« 拝啓、春様 | トップページ | 矛と盾とご飯と卵と »

2012年4月 1日 (日)

優しい嘘と贈り物

「いいなぁ。欲しいなぁ。なんか便利なんでしょ」

 

と君が言ったから、3月10日はカード記念日。

 

お母さんが突然「クレジットカードが欲しい」と言い出しまして。まぁうちのお母さんも、いい年ですからね(おかげさまで還☆暦)。クレジットカードの1枚や2枚、持っていてもおかしくない。だから「いいんじゃない?作れば?」って僕も言ったんですけど。

 

お母さん「お兄ちゃんにも言ったら、これくれたんだけど」といって、一枚のカードを大事そうに見つめるお母さん。「これ、クレジットカードじゃないよね…?」って、ちょっと自信なさげに見つめる、その目。

 

うん、それテレホンカードだね。思いっきり「山田まりや」って書いてあるね。ペラっペラだね。

 

僕「でもなんで急に?」
母「だって、なんかかっこいいでしょう…?」

 

僕は財布を取り出し、1枚のカードをお母さんに手渡しました。「お兄ちゃんから貰ったやつは、それ、クレジットカードじゃないから。これ使いな」。僕も、これといってもう使う機会もなかったんでね。おかあさんの喜ぶ顔が見られれば安いものです。

 

「小僧共、集合…!」

 

と君が言ったから、3月13日はカード記念日。

 

お母さん「お前ら、何が目的だ」。急にお母さんが怒り出したんで、何かなぁと思ったら。そういえば3日ほど前に、ABCマートのポイントカード(期限切れ)を渡した、なんてこともあったなぁ、と。兄は自分がテレホンカードを渡したことなどとうに忘れ、ヒナドリのような顔でキョトンとしておりました。

 

お母さん「君たちに質問です。私が欲しいのは、何だったでしょうか?ヒントは「ク」ではじまります」

 

兄「クリスマスツリー」
僕「倉」

 

お母さん「ちょっと難しかったかな?じゃあ大ヒント!2文字目は「レ」です!」

 

兄「クレヨン王国」
僕「クレヨンしんちゃん」

 

お母さん「んー。じゃあ大大大ヒント!クレジット〜!?」

 

兄「クレジット王国」
僕「クレジットしんちゃん」

 

お母さん「よし。じゃあこれからちょっと竹の棒で引っぱたくから、一列に並んで」

 

怖い怖い。何、竹の棒って。どこで拾ってきたの。

 

兄「クレジットカードでしょ」
僕「作ればいいじゃん」
お母さん「だって、よくわかんないんだもん」
僕&兄「…」
お母さん「かわりに作って?」

 

やはりか…。いや、めんどくせぇ。超めんどくせぇ。兄も僕も、こうなることがわかってたので、最初からマトモに取り合わなかったのです。ゴキブリホイホイを組み立てるのも、電球を取り替えるのも、結局は僕らのどっちかがやることになる。毎度。毎回。

 

兄「自分で作りなよ」
僕「そうだよ、できるできる」
お母さん「お母さんは今日、カレーを作りましたー!

 

だから何。いくらなんでも、カレーとクレジットカードは関係ないでしょ。ねぇお兄ちゃん。

 

兄「いや、カレー作ったんじゃしょうがないね。俺も今日、折り紙で手裏剣作ったしなぁー。誰か何も作ってない人いないかなー(チラ、チラ)」

 

な、お前…。兄ちゃん、最近さ、裏切んのはえーんだわ…。強引だし…。絶対手裏剣とか作ってないでしょ。それでもって、あら?この流れはひょっとして?

 

母&兄「(コクン)」

 

わかったよ。わかりました。僕がやればいいんですね。絶対に許さないから。

 

こうして、母のクレジットカードを作ることになった僕。とはいえ、作り方もよくわからないので、まずはグーグル先生に相談です。「クレジットカード、作り方、と」。いくつか方法はあったのですが、書類に記入し、郵送する方法を選びました。まぁWEBが一番手っ取り早いんですけどね。大事な書類なので、今回はお母さん本人に書いてもらおうと思って。

 

数日後クレジットカード会社から届いた、母宛の手紙。

 

お母さん「もうできたの!?」

 

早い早い。参考書買っただけで勉強した気になってる。

 

お母さん「良い会社だねー。この封筒もどことなく良い匂いがするー!」

 

しないしない。お前は黒ヤギさんかと。

 

僕「落ち着いて。まだカードはできてないから。中に入ってる書類に、必要事項を記入してください」。お母さん「はーい!」。うん、返事だけはいいんだよな。

 

正直ね、審査とかは最初から不安視してなかったんです。斉藤家はずっと共働きで、お母さんもそこそこに稼いでいたので。だから、ちゃんと書類さえ書いておけば、あとは楽々申請受理の流れかなと。さぁお母さん、ちゃんと黒のボールペンを使えているでしょうか?

