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2012年1月 9日 (月)

二人でできたもん

皆さん明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願いいたします。

 

年末年始のドタバタにあてられてか、うちのお母さんがちょっと体調を崩しまして。とは言ってもね、普段から元気丸出しって感じだから。気抜くと半ズボンとか履きだすから。まぁ患ってようやく、人様のお母さん(×1.2)ぐらいなんだけど。

 

本当にね、普段から風邪ひとつひかないお母さん。平熱とかね、なんか知らんけど34.8度とかなのね。もうね、明け方の便座かしらってぐらいキンキンに冷えてる。例えば、僕が風邪とか引くじゃないですか。そしたらね、冷えピタの剥がしたビニールのほう、おでこに貼ろうとするから。それぐらい、病気とは縁がない人なんです。

 

で、まぁお母さんが珍しくダウンすると、我が家では僕が夕飯係になったりするんですけど。今だったらね、料理の楽しみもわかるし、それなりに作れる料理もある。まぁ昨日もさくっと、お蕎麦(美味しい)なんかを仕上げたんですけど。

 

しっかしねー本当、普段からちょっとでも料理しておいてよかったなと。危ねー危ねーと。こういうとき右も左もわかんないと、マジでちょっとした「乱」みたいになるから。

 

僕が初めて斉藤家のグランドシェフを任されたのがね、確か高校生とかの頃。もう10年前とかそんな話。うちのお母さん、10年に一回とかしか風邪ひかないから。

 

その頃なんてね、もう料理の「り」の字も知らないわけですよ。包丁なんて握ったこともない。でも、お父さんは仕事で帰りが遅いし。それで僕と兄で、家族分の夕飯を作ることになったんですけど。もうね、失敗したらどうしようって、すごい不安だったんです。お兄ちゃんだって、料理してるところなんて見たことなかったし。

 

でもね、お兄ちゃんが言うんです。
大丈夫、俺がついてるから!

 

いやはやさすが人生の先輩だな、と。普段はフワフワしてるけど、このときばかりは輝いて見えた。背中とかね、こんな大きかったかなって。正直、ちょっとカッコいいなって。

 

テキパキと戸棚を開けたり閉めたりする兄。でもね、よくよく見てると、やっぱりちょっと様子がおかしいんですよ。開けたり閉めたりしてるだけで、ひとつも前進してる気配がないの。

 

兄「よし!とりあえずお湯を沸かそう!」

 

ってね、コンロの火をつけようと頑張ってるんだけど。何かね、すげー腰引けてんの。コンロのつまみグッと握ってね、「ま、回れぇー!!!」とか言ってんの。え?料理ってこんなダイハードみたいなことだっけ?

 

僕「えっと?何してるか聞いてもいい?」
兄「いや、なんか火って怖いじゃん」

 

あれ?もしかして、15歳ぐらいまでオオカミに育てられた?大丈夫大丈夫、ほら、そんなに怖くないよ?

 

その日は結局パスタを作ることにしたんですけど。まず鍋にね、どれぐらいの量のパスタを入れれば良いのかがわからない。なんか袋に1人分何グラムー、みたいに書いてあるんだけど、その「何グラム」が、実際どれくらいに相当するのかと。それで、またちょっと不安になってきたんです。これ本当にできるのかな…って。

 

でも、そこで目に入ったのが自信満々の兄の顔。大丈夫。僕の心を見透かすようにね、兄はコクリと頷きました。

 

兄「パスタは茹だると膨らむから。ちゃんと量を計算しないと」
僕「お、お兄ちゃん!」

 

ごめんね。本当、さっきはオオカミとか言ってごめん。さすがだよ。頼りになるなる。もうずっと、未来永劫あなたに着いていきたい。

 

兄「15、いや10本でいいかな!
僕「うん!」

 

あのね、あれから結構料理とかするようになったけど、パスタ本数で測ったことない。レシピとか見ててもね、材料「パスタ-10本」とかあんまり出てこない。でも、その時は兄の言葉が、たったひとつの道しるべだったから。

 

