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2008年6月

2008年6月30日 (月)

密着ドキュメント~リハビリと戦うブロガーの軌跡~

何かと言い訳をしてはブログを更新することに目を瞑り、そのツケが回って、いざ書こうと思ってパソコンの前に座るも何も浮かんではこない。書き方がまったく思い出せないのである。なんということだ。記事の書けないブロガーなど飛べない鳥と大差はない。このままではダメだ。何とかしなければ。これはとある一人のブロガーが、全盛期の自分に少しでも近づくよう必死にリハビリを続ける様子を捉えたドキュメントである。

「あ」

よし、平仮名は大丈夫。大丈夫、大丈夫だ。

「ア」

うん、カタカナも問題ない。書ける。書けるぞ。

「太郎」

名詞もいい感じだ。僕はまだ、まだ終わっちゃいない。

「太郎がご無沙汰した」

主語述語。太郎がご無沙汰する様子が目に浮かぶ。

「ポテト=しなびてる 太郎=しなびてる 太郎=ポテト」

方程式もオッケーだ。

「たろわ/たろい/たろう/たろう/たろえば/たろえ」

太郎変格活用。

「ヒーイズ太郎」

「太郎ニダ」

「太郎風パエリア」

英語、韓国語、スペイン語。

「貴様!!太郎だな!?」

疑問文。

「T-LOW」

カッコいい表記。

「太郎太郎」

ありそうな居酒屋。

「太郎」

さだまさしが書きそうな小説のタイトル。

「そこで俺はこう言ってやったんだ!「太郎だけにね」!」

アメリカンジョーク。

「いて座のあなた。今日のラッキカラーはブルー。今日のラッキー太郎はかばやきさん」

占い。

「お世話になっております。私○○商事の○○と申しますが、太郎様はいらっしゃいますでしょうか?」「えー弊社には太郎が2人おりましてですね。その、メガネの太郎と度が強いメガネの太郎、どちらの太郎かわかりますかね?」「わかりません」「ですよね。えーじゃあ、休日はTシャツで過ごす太郎とポロシャツで過ごす太郎と言えば・・・?」「わかりません」

大人の会話。

その川の水は決して綺麗ではなかったが、夕日を背負い煌煌と輝く水面は、確かに何らかの説得力があった。ここが俺たちの、そう、分岐点だ。沈黙を破るように、次郎はもう一人の男に言った。「俺働くことに決めたから」「え!? それじゃあバンドはどうすんだよ!?」「・・・解散だな」。もう一人の男は声を荒げた。「お前ふざけんなよ! 武道館でライブやろうって約束したじゃねーか!」「仕方ないだろ。ちゃんと働いておふくろに楽させてやりたいんだ。お前だって今のうちの環境はわかってるだろ?」「そりゃわかってるけどよ・・・」。また少しの沈黙が流れ、それを破ったのはまたしても次郎だった。「ごめんな・・・アキラ・・・」「・・・くそ!」。アキラと呼ばれた男は、近くに落ちていた太郎を拾い、力任せに川に投げた。

青春話。

「えーこの度は更新滞ってしまい、心配おかけして本当に申し訳ございませんでした。これからも頑張りますので何卒よろしくお願いいたします。  太郎」

謝罪文。

えーこの度は更新滞ってしまい、心配おかけして本当に申し訳ございませんでした。これからも頑張りますので何卒よろしくお願いいたします。 斉藤アナスイ

リハビリの結果。ごめんなさい。

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2008年6月19日 (木)

もしも昔話の主人公が、すごく格好悪い等身大の俺だったら

~金のオノ 銀のオノ~

キコリである、すごく格好悪い等身大の俺は、手が滑って湖に自分のオノを落としてしまいました。すごく格好悪い等身大の俺が嘆いていると、突然湖の水面が波立ち、中から湖の精が出てきました。そして湖の精は、すごく格好悪い等身大の俺にこう聞いたのです。
「あなたが落としたのはこっちの金のオノですか?こっちの銀のオノですか?それともこの普通のオノですか?」
すごく格好悪い等身大の俺は答えました。
「・・・えー。あ、あの、銀のオノです」
「・・・え?」
「銀の・・・オノ。はい、銀のオノです」
「銀のオノで間違いないですね?」
「えー。あ、はい。銀のオノですね。間違いないです」
「・・・なんでそんな中途半端なウソを?」
「え!? いや、あの、それぐらいなら許されるかなぁー、なんて・・・」
「カッコわる・・・」
湖の精は全てのオノを持ったまま消えてしまいました。

