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2012年8月

2012年8月20日 (月)

切手代いくらかわかんないけど、君に届け

自慢じゃないんだけどさー。 

いや、ほんと自慢じゃないんだけどー。 

人生で一回だけ、あの?逆ナン?されたことがあってー。 

知ってる?逆ナン。そうそう、あの、女の子から声かけてくるやつ。漫画とかでよくみるやつ。

「何やってるの?ヒマだったら一緒に遊ばない?」

ってさ。そう、急によ。急に。にょきって。

 

最初はね、何が起こったのかなーと思った。まぁ正直なとこ、ビビったよね。

 

僕「いや、とくに何も。ヒマですけど…」
?「マジで?じゃあ遊びに行こうよー」

 

今までさ、女の子から声かけられたことなんてなかったわけ。それが、突然のこれ。逆転のこれ。まぁ当然警戒もしたよね。行き着く先は、宗教の勧誘か、画の売買か。その2択かな、と。

 

でもさ、21年間生きてきて(当時)、初めての逆ナン。嬉しいじゃん。多分ね、次の機会は、あったとしても21年後。俺、厄年じゃん。その、彼女もいなかったわけだし?まぁちょっとノってみるのもアリかな?って。

 

僕「…マジですか?うん、うん。いいですよ。じゃあどっか行きましょうか?」
?「ホント!?わーい、やったー!」

 

喜んでんのさ。喜んでくれんのさ。それってさ、ハッピーじゃん。こっちのしたことで誰かが喜んでくれるってさ、気分いいじゃん。だからもうさ、こっちもすっかりその気になっちゃって。名前は?君の名前はなんていうの?なんつってね。

 

ナタリー「ナタリー!

僕「ナ?え?」

ナタリー「ナタリー!」

 

へー、素敵な名前だね。で、その何て言うかな。国籍は?

 

ナタリー「インドだよー!」

ホントね、自慢じゃないんだけどさー。一回だけ逆ナンされたことがあって。まぁそれがインド人だったわけなんだけど。 

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いやいや、ね。そんなの全然問題ない。国際化が進んだ現代社会。こういうのもアリあり。いや、アリなんだけど。

 

僕「日本語すごい上手だねー」

ナタリー「そう?ありがとうー。まぁずっと日本にいるからねー」
僕「あ、そうなんだ?」
ナタリー「そう。だから、子どもの頃はずっと自分のこと日本人だと思ってたんだけどー。実はインド人だったの(笑)」

 

まぁ正直迷ったよね。笑うか否か。

 

ナタリー「それ知ったとき結構ショックでさー。すごい悩んで、友達に相談したのね。『あたし、もしかしたらインド人なのかも』って」
僕「うん」
ナタリー「そしたらさー、『いや、あんたどう見てもインド人じゃん!まさか知らなかったの!?』って(笑)」

 

ごめん。俺がその友達でも、多分まったく同じこと言うわ。最初話しかけられたときも、正直、ゾウの話とか聞かされるのかと思ったし。

 

まぁね、確かに日本人の容姿ではなかった。まぁ確かに、インド人の容姿だった(俄然)。

 

でもね、ナタリー。お世辞ぬきで綺麗な子で。明るくって。卑屈な感じも全然しなくって。気になるのは、もし養子になったら、俺ちょっと名字バグるかなってぐらいで。本当に日本語も上手だったし、すぐに違和感もなくなって。

 

僕「えーナタリーはさ、その、ナンパっていうか。さっきみたいに男の人によく声かけたりするの?」
ナタリー「えーしないヨー!ナンパ今日が初めてだよー」
僕「あ、そうなんだ!」
ナタリー「ナンはよく焼くけどネ!

