俺は立ち上がり女の子に手を差し出した。女の子にほとんど免疫がない俺にとって、この行為は本当は照れくさくて仕方がないのだけれど、さすがに突き飛ばして放っておくわけにはいくまい。女の子は素直に俺の手を借りて立ち上がると、小さい声で、

「こ、こちらこそごめんなさい」

と言って走り去って行った。俺はボーっとその様子を見送る。彼女が走っていった方向に、本来なら自分も急がなければならないのだけれど、その時ばかりは遅刻のことなどまるで考えられなかった。本当にあるんだな。食パンを咥えた女の子と曲がり角でぶつかるだなんて。まるで漫画やゲームの世界の出来事の様だった。ベタ過ぎて逆に起こらない現実。それにあの制服。突然のことに少なからずパニック状態だったためちゃんとした確認はできなかったのだが、うちの学校の女子の制服に酷似していた。

「はは、まさかな。それはちょっと出来すぎてるよな」

俺は頭の中に描かれたストーリーに対し、つい独り言を言ってしまった。でも、ちょっと可愛かったな。そしてようやく事態に気づいた。今自分はこんなことをしている場合じゃないのだ。このままでは遅刻してしまう。俺は再び走り出した。

学校に着いたのは遅刻ギリギリの時間だった。俺は自分の席に着いて大きく一つ呼吸をする。同じ横の列の一つ離れた席に座る寺谷が俺に声をかけてきた。

「おう、瀬戸。危なかったな」

「あぁ。二日連続はさすがにキツイから朝から猛ダッシュだったよ」

「はは、まぁ俺も今日はギリギリで今さっき来たばっかりなんだけどな」

寺谷はこのクラスでただ一人話が合う男だった。ゲームの話も漫画の話も、こいつだけがわかってくれる唯一の救いの存在だ。もしかしたら、このクラスで俺がちゃんと友達と言えるのは寺谷だけなのかもしれない。そして何より、女にモテないというのが俺たちの最大の共通点だった。

そんなどうでもいい会話をしていると、担任がクラスに入ってきた。

「ホラ、みんな席につけー」

その一言でクラス中が動き、静寂を取り戻す。俺の体もまるで凍ったかのように動かないでいた。それでも、心臓はいつもの何倍も早く動いた。それは担任が入って来たからではない。俺の口の中はカラカラに乾いた。それは遅刻を免れようと走って来たからではない。また、担任の小言を恐れてなんかでも決してない。俺は目を離せなかった。担任の横に立つ背の小さい少女に。あの、少女に。

「転校生を紹介する。みんな仲良くしてやってくれ」

その少女が一生懸命に頑張る自己紹介など、ほとんど俺の耳には入ってこなかった。唯一覚えているのは名前だけ。関口・・・さん。今朝頭の中で描いた世界が、今まさに現実になろうとしている。そのことで頭がいっぱいだった。本当なら可愛い転校生と一つの接点を持っている自分の立場を喜ぶべきなのかもしれない。でも、俺はうっすらと恐怖すら感じていた。だってこんなの出来すぎているではないか。現実として受け止められない。食パンを咥えた少女と曲がり角でぶつかる。そしてその子は実は自分のクラスの転校生だった。これじゃずばりそれこそ漫画である。アニメである。ゲームである。しかしそんな俺の脳内会議とは裏腹に世界は進んでいった。

「えーじゃあ、あの瀬戸の隣の・・・、と言ってもわからんか。この列の一番後ろの空いている席に座ってくれ」

転校生は担任に言われるがままに俺の隣の席に着いた。

話しかけられるわけもない。顔をまともに見ることさえ出来ない。それでも当然気にはなる。俺はチラチラとその子に視線を送った。間違いない。今朝ぶつかった、食パンの子だ。そして何度目かのチラのときに、その子と目が合った。少し落ち着き始めていた心臓が、再び激しい鼓動を刻んだ。ど、どうする。このまま目をそらすのも不自然だし何か言わないと。俺はギリギリ声になるかならないかの声で言った。