そして10本のパスタを鍋に投入し、ひたすら茹で上がるのを待つ僕ら。思えば、兄弟2人でこんなにゆっくり会話をしたのも、久しぶりでしたね。

 

兄「ねぇ、ピザって10回言って」
僕「ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」
兄「そういえばこの前、マー君にあったよ」
僕「本当に?」

 

マー君っていうのは、僕の幼なじみで。斉藤家にもよく遊びに来てたから、兄とも顔見知りなんです。

 

僕「なんか言ってた?」
兄「いや、とくには。お前によろしくって」
僕「そっか」
兄「うん」

 

そうこうしているうちに、9分間。ようやく、パスタが茹で上がりました。沸き立つお湯の中で、自由に泳ぎ回るパスタたち。あ、あれ?膨らんで…?

 

兄「どう?」
僕「えっと…ちょっと少ないかな」
兄「何本?
僕「6、7…10本」
兄「マジで?」

 

マジで?、じゃなくて。膨らむって言っても、そうは膨らまないよね。太さはかわっても、基本的に本数はかわらないよね。もうね、全然足りてないの。TOKIOの山口君の袖ぐらい足りてないの。山口君、冬でも大体ノースリーブなの。

 

僕「次は何本?」兄「強気に20本」「だめ押しの7本」みたいなことを永遠繰り返し、パスタを継ぎ足し継ぎ足し、ようやく丁度いい量になったのは、開始から約1時間後。最初に茹でた10本とかね、もう地蔵みたいになっちゃってた。大分カピついてた。

 

それでね、ミートソースだの和風なんちゃらだのっていう、謎が謎を呼ぶパスタはやめておいて。僕らでもできそうな、ナポリタンを作ることにしたんです。あれでしょ?ケッチャップかければいいんでしょ?みたいな感じで。俺、混ぜるのはそれなりに自信あるけど?みたいな感じで。

 

兄「なんか野菜入れないとね」

 

って、冷蔵庫をゴソゴソと漁る兄。ジャガイモを取り出しては「違うな」、ニンジンを取り出しては「違う」。そしてようやく、兄はお目当ての子に巡り会いました。「これだ!ナポリタンと言ったら、やっぱり玉ねぎ!」

 

た、た、た、玉ねぎー!!!!!!

 

切ったことない。切り方もわかんない。

だってね、玉ねぎって言ったら、野菜界のラスボスみたいなとこある。これがキュウリだったらね、そりゃ僕でも切れるでしょうよ。トマトでも、イメージはできる。しかし玉ねぎ。それ、何か硬くない?しかもあれでしょ。何なら、涙とか出るんでしょ?もうね、3000円チャージするときと同じぐらいの緊張感。

 

とりあえず、勘で皮を剥きました。それを半分に切りました。それを半分に切りました。それを半分に。半分に。半分に。半分に。半分。半分。半分。半分。半。半。半。は。は。は。は。h。h。h。

 

大丈夫?何か俺、限りなくゼロ発見しそうになってるけど。そろそろ止めてくれない?

 

兄「もういっか」
僕「うん(ハァハァ)」
兄「でもお前、うまいじゃん!」
僕「そ、そうかな?」←なんだかんだ言ってちょっと嬉しい
兄「うまいうまい。俺がレストランやったらシェフとして雇ってあげるよ」
僕「あはは、ありがと」

 

自分で言うのもアレだけど、ちょっと微笑ましいなーと。何にもわかんなかったけど、すごく楽しかった。それでね、その後も他の材料と用意とかをしてたんですけど。

 

兄「ねぇ、早く受けにきて」
僕「え?何を?」
兄「シェフの面接

 

え?それ、まだ言ってんの?兄「早く面接受けにきてよ。さっきからずっと待ってるんだから」。え?しかも今やんの?

 

僕「…ここで働かせてください」
兄「お断りだね」
僕「え?」
兄「まだいたのかい。さっさと出て行きな!」
兄「ここで働かせてください!」
兄「黙れー!」
兄「ここで働きたいんです!」
兄「大きな声を出すんじゃないよ!」
兄「働かせてください!」
兄「わかった!わかったから勘弁しておくれ!」

僕「さっきから、一人で何言ってんの…?