~ツルの恩返し~

すごく格好悪い等身大の俺は、雪が激しく道に迷ったという美しい女を家に泊めてあげることにしました。美しい女は言いました。
「これからお礼に機をおります。しかし機を折っている間は絶対に覗かないでください」
すごく格好悪い等身大の俺は言いました。
「あぁ、わかったよ。絶対に覗かないよ」
女が隣の部屋で機をおりはじめると、すごく格好悪い等身大の俺はさっそく覗いてみることにしました。するとそこでは、一羽の鶴が長いくちばしを使って羽根を抜いて糸に織り込んでいたのです。すごく格好悪い等身大の俺はビックリしました。
「えぇー!?」
それに気づいたツルは言いました。
「絶対に覗かないでくださいと言ったのに覗いてしまいましたね。そうです、私は以前あなたに助けてもらったツルです。しかし本当の姿を知られてしまった以上ここにいることはできません。短い間でしたがありがとうございました」
すごく格好悪い等身大の俺は言いました。
「・・・いや、え? ないですね」
「え?」
「いや、僕、覗いてないですね」
「は?」
「覗いてー・・・うん、覗いてないですね」
「いや、覗いたでしょ」
「マジっすか? 覗かれたんですか? いやー、僕じゃないですね」
「うわぁ・・・こいつ出たよ・・・」
「あ、じゃあたぶんバァさんだ。バァさん。最低だな、あのババァ。ホントに僕じゃないんで気にしないで機おってください」
すごく格好悪い等身大の俺はそう言って戸を閉めました。
「カッコわる・・・」
部屋の窓からツルは飛び立って行きました。

~舌きりすずめ~

すごく格好悪い等身大の俺に助けられ、かわいがられていたすずめがいました。しかし、そのすずめはお婆さんが洗濯に使おうとしていた糊を食べてしまい、舌を切られて山に逃げ出してしまいました。その雀をすごく格好悪い等身大の俺が追って山へ行くと、すずめたちが恩返しにご馳走してくれたり踊りを見せてくれました。お土産として大小2つのつづらのどちらを持って行くか聞かれ、すごく格好悪い等身大の俺は、大きい方を持って帰りました。家に着いて中を見てみると、なんとビックリ。中から妖怪が飛び出してきたのです。すごく格好悪い等身大の俺は、驚いて腰を抜かしてしまいました。

次の日また山の中のすずめたちの住処に、すごく格好悪い等身大の俺の姿がありました。
「どうしたんですか?」
すずめは驚いて聞きました。するとすごく格好悪い等身大の俺はこう答えました。
「いや、この大きいつづらまだ開けてないんですけど、やっぱり小さいほうに代えてもらおうかなと思って」
「え?開けたでしょ?」
「ホントに開けてないです。やだな、あれだけ信頼しあった仲じゃないですか。ホントに開けてないですよ」
「・・・あ、はい、そうですか・・・」
仕方なく小さいほうのつづらを渡したすずめは、別れ際にこう言い捨てました。
「なんか、ガッカリです・・・」
すごく格好悪い等身大の俺は、目を合わせずに言いました。
「何の話ですか?」

そそくさと去るすごく格好悪い等身大の俺の背中を見送りながら、すずめは小さくつぶやきました。
「カッコわる・・・」
小さいほうのつづらからも妖怪が出ました。

~かぐや姫~

すごく格好悪い等身大の俺が竹林に行くと、光っている竹が一本ありました。しかし、切りたくても切れません。すごく格好悪い等身大の俺は言いました。
「この前湖にオノ落としちゃって、それで変な人に取られちゃったんだよなぁ。まぁちょうど買い換えようと思ってたところだし。あんなオノいらなかったんだけどね。いや、マジで。ってか銀のオノって何だよ。全然いらないし」
すると光る竹の中からこんな声がしました。
「カッコわる・・・」