「あ、あの・・・今朝はごめんなさい」

それを聞いた転校生、いや、関口さんは、よく見ていないと見逃してしまうほどの笑顔で小さく頷いた。会話はそれだけで終わった。

それ以外はいつもと変わらぬ平凡な一日だった。そのインパクトが強すぎて、何か起こったとしてもやはり平凡に感じてしまっていただろうけれど。いつも通りの授業。ただ隣の転校生が気になるあまり、授業中に眠りにつくことはできなかった。

休み時間になると関口さんは他の女子に囲まれ、そうでなくても出来ないだろうけど俺に付け入る隙はなかった。周りの女子達がはけると、今度は寺谷が関口さんに話しかけていた。関口さんの席は俺と寺谷の席の間にある。俺が言うのもなんだが、寺谷が女子と会話をしているところなどほとんど見たことがない。というより、女子に話しかけられてもしどろもどろになってうまく会話が成立しているのを見たことがない。へぇ、寺谷のやつ女子と会話できるんだ。何を話しているのか気になったが、残念ながらその内容までは聞き取れなかった。ただ、寺谷の目は凛々と輝いていた。

家に帰ってから、俺はゲームの電源を入れた。あっという間に夜になり日付が変わる。早く寝ないといけないのはわかっている。このままではまた遅刻の危機にさらされてしまうことも。でもどうしても、あと少しだけ、となってしまうのだ。わかってはいるのだが。

その時携帯電話がなった。メールだ。

「Title:ラブゲームへようこそ」

見覚えのあるメールだ。そうだ、確か昨日もこんなメールが来ていた。俺は昨日読まずに放置したメールを思い出した。まったくしつこいな。一体何なんだよ。俺は何気なしにその文面を読んでみた。そこにはこう書かれていた。

「瀬戸 様の好感度 5%」

-(続く)

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2008年2月 3日 (日)

消え行く者たち

Kieyuku はっきり言って抜群に面白いアイデアが頭の中に浮かんだ。それは神からの啓示のように、僕に舞い降りてきた。僕は普段から自画自賛も甚だしいのだが、今回に限ってはおそらくそんなケースではない。客観的に考えて面白いと、それも「かなり」がつくほどのアイデアであった。近いうちに長編小説を書きたいと考えていて、何かいいアイデアはないかと働く暇も惜しんで考え倒していたのだが、その悩みを軽々と吹き飛ばすほどの発想だ。なんだったらコンクールに応募とかしちゃうか?新人賞とかとれちゃったりして!本気でそう思った。ただ残念なことに、今現在、そのアイデアを僕はまったく思い出せずにいる。

それは夢だったのだ。僕は夢を見たのだ。自分の頭の中で無意識に勝手に繰り広げられていくストーリー。今朝のそれがあまりに秀逸だった。夢ってやつは自分自身の産物にも関わらず、起きている間では確実に描けないであろう世界を構築する。理不尽であったり、突飛であったり。自分の夢に笑って起きる事も少なくない。僕が今朝夢の中で描いた世界がまさにそうであった。自分のことながら、その発想があったか、と。これならいける、と。

僕は自分が見た夢をけっこう覚えている。しかし、これが不幸にも今日のに限って思い出せないのだ。本当に面白かったのに。悔しい。悔しくて仕方がない。フジテレビのアナウンサーの前で失禁する夢ならば、こんなにも鮮明に思い出せるというのに。あぁ、カムバック今朝。

朝、目が覚めた。そのアイデアはまだ確かに頭の中にあった。屑々と降る雪なんかよりずっと強烈な。何度思い返しても非の打ち所のないアイデアに思えた。恐ろしく胸が高鳴ったのを覚えている。これを文章に起こしたならば。もしかしたら僕が今欲しいものが手に入るかもしれない。僕は興奮を抑えようとタバコに火をつけた。緻密なゲーム性があって、ドキドキして涙も笑いもあって。そんなアイデアだった。

窓の外を見る。ひたすらに白い。地面を見ると雪が積もっている。空を見ると積もるための真新しい雪が落ちている。

僕はふと手元にあった「つるピカハゲ丸」の1巻を手に取った。読み終わらないうちに本を閉じた。ハゲ丸も面白いが、さっきのアイデアをメモしておかなければならない。

しかしそのときには、すでに、もう遅かった。さっきまであれだけ自己主張を続けていたアイデアが、ぽっかりと姿を消していた。どれだけハムスターが車輪を回すかのように頭を活動させても、もう何も思い出せない。ハゲ丸への浮気がそこに確かにあったアイデアを実家に帰らせたのだ。