 

千と千尋なの?このタイミングで?

 

幼い(そうでもない)二人の冒険もそろそろ終盤。なんとなく切った野菜やらを炒め、茹でたパスタを投入し、ケチャップとか色々で味付けは完了。あとは、これをお皿に盛りつけるだけです。兄「あのさ」。ん?何?今ちょっと忙しいんだけど。

 

兄「ピザって10回言って」
僕「ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」
兄「一休さんってクズだよね」
僕 「クズはお前だよ」

 

なんで今それ言うの?っていうか、なんでちょいちょいピザって10回言わせんの?

 

母「んー?何かいい匂いするねー」

 

ここで、さっきまで寝ていたお母さんが登場。大丈夫?もう寝てなくていいの?

 

母「うん、もう大丈夫。ちょっと用もないのにトイザらス行ってくるね

 

いや、ごめん。全然大丈夫に見えないんだけど。完全に熱で頭やられてるでしょ。何トイザらスって。

 

兄と2人で作ったナポリタン。お父さんもいつもより早く帰ってきて、家族4人で頂きました。最初お母さんは「私は大丈夫」って言ってたんだけど、「やっぱりちょっと食べたい」って。

 

元々母は食が細い人なんです。しかも風邪をひいてたから、食欲もなかったはず。それでもね、「美味しい」って言ってくれたんです。今思えばね、もうね、全然。作り方も何もかもが滅茶苦茶だった。でも、母は喜んでくれた。僕らもそう言ってもらえたのが嬉しくて、「まだあるよ!」「俺のも食べなよ!」って。

 

僕は、この日、2つの大きなことを学びました。

 

1つはね、料理は誰かのためにすると、すごく楽しいということ。これはね、本当にいい経験だった。今料理を作る時もね、やっぱり誰かに食べてもらえると嬉しい。それが親だったりすると、ちょっと緊張もするんだけど。

 

そしてもう1つはね、病気の老婆に調子乗ってナポリタン食べさせまくると、綺麗なオレンジ色のゲロを吐くということ。 

 

本当にね、こんな家族だけど、今年も元気にやっていけたらいいなと思うんだ。

【明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします】

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コメント

いい話だなぁ~heart02heart02
昨年に引き続き、家族の愛と絆にほっこりする年をお過ごし下さいマセ

投稿: kazz | 2012年1月10日 (火) 00時42分

いつも楽しみにしています☆
今回も笑ったー!
家族の中で一番まともなのは誰ですか?笑

投稿: ひつじ | 2012年1月10日 (火) 02時07分

お兄さん大好きです!

投稿: | 2012年1月12日 (木) 10時07分

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投稿: A9ドッと混む事務局 | 2012年1月12日 (木) 11時01分

あけましておめでとうございます!
今年も楽しみにしています~☆

投稿: セルポワ | 2012年1月12日 (木) 13時56分

初めまして。
「人見知りが美容院に通う方法」を見て
なんて面白い文章を書くライターさんなんだ!
とおもってこちらにたどり着きました。
最高です!
またちょくちょく、訪問させていただきます!!

投稿: キャラメル | 2012年1月12日 (木) 14時05分

はじめまして(o・ω・)ノ))
mixiニュースで、「人見知りが美容院に通う方法」を読んで、このライターさんすごい!!と初めて思いました( ^ω^ )
それで、お名前をググったらtwitterを見つけ(フォローさせていただきました)、こちらに辿り着きましたヽ(´▽`)/
ブログも面白いですね( ´艸`)
応援してます´ω`)ノ

投稿: ももか | 2012年1月12日 (木) 14時23分

はじめまして!
美容院のはなしで、笑いました、一人飲食店で。。。やめてください

ブログ愛読させて下さい(^人^)
これからも、期待してます!!♥

投稿: かな | 2012年1月12日 (木) 15時24分

mixiで斎藤さんの記事を見て
面白いライターがおる!!と
思いググってblogに
辿りつきました⊂(^ω^)⊃
また見にきますっ^^sun
本当に面白いです★

投稿: れいこ | 2012年1月12日 (木) 15時47分

明けましておめでとうございます!
面白かったです(^^)今回も。
まさかのスパゲッティー本数茹で…!
斬新なお兄さんです。笑

次の記事も楽しみにしてます(*^^*)