 

お母さん(カキカキ)(チラ)
お母さん(カキカキ)(チラ)

 

僕「いや、なんでチラチラこっち見んの?」
お母さん「あのさ…ちょっと聞きづらいんだけど」
僕「ん…?」
お母さん「『さいとう』の『齋』の字って、これでいいんだっけ?」
僕「…あ、えっと…」

 

自信ねぇ…。いや、自分の名字が漢字で書けないなんて、ホント「そんなバカな」と思われても仕方ないと思います。だって我が家はいつも、家族全員「斉藤」で通してきた。でも、正式には「齋藤」なんです。この「齋」。今まで数える程しか書いたことない。

 

僕「もっと何か『Y』みたいのが入ってたような…」
お母さん「ワイ藤?
僕「いや、齋藤。ワイ藤って誰だよ」

 

そんなこんなで苦戦しつつ、ようやく書き終わったのは数十分後。書類に記入しただけなのに、お母さんは肩で息をしておりました。激戦に次ぐ激戦そして激戦。よく頑張った。お母さん「こ、これで大丈夫かな?」

 

僕「あ、お母さん、ここ。暗証番号書いてないよ」
お母さん「暗証番号?」
僕「そう、好きな4文字。あ、でも誕生日とか、わかりやすいのはやめた方がいいって言うけど」
お母さん「んー。どうしよっかなー」

 

30分後

 

僕(お風呂上がり)「できた?」
お母さん「んーまだ考え中」

 

これね。ドラクエとかで主人公の名前悩み過ぎて、一生始められないパターンね。じゃあ思い浮かんだら呼んでください。

 

お母さん「できた!」
僕「OK、じゃあその封筒に入れて?で、明日ポストに出しておいて?」
お母さん「ラッィジャッュシー!
僕「大丈夫?何か今変な音出てたけど」

 

これで一段落です。お母さんは、もともと無駄遣いをする人ではないので、カードを持ったところで何かやらかすこともないでしょう。まぁまぁ苦労もありましたけど、ここまで喜んでくれたなら、無駄ではなかったですね。

 

数日後-。

 

プルルルル…プルルルル…

 

僕「はい、斉藤ですー」
電話のお姉さん「あ、もしもしー。私◯◯(クレジットカード会社)の者なのですが、●●(母)様はいらっしゃいますでしょうかー?」
僕「えっと、ちょっと今、母は外に出てしまっておりましてー」
お姉さん「あ、そうなんですかー」
僕「あの、クレジットカードの申請の件で何か…?」
お姉さん「あ、お分かりになられますか?」

 

わざわざ電話してくるなんて。何があったのでしょう。仮に審査が通らなかったとしても、それを電話で通達してくることはないはず…。

 

お姉さん「暗証番号がですねー
僕「暗証番号?」
お姉さん「はい。こちら数字しか使えない規則になっておりましてー」
僕「えぇ、えぇ。…え?」
お姉さん「その、こちらにご記入くださった…プヒ…ものはですね…プヒィ…使えないんですよー…プッフゥー」

 

え?何か笑い堪えてる?笑い堪え過ぎてラマーズ法みたいになってる?確かに僕は、お母さんの書いた暗証番号を確認していません。でも、何だろう。暗証番号でそんな面白くなることなんてあるかな。4649とか?

 

僕「あの、それで母は暗証番号の欄に何て…?」



お姉さん「バカボン」



僕「…え?いや、え?何?」
お姉さん「バ、バカ…プヒィー…バカボンって…プヒョー!」

 

その時、数日前の光景が頭の中でフラッシュバックしました。

 

僕「そう、好きな4文字」

 

そうじゃねぇ!!!好きな4文字って、そういうことじゃねぇ!!!!
暗証「番・号」だよぅ!