ひどく、焦る。

おいおい、嘘だろう。ちょっと待ってて。ふざけんなよ。やばい、どうしよう。なんだっけ。すげぇ面白かったじゃん。ほら、違うよ。え?マジで?なぁ、おい。出て来いよ。

ダメだった。いくら考えてもハゲ丸が頭の中で暴れる。

えー。なんだっけ。んー。あの面白かったやつ。確かほら、あの、主人公がハゲてて・・・。

違う。そうじゃない。それはハゲ丸だ。

そのときだった。僕の頭の中に鮮烈な何かが走った。マンガの世界のことならば、きっと自分の頭のすぐ近くに電球が出ていたに違いない。

そうだ!そうだった!ハゲ丸の飼っている犬は確かペスだ!

・・・もう、ダメだ。誰か助けてくれ・・・。

こうして僕のアイデアは消えた。それこそまるで雪が溶けるかのように。ハゲ丸は僕の脳内を歩き回った。真新しい雪に足跡をつけるのを面白がるかのように。

ち、ちくしょう!は、はげまるぅぅぅぅ!!!!

いやはやまったくなんともスッキリしない気分である。

今度は同じミスは繰り返さないようにと、メモ帳を枕元に置いてお昼寝をしてみた。今度は「女子高生にマグロで尻を引っ叩かれ続ける」、という夢を見た。どうしようもない夢だったけれど、今朝起きたときよりずっと興奮していた僕は、きっと目なんか覚めないほうがいいのだろう。

あのアイデアは今をもって思い出せずにいる。何かのきっかけで思い出すことが出来れば幸いだが、何故だかそれはないように思われる。

ただ、ひたすらに寝続ける生活を自分の中で「アイデア探し」と称せれるようになったのは、一つの進歩だったように勘違いできなくもない。

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2008年2月 1日 (金)

ときめき☆アナスイたん

Annnasui_tan 最近の僕は、自分のことを、「え、俺ってなんて可愛いんだろう」と思わざるをえない。自分でキュンキュンしてしまうほどだ。段々と一挙一動に可愛さ溢れる要素がいい具合に散りばめられてきているのだ。確かに自分で自分のことをそう言うのはどうかと思う。でも仕方がないのだ。だってどう考えたって僕は可愛い。そろそろアニメ化のオファーが来る頃だろう。

例えば多くの時間を共にした恋人同士の言動が似てくるということは少なくない。口癖であったり、些細な手の動き一つでも。ということは、いつもアニメや漫画で可愛いキャラクターに囲まれている、またはメイド喫茶なんかに足しげく通う僕が自然と可愛くなるのは、考えてみれば必然なのである。

「萌え」という概念は「可愛い」というのとはおそらくイコールではない。でも少なからず被る部分はあるように思われる。また「キュン」というのとも違うと思う。それでもやはり被る部分はある。

僕が足しげくメイド喫茶に通うのは別に趣味ではなく、言わば研究であって、それはつまり趣味ではなく、更なる高みを目指しているからなのだ。だから趣味ではないんだよ? 某メイド喫茶では、食べ物や飲み物に対して最後に「萌え~♪」と声をかける。おまじない、と言えばわかりやすいだろうか。こうすることによって美味しくなると言うのだ。科学的根拠はないが、いつも一緒に行っている調理師学校を卒業した友達(22歳・童貞)が、「わぁ、ホントにおいしくなった」と満面の笑みで言うのだから間違いはないのだろう。味について僕ははっきりとしたことは言えないが、その行為が誰かを笑顔にしていることは確かだ。そこに可愛らしさを感じる者がいることもまた確かである。だから僕はこれを模範する。一人の部屋で、茶碗に並々と注いだいいちこにむかって「萌えーっ!はぁんっ!」と叫ぶ。味は相変わらずよくわからない。あぁ、なんと可愛らしいのだろう。