~桃太郎~

おばあさん「ねぇあんた、いい加減そろそろオニ退治に行ったらどうなの? カッコわる・・・」

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2008年6月16日 (月)

帰れ

あってはならない偶然、というのがある。ありえない、ではない。あってはならない、のである。あって欲しくない? そうそう、そういうことだ。人と人が偶然出会うときにも、たった一つ歯車(条件)が狂うだけで、嫌いでもない人が、知らない人までもが悪魔に見えたりする。わかりやすく言うならば、「間が悪い」ということ。なんでここに? なんでこんなときに? 、と。頼むから失せてくれ、と。恨むのは相手か自分か。はたまた神か。いずれにせよ救えない瞬間である。

例えばこういうのはどうだろう。あなたに片思いの相手がいるとする。そんなあなたはとある異性とジョナサンに食事に行く途中である。その異性と言うのは片思いの相手ではない。恋愛対象ではなく、なんとなく食事に行くことになった、ただただ黒人のリズム感とバネの素晴らしさを語る相手。そして店に行く途中で不幸にも出会ってしまうのが、本命の片思い中の相手である。その瞬間あなたはどうするだろう。焦り、取り乱す。客観的に見たら今の自分たちはデートに見えてもおかしくはないから。「いや、別にそういうのじゃないんだよ! いや、ほんとに違うから!」。片思いの相手からすればきょとん、といった感じだろう。え? 何? こいつ急に何言ってんの? とも思うだろう。でもこっちとしては仕方がないのだ。取り乱すのも、わけがわからないのも。だってそれはあってはならない偶然なのだから。

浮気現場を恋人に見つかるなんてその最たる例であろう。そう、浮気相手の女性と歩いているところを彼女に見つかってしまったり。
「え?ケンジ、何やってんの?」
「いや、あの・・・」
「今日は仕事で遅くなるって言ってたよね・・・?」
「あはは、そうだったっけ・・・」
「その子・・・誰?」
「・・・たんぽぽのぽぽちゃん。2歳」
「死ね」
最悪である。いや、知らんけどたぶん人は追い込まれるとこんなわけのわからないことの1つも言ってしまうのだろう。このケース、男は確かに最低である。しかし、浮気うんぬんではなく、その窮地から来るこの心の乱れようは想像に難くない。重々理解できる。自業自得だし許されるものでもない、また僕にそんな経験があるわけでもないが、わかる。

浮気なんかしないし、好きでもない人とご飯食べに行ったりしないという健全な人。じゃあ想像してください。ブラブラと街中を散策するあなた。ふと前方を見ると今の自分とまったく同じ服を着た人がいる。うわぁー。違う服にすればよかった。なんでお前も今日に限ってそれ選ぶんだよ。これはもう、どうしようもなくその場から逃げ出したい現場である。もちろんこれも歴とした、あってはならない偶然だ。しかも1度見かけたその人は、その日のうちに必ずもう1回は再会する。これは僕が22年間で唯一学んだこの世の真実だ。「またお前かよ。頼むからどっか行ってくれ」。おそらく相手もそう思っている。しかし、お互い心は1つなのに、お互い届かないから不思議である。