 

僕「あの…すいませんでした…いえ、イタズラとかではなく…はい。とにかくすいませんでした」

 

電話を切った後は、しばらく放心状態が続きました。「ボンボン…バカボン…バカボンボン…」。無意識のうちに、そんなメロディーを口走っておりました。

 

お母さん「ただいまー」
僕「おかえり。あのさ、クレジットカードのことなんだけどさ…」
お母さん「あぁ。何かあった?」
僕「いや、別にそういうわけじゃないんだけど?もし通らなかったら次も俺、協力するから」
お母さん「突然何ー?熱でもあんじゃないの?」

 

とりあえずお母さんの面目は保った…。
時として、優しい嘘は必要なんだ。そんなことを思う今日この頃です(今日はエイプリルフールですね)。

【1日1回↓の緑(blog Ranking)をクリックして欲しいんですけど。いかがでしょう?】 

Banner2_4

« 拝啓、春様 | トップページ | 矛と盾とご飯と卵と »

コメント

久しぶりの更新o(^-^)o相変わらず面白いお母さんですね!
 
爆笑しながら読んでたら弟に不審がられてしまいました(笑)
 
次も楽しみにしてますね(^O^)v

投稿: 千秋 | 2012年4月 1日 (日) 22時16分

今回もほんとに笑わせてもらいました。今電車ですが、電話のお姉さんのように、プヒーぷフーと笑ってしまいました。いつも楽しい文章で笑わせてくれて有難うございます。次の更新も楽しみにして待ってます。

投稿: 有希乃 | 2012年4月 1日 (日) 22時31分

めっちゃ笑いましたwww
私のツボにぐいぐい来ました!!ブログ楽しみにしてます(o^∀^o)

投稿: | 2012年4月 3日 (火) 20時09分

笑いすぎて、たるんだお腹が少し引き締まったかも(笑)
だって、みんなが寝静まった中でよんだから、声を押し殺してわらうしかないでしょう?
この笑いかたって良いかもclover

楽しかった~note
楽しかった~note
楽しかった~note

投稿: しおから | 2012年4月 3日 (火) 23時05分

斉藤さんのお母さんが愛おしい

投稿: にょう | 2012年4月 5日 (木) 03時38分

いつも楽しく読ませていただいています。
斉藤さんとお母様の大ファンです。
また更新楽しみにしています。

投稿: もこ | 2012年4月 7日 (土) 10時18分

毎回電車で読むという苦行を自分に荷しています。
でもバカボンは無理っす。

投稿: ゆ | 2012年4月10日 (火) 23時22分

面白いですが、ねらー丸出し2chからネタ引用のその芸風はいかがなものかと。

投稿: あ | 2012年4月11日 (水) 23時59分

え~。母どこもわるくない!
全部アナスイさんが悪い!!!
母悪くないです!
好きな4文字っていったもん。
好きな4桁っていわなかったもん。
そうだんなに言ったら、アナスイさんのお母さんと同じ星の人がもうひとりここにいた…って言われてしまいました。

投稿: | 2012年4月13日 (金) 00時03分

あああ~次の更新まだかな~~mixiのほうも楽しみにしてるんで記事載るように祈ってます。

昔水商売やってる時にアメリカンエクスプレスの審査落とされたの未だに根に持ってるから、バカボンで再度送り付けてやろうかな…。

投稿: ふぇろもん | 2012年5月 1日 (火) 02時02分

(◎´∀`)ノこんにちは
はじめましてぇ
あやのんです
あんさんのお母様って
面白いんですね
笑っちゃいました
次も面白いのまってます!

投稿: あやのん | 2012年6月21日 (木) 17時25分

ヾ(´ε`*)ゝこんにちはぁ(◎´∀`)ノ
あやのんですぅ
なぁんかしつこくてすみません
でもいま一番ここにハマってるので
来ちゃいましたぁ(笑)

さてさて
あんさんのブログ(ここ)は
コメントするのに
お金(マネー)がかかるの
でしょうか?
そこがちょっと心配ですぅ
あっ
私のこと、
コメントは
タメ口おkですよぉ

ではでは
よろしくお願いいたしますぅ

あやのんbleah

投稿: あやのん | 2012年6月22日 (金) 17時16分

次回待ってます

投稿: あやのん | 2012年6月22日 (金) 17時58分

次回待ってます

投稿: あやのん | 2012年6月22日 (金) 17時58分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/212070/44715622

この記事へのトラックバック一覧です: 優しい嘘と贈り物:

« 拝啓、春様 | トップページ | 矛と盾とご飯と卵と »