もちろん語尾にもこだわる。アニメやゲームに出てくるキャラクターが使う語尾には「~ですぅ」や「~にょろ」など様々なものがある。僕の語尾はその中で、ベタではあるが一般受けがいい「~にゃん」である。可愛いさ100パーセントである。だって「にゃん」だよ?浅はかだけど可愛いでしょ。セリフに甘えの要素が含まれる。語尾にネコを住まわすだけで様変わりする。これだから言葉は面白い。ちなみにそんな最近の僕のセリフのほとんどは、「あぁ、今日も誰ともしゃべらず終わったにゃん」である。 「高校時代に描いた夢では今頃大成功をおさめてるはずなのに・・・にゃん」や「海なんか開かなきゃいいのに・・・にゃん」など、少し暗い部分が多いのもほっとけない。昨日の「トイレットペーパーの芯で遊んでたら一日が終わっていた・・・にゃん」なんてもう我ながらキュンキュンしてしまう。誰かの前で「にゃん」を使ったことは一度もない。

ドジっ子要素だって忘れない。不器用で空回りが多くても憎めない。愛らしい。そんなドジっ子要素を、なんと僕も十分含んでいるのだ。初めてのバイトの面接で「週三日入れますか?」と聞かれたのを緊張のあまり「趣味はなんですか?」と聞かれたものと勘違いし、しかもやったこともないのに「お琴です」などとほざいてしまったこともある。突然の質問にビックリし、少しでも品のある趣味を言ったほうが好感度が上がると思った末の悲劇だ。このドジっ子要素が実生活で役にたったことなどただの一度もないが、そこがまた愛らしいではないか。

これは友達の話だ。

まだ幼い幼い頃に遠い親戚が亡くなった。その親戚は会った記憶がなく、亡くなったとは言えほとんど感慨は沸かなかったそうだ。いつもとは違ってちょっと動きづらい服を着せられ、葬式に出た友達。お経の意味なんかわかるはずもない。周りは誰も相手をしてくれない。友達はひどく退屈だった。それでも友達は平気な顔をしていた。ポケットにそっと忍ばせて来たお気に入りのおもちゃがあったのだ。そのころ出会っていて、なおかつ葬式の前に一言言ってくれれば僕は全力で彼を止めたのに。友達が持ってきたおもちゃはミニ四駆だった。もちろん友達は会場で走らせようとしたわけではない。友達はそのミニ四駆が大のお気に入りで見ているだけで幸せだったのだ。家でいつもそうしているように手に取って眺めていた。しかしそうしているうちに不幸にも何かのきっかけで偶然スイッチが入ってしまったらしい。友達はビックリして手を離してしまった。けたたましいモーター音とともに、ミニ四駆は一直線に坊主目がけて走り出した

あの夏の記憶。なんというドジっ子だろう。ドジっ子というより完全にいかれている。でも確かに憎めないし、その話を聞く限り愛らしくはある。これが自分の大切な人の葬式だったら一生許さないだろうけれど。

ツンデレという言葉がある。スラングであるため定義が難しいのだが、ウィキペディアによれば『「生意気な態度が、あるきっかけで急にしおらしくなる」あるいは「本心では好意を寄せていながら天邪鬼に接してしまう」という様子を言い、特に恋愛形態について好ましく捉えた言葉。』との説明になる。前者であればまさに僕である。普段は生意気なのに、目上の人があらわれるとすぐヘコヘコする。典型的なついていきたくないタイプの人間である。友達に借りたスーファミのソフトのセーブを、誤って消してしまったときも急にしおらしくなる。後者にしてもまさしく僕である。誤ってセーブを消したスーファミのソフトの持ち主が当時好きだった子だったりする。あれマジで死にたくなる。

どうだろう。僕はこんなにも多くの可愛さ溢れる要素を持っているのだ。ブログ界から新生アイドル誕生の日は近い。ただ僕がこの世から消える日のほうがもっと近そうなのが気になるところだ。

【時間が出来たので、過去ログ(今年に書いた記事まで)のコメントに返事を書かせていただきました。遅くなって申し訳ございません。よかったら見てみてください。もしよろしければ↓の二つをクリックしてはいただけませんか?】

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