僕にも過去に、心が砕けるような、あってはならない偶然を迎えてしまったことがあった。

それは高校の文化祭の日のこと。僕は部活もやっていなかったし、有志に参加するほど出来た学生ではなかった。冷やかし半分で、仲のいい友達とプラプラと校内を見て回っていた。そこで気づいたのだが、他校から遊びに来ている女子生徒が多く見られるのだ。これは願ってもない出会いのチャンスである。僕らは心から浮かれた。しかし話しかけるような勇気はない。そこで僕らは考えた。とにかく目立とう。話はそこからだ。トイレからトイレットペーパーを拝借してきて、それをタスキ状にし、そこに太字のマジックで大きくこう書いた。
『彼女大募集』
これならイケる、と。どこから来るのかわからない自信に背中を押され、それを肩にかけて僕は校内を闊歩した。タイムマシーンがあったならあの時の僕を殴ってでも止めに行きたい。今考えると少しも面白くはないのだが、しかし、これが何故かけっこう他校の女の子にウケたのだ。結果がどうとかじゃなくて、ウケているというその瞬間に僕は酔った。調子に乗った。ズボンの裾は2まくりぐらいしてスネ丸出しで、品も知性も欠片もない。涙が出そうなほど青く、かわいそうなほど滑稽である。
次は校庭に行こう。校庭にはステージなんかも作られていて、女の子がいっぱいいるはずだ。僕らは階段を駆け下り、その格好のまま校庭へと出た。そしてそこで悲劇が起こった。

校庭で何故かうちのババァが焼きそばをジュージュー焼いているのである。 

目は明らかに合っている。もう、逃げられない。僕は急に恥ずかしくなった。恥ずかしいというか。いっその事消してくれ、というか。あの大きな雲になりたい、というか。完全なパニックである。なんでここにババァがいる? なんで僕はこんな格好をしている? ぺヤングのぺって何? とてもじゃないが正常ではいられない。

事情を知らず、急に勢いを失った僕に友達が言う。
「おい、何やってんだよ?」
それに僕は返す。
「な、俺、何やってんだろうな・・・。」

家に帰ると焼きそばがあった。ババァが気を利かせて余り物をもらってきてくれたのだろう。冷めていてとても食べれる代物ではなかったが、この後夕食時に母親と顔を合わせるのが辛くて、僕は焼きそばを無理に麦茶で流し込み、自分の部屋の鍵をかけた。

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2008年6月 9日 (月)

つくーる

RPGツクールというゲームをご存知だろうか。その名の通りRPG、ロールプレイングゲームを作るためのゲームである。登場キャラクターやイベント、アイテムやマップなんかを作り、自分だけのオリジナルのRPGとする。出来上がった作品を競うコンテストなんかもあり、ゲーム好きの間ではちょいと名の知れた一品だ。

僕も当時このゲームにはまっていた。コンテストに応募するような度胸もクオリティも何もなかったが、友達同士でよく作ったデータの見せ合いっこなんかはしていたものだ。それがRPGツクールの何作品目になるのかはわからないが、プレイステーションのやつ。パソコンゲームとしても有名だし、スーパーファミコン版もやったのだが、僕にとってRPGツクールといえばやはりプレイステーション版ということになる。

さて、何で急にこんな話をしているかといえば、これが今になって引き出しの奥底から出てきたのだ。ソフトとデータの入ったメモリーカード。しっかり一心同体でご登場である。いや、もう、どうしようかと。このゲームにハマっていた当時は、確か中学生のころ。あまりにも怖すぎる。それはある種、昔の日記を見るようなもので、出せなかったラブレターを読み返すようなもの。是非見たいような、このまま封印したいような、そんな気持ちである。

ウケは狙っていただろう、と。そんな記憶もあるし、そんな記憶がなかったとしても僕はそんな子だった。これがキツい。過去のおちゃらけたその「画」を見て、果たして今の僕は耐えられるだろうか。正直ギリだと思う。6対4、いや7対3で砕けるかな。

それでもまぁ見つけてしまったものはしょうがない。気になってしまったものはしょうがない。いくらなんでもそんなにひどいレベルではなかったと思う。僕は自分にそう言い聞かせるように、恐る恐るゲームをセットし、電源をつけた。そして当時のデータをロードする。当時の僕に会いに行くのだ。

ゲームが、始まった。

狭い部屋の中に老人から子供まで7人のキャラクターがいる。操作できるのはその中の一人の女性の姿をしたキャラクター。これが主人公のようだ。近くにいた老婆に話しかけたのがスイッチ(きっかけ)だったのだろうか、老婆と話した直後に画面上を猫が横切り、画面上にメッセージが表示される。「ドラネコにおさかなをぬすまれた」。そして急にタイトル画面に切り替わった。