投稿: | 2012年1月12日 (木) 22時17分

私も皆様と同じくmixiの『人見知り〜』の記事をみてこちらに来ました(^^)めっちゃ笑いました!久々にこんな笑いました(>U<)愛読させていただきますv

投稿: ぺこ | 2012年1月12日 (木) 23時26分

私もmixiニュースで読んでなんちゃらかんちゃらでblogハッケンしました!すっげー笑いました!!凄いです!もうファンです!頑張って下さい!

投稿: りとる | 2012年1月12日 (木) 23時32分

おなじくmixiより参りました。
同じこと考えてる仲間がいっぱいですね。
今後もちょこちょこのぞきます。

投稿: れい | 2012年1月13日 (金) 00時53分

初めまして。わたくしもmixiから探し当てて参りました。


料理の失敗って、圧倒的な想像力の欠如が原因ですよね。
料理を全くしない主人は、たこ焼きの具にネギトロというまさかの刺身をチョイスしたことがあります。トリッキーすぎます。
案の定焼き上がり後はツナになっていました。(おいしかったです)

かく言うわたくしも料理を始めた頃は砂糖と塩を間違えるという昭和の少女マンガみたいな失敗をしでかしたことがあるなぁ…と懐かしく思い出しました。


ブログ更新楽しみにしております。
それでは、また。。。

投稿: ふぇろもん | 2012年1月13日 (金) 01時41分

私もmixiからきました。私美容師で美容室ネタ涙出る程笑いました夜中に1人で携帯片手に…
もっと公に公開してる場はないのでしょうか??かなりファンになりました('-^*)ここでしか見れませんか?

投稿: | 2012年1月13日 (金) 03時14分

私もmixiからきました。私美容師で美容室ネタ涙出る程笑いました夜中に1人で携帯片手に…
もっと公に公開してる場はないのでしょうか??かなりファンになりました('-^*)ここでしか見れませんか?

投稿: J | 2012年1月13日 (金) 03時15分

やばいです!!
ありがとうございます(*_*)

投稿: ちょびこ | 2012年1月13日 (金) 07時28分

mixi記事から追いかけたの初めてですよ笑 松本人志の○○な話出れる…コメント欄のネギトロがツナもおもろかったね笑

投稿: mixiより | 2012年1月13日 (金) 17時53分

mixiで有名になって、今までどんな面白いこと書いててもコメント(1)とかだったのが爆発的に増えたのが嬉しくもあり、寂しくもあり。

これからも応援しています。

投稿: おたか | 2012年1月13日 (金) 17時57分

同じくmixiよりググりました。面白い(´∀`○)!!これは本当に実話ですか?

投稿: まりも | 2012年1月15日 (日) 23時23分

ミクシからです。
参りましたねぇ。面白すぎますw
また寄らせてもらいます^^

投稿: ガンマン | 2012年1月20日 (金) 17時51分

mixiで、あったらイヤなサザエさんと、くしゃみの話で爆笑して、
このテンポがいい文章はまさか~と文末見たら「斎藤アナスイ」とあり、嬉しかったです(・∀・)
ちなみに私の面白いくしゃみのおもひでは、アパートに住んでたとき下のおじちゃんの
「ジュワッ!ジュワッ!」←みたいな音のくしゃみです。そんなおじちゃんを、ウルトラマンてよんでました(笑)

投稿: みわ | 2012年1月21日 (土) 08時09分

あったらイヤなサザエさん。大いに笑わせてもらいました。今後の続編もお待ちしています。私も小ネタブログやっていますので、よかったら遊びに来てください。

投稿: Pass | 2012年1月21日 (土) 18時32分

mixiから来てツイッターの方も見ましたo(^-^)o

めっちゃ面白い!!

また書いて下さいね☆

美容師で美容師ネタが馬鹿ウケしましたo(^-^)o
美容師は恐くないよ〜☆

投稿: かな | 2012年2月14日 (火) 01時42分

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