「SaZa」

そこで僕はゲームの電源を切った。いや、だってもう無理だろう。だから嫌だったんだ。そんなにひどいレベルじゃないか。サザエさん? はい、そうですね。パロってますね。タイトルはなんですか。「SaGa」ですか。これは危ない。初めからすでに危ない。面白くない匂いがプンプンする。僕はタバコに火をつけ一旦間を置いた。どうする? 続けられるか? 冒頭にして心のダメージはかなりのものだ。痛恨の一撃である。

いや、しかしここで逃げるのは何か違う気がする。というより逃げられないのだ。回り込まれてしまっている。マイナス方向に着地することはわかりきっているのだが、続きが気になって仕方がない。それが証拠に僕の指は再びゲームの電源をつけなおしていた。

ストーリーは、盗まれたトおさかなをドラネコから取り返す、というかなりやってしまっている設定。部屋の中の、画面から察するにタラちゃんに話しかけると「はーいー」との返事が返ってきた。それはイクラだ。何から何まで大甘である。しかも隣の老人(おそらく波平)に話しかけても「はーいー」と返事が返ってくる始末。ミスにせよ仕様にせよ最悪だ。


家を出ると最初のダンジョンに着くのだが、そこにドラネコ、つまりいきなりラスボスがいる。あーあ。手抜きにも程がある。ざんないにも程がある。

しかも話かけるとさも当然のようにバトルになるのだが、こいつがまた滅茶苦茶に強い。1回の攻撃でHPの3分の1ほどを奪われる。このゲームにおいてレベル上げという概念はないようだし、何ともバランスが悪い感は否めない。

でも大丈夫。僕は「なみへいのごはん」という謎の回復アイテムを持っている。使えばたちまちHPが全回復するという優れものだ。これはフネに話しかけると「これを持っていきなさい」ともらえたアイテムなのだが、話しかけるたびに何度でももらえることに気づく。裏技というより完全な不具合であろう。繰り返しに繰り返し、結果的に50個ほどのそれを抱えることとなった。いやしかし、50日分の「なみへいのごはん」を奪うとは。どう考えてても鬼畜主婦である。なみへいはこの期間碁石を食べて暮らすしかないのだ。そう思うと居たたまれないが、これも正義のため。それに悪いのはサザエではなく、明らかにフネである。

こうして長く地味な戦いを終え、なんとかドラネコを倒すことに成功した。エンディングはなく、そこでいきなりゲームは終了する。期待こそしてはいなかったがまさか最後までこの調子とは。

だからやっぱりこのゲームはやるべきではなかったのだ。過去の傷は過去の傷として、治らなくてもバンドエイドで隠しておくべきなのだ。僕はこの件でそれを強く学んだ。

積んだ経験地を数字で言うならば、「2」だ。

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2008年6月 6日 (金)

力士同士のルームシェア

「暇だね」
「暇だね」
「何かする?」
「何する?」
「相撲しりとりする?」
「いいよ」
「じゃあ俺からね。『ちゃんこ』」
「こ、こ、国技」
「ぎー。行司」
「じ?じ・・・。じ。序の口!」
「おー。ち、力水」
「ず!?ず・・・。ず。ず。えー。ずでしょ?・・・ずもう?」
「お前相撲取りとしてそれでいいのかよ」
「『す』でもいい!? 『す』でもいい!?」
「別にいいけど」
「相撲博物館」
「『ん』ついてるよ! そこは普通に相撲でいいだろ!」
「じゃあ相撲」
「う、か。腕相撲」
「それあり?」
「相撲は相撲だろ」
「また『う』か。う、う、うっちゃり」
「力士」
「し。式守」
「また『り』か。力士会」
「それちょっとずるいぞ。い、い、一代年寄」
「また『り』!?お前『り』攻めやめろよ」
「早く。『り』だよ」
「り、り、りー。あ、両国国技館!」
「はい『ん』がついたー!」
「あ、両国! 両国!」
「しょうがないなー。く、く・・・く!? 『く』なんかあるか!?」
「ほら、あれがあるじゃん」
「くさし丸」
「誰だよ。お前武蔵丸さんに怒られるぞ」
「あ、『ぐ』でもいいんだよね? 軍配!」
「おー。『い』かぁ。勇み足」
「し、四股」
「こ、こ、こー?あ、こんぱち」
「こんぱちって何?」
「初めてちょんまげ結ったやつが兄弟子のとこ行くと、兄弟子が横綱なら「序の口・序二段・三段目・幕下・十両・幕内・小結・関脇・大関・横綱」って10回指でおでこをはじかれて、ご祝儀がもらえるのよ。それがこんぱち」
「へー初めて聞いた。で、なんだっけ? ち?」
「そう」
「ちゃんこ」
「それ言った。最初に」
「ちゃんこダイニング若」
「おいおい(笑)」
「・・・そろそろしりとりやめない?」
「うん、そうだね」
「何する?」
「塩まく?」
「それいいねぇ!」
「ねぇ」
「ん?」
「なんで俺たち弱いのかな・・・?」
「んー、やっぱり稽古しないからじゃないかな・・・」
「だよね。俺知識だけだし・・・」
「俺なんか胃下垂だし・・・」
「・・・塩、まこっか・・・」
「うん・・・」

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2008年6月 3日 (火)

カットモデル

大学3年のときだったと思う。喫煙所でタバコを吸っていると、近くにいた友達がふとこう言った。

「あーそろそろ髪切りてぇなー」

珍しい話じゃない。男のそんな話に僕は一々興味を持ったりはしない。ただ、一応ね、一応膨らませてはみる。それが出来ないと、とかくこの世は生きづらい。

「へー、どんなんにすんの?」

「んー特に。マジで何でもいいんだけど」

それを聞いた瞬間、もし現実が漫画なら、僕の上に「ピクリ」と写植が入ったことだろう。ほっほう。

「何でもいいの?」

「うん」

「じゃあさ、俺が金払うからどんな髪型にするか決めさせてくれない?」

「え? 別にいいけど」

「・・・絶対だな?」

「うん」

彼は次の髪型に一切のこだわりがないらしい。安く上がりさえすればマジで何でもいいようだ。そうかそうか。こうなったら話は俄然面白い。僕は授業をサボり、一緒にいた他の友達数人とそいつの新しい髪形を考え始めた。結局彼の美容院代は、全額そこにいたみんなで割り勘することに。金を払ってでも一枚噛みたい。だって人の髪型をプロデュースできるなんてそうそうあることじゃないから。髪を切るやつを含め、全員かわいそうなぐらいバカだった。でも、楽しいのだ。あーでもないこうでもない。僕らは時間を忘れて話し合った。僕らはふざけるときのみ、胸を張れるほど真面目になるのだ。そしてようやく一枚のラフ画ができあがった。

20080604

「例えばこれにしてくれって言ったら、本当にする?」

「あーでもタダだしなぁ。うん、これぐらいなら別にいいかな」

おい、これだぞ? わかっているのか? 大五郎もどきだぞ? あぁ、なんてファンキーなやつなのだろう。色々あって女にモテることを放棄した(ここがポイント)やつはやはり違う。そうだ。男だって、ここまで強くなれるんだ。絶対になりたくはないけれど。

「俺ちょっと授業行ってくるわ」

なんなんだ、その落ち着き様は。それが噂の悟りってやつなのか?いつの間にかそこまで行ってしまったのか? しかし、な。見直してみると何かインパクトが足りない気がする。確かにこんなやつが街を闊歩してたらそりゃ振り返る。それはそう、そうなんだけど・・・。でも、まだ足りないんじゃないか。もっと上があるんじゃないだろうか。残った僕らはまだ話し合いをやめなかった。何枚もスケッチをし、そのほとんどを丸めゴミ箱に捨てた。

わずかばかりの案が手元に残る頃、辺りはすっかり暗くなっていた。肝心の髪を切るそいつはプカリとタバコの煙を輪にしている。余裕という言葉が妙にしっくりくる。一人の友達が言った。「おい、時間!」。時計を見る。まずい、もうこんな時間か。早く美容室に行かなければ。別に明日でもいいことはいいのだが、こうゆうのは何より鮮度が大事。明日だと多かれ少なかれ色あせてしまうのだ。僕らは急いで美容院へと走った。

ギリギリで閉店時間前の美容院に駆け込む。受付にいたお姉さんが大人数で入ってきた僕らに少しだけ驚いた顔をした。彼は悠然とお姉さんに近づき、本当にさっきの大五郎もどきのスケッチを渡して言った。

「これにしてください」

ドキドキした。あまりに格好よくて。僕らは静かに店の奥へと案内される彼の大きすぎる背中を見送った。美容師さんが彼にシャンプーを始めている。彼が突っ伏せている。入り口付近でその様子を見守っていた僕ら。僕はそこで立ち上がり、さっきの受付のお姉さんに1枚の新たな紙を渡した。

「やっぱりこれにしてあげてください」

200806041

大五郎もどき以降のスケッチは彼に見せていなかった。彼が一人授業に行っていたのもあるし、何より教えたくなかったのだ。完成予想図と明らかに違う完成図。僕らは、これぞサプライズなのではないだろうかと考えたのだ。何でもいいと言い出した彼が悪いのだ。それにスポンサーは僕ら。スポンサーの意見は絶対である。

「んーこれはちょっと難しいですねー」

しかし美容師の一言は、それよりも絶対だったのである。僕らはどんな髪型にするか考えるあまり、「できない」という可能性を危惧していなかったのだ。確かにこの髪型が難しいのは素人の僕でもわかる。髪をこんな風に立たせるのも、こんな色にするのも、おそらく大変な手間がかかるのだろう。自分で描いておいて何だが、細部がどうなっているのかなんて僕でもさっぱりわからない。なんで誰もそれに気がつかなかったのだろう。だから僕らはかわいそうなぐらいバカなのだ。

でも、僕はそれほど動揺しなかった。用意していたスケッチがもう一枚あったのだ。彼の今後を考えたらできるだけ出したくはなかったが、こうなったら仕方がない。今度は髪を立たせる必要もなければ色を乗せる必要もない。限りなく坊主に近い。シンプルだ。僕はそれをお姉さんに手渡した。

「じゃあこれにしてあげてください」

200806042

「・・・んー、これもちょっと無理ですねー」

な、なんということだ。これも無理だと言う。一緒に来ていた友達たちも一様に不安そうな顔をした。

「どうする? これ、できないって・・・」

「・・・その発想はなかったな。どうするか」

「うーん・・・」

そこで一人の友達が言った。

「・・・帰る?」

そう、しよっか。何故だか解らないけど僕らは急にそこにい辛くなったのだ。まるで何かの魔法がとけたかのように。そうして僕らはお金を先に払い、店を後にした。彼一人を残して。

しかし本当に謝りたいのはそこではない。

次の朝、僕は彼を見て腹を抱えて笑った。絵では大したことがなかった大五郎もどきも、実際そこに形として現れるとわけが違う。なんてインパクトなのだろう。一緒に美容院に行ったやつらもゲラゲラ笑っていた。その反応を見て彼も照れくさそうに、でも少し嬉しそうに笑っていた。

「何あの人?」「きもーい」。そんな声も聞こえたが、周りが引いていようとも僕らが面白ければ、とりあえずはそれでよかったのだ。しかし人間とはいかなる環境でも慣れるもので。2日もすれば彼は面白くもないのに変な髪形をしている人となった。そんな状況にさすがに彼も耐えられなくなったのだろう。ある日普通の坊主になって学校に来た。

結局彼は自分で散髪代を払い、ただ評判を落とすだけの結果に終わった。本当に悪い事をしたと、心からそう思う。

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