 

だからね、全然問題ない。何か持ちネタみたいの披露されてもオールOK。

 

僕「で、どうしよっか?お茶でもする?」

 

でもさ、習ってないんだよね。インド人の女の子が何したら喜んでくれるのかって。どこ連れてったら楽しんでくれるのかって。だからまぁ、初手は手堅くお茶かなと。テーかなと。

 

ナタリー「んーそれもいいけど、お腹すいてない?」
僕「あー空いてるっちゃ空いてるかも」
ナタリー「アタシお腹ペコペコなんだよねー。まずご飯食べに行かない?」

 

なるほどね、最初にご飯。まぁまぁそういう流れもアリかなって。たださ、問題はここからだったよね。

 

僕「何食べたい?」
ナタリー「んーどうしよっかなー」
僕「じゃあ適当に歩いてみる?」
ナタリー「あ、あそこは?」

 

えっと?あの黄色い看板はたしか…?

 

僕「…コ、コココ、ココイチ…?」

 

ホントね、軽く目眩した。

 

ナタリー「カレーにしよっか?」
僕「え、あ、うん、でも、あの」

 

いやいや!いやいやいやいや!それはいくらなんでも、ねぇ?あの、もうちょっと歩かない?ね?

 

ナタリー「行こ!☆」
僕「…うん」

 

俺ね、一生忘れない。店に入ったときの、店内に駆け巡った緊張感。店員さん、やめてー。その「え、お前、何本場の人つれてきてんの?それ、暗黙のやつじゃないの?」って目。わかってる。ごめん。でも、俺だって怖いんだよ。

 

ナタリー「あたしココイチ大好きー」
僕「ぇ!あ、そうなんだ!」
ナタリー「うん、友達とよく行くよー」
僕「そっかそっか! じゃあよかった!ホントに!」

 

あ!あぁ!よかった!食べたことあるんだ!でもそれを知らない店員さんはね、多分水持つ手、じゃっかん震えてた。スプーンとか、いつもよりワンテンポ遅めに来た。「俺達は、今、試されている…!」、そんな形相。もちろんナタリーは何も悪くない。店員さんも何も悪くない。俺が全部悪い。

 

でさ、お腹いっぱいになって。じゃあいざどうしよかってなって。次どこ行きたいか聞いたのね。そしたらさ、

 

ナタリー「カラオケ行きたい!カラオケ大好き!」

 

って言うわけ。いや、俺もカラオケ嫌いなほうじゃないし?まぁ行っちゃうよね。今思うとね、インドの女の子と2人でカラオケ行くのって、中々貴重な 体験だったなー。行ったことある?ないでしょ?これ「いいとも!」でアンケートとったら、多分ストラップもらえるよね。

 

でさ、いざカラオケ入ったわけなんだけど。ナタリー、キャッキャッしちゃってて。それはまぁ、正直微笑ましいなと。でさ、インドの女の子って何歌うと思う?

 

やっぱりインドの曲?それとも流行りのJpop?んーん、違った。

 

ナタリー「あいたーくーてー、あえなーくーてー、何度も受話器を置いたー♪」

 

まさかの。まさかの、松たか子だった。『コイシイヒト』だった。しかもまたね、これが超ウマいの。正直今の今まで、頭の中でダルシムステージのBGM流れてたけど、一気に引き込まれたよね。

 

あの、さっき俺さ、彼女いなかったって言ったじゃん?実のとこね、数日前に失恋してたのよ。まぁ詳しくは語らんけども、ちょっぴりセンチだったのね。一人暮らしで風邪引いたときぐらい、孤独だったのね。

 

ナタリー「えいえーんにー、えいえーんにー、このむーねーのなーかー♪…え!?どうしたの!?」

 

気がついたら俺、泣いてた。インド人の前で俺、号泣してた。何も知らない人がこの光景みたら、「あれ?説法身に沁みちゃってる系?」って感じだったと思う。

 

ナタリー「大丈夫!?」
僕「いや、ごめんごめん。気にしないで」
ナタリー「いやいや、それは気になるでしょ!」
僕「…いや、実はさ…」

 

話したよね。失恋話。当時は友達とかにも話せなかったんだけど、逆に全然知らない間柄だったからこそ、あんなにも話せたんだろうね。正直、今最高に落ち込んでる。食欲もない。ナタリーも「うん、うん」って聞いてくれてさ。それでもって、閃いたような顔して、言うわけさ。

 

ナタリー「わかった!そういうときはヨガがいいよ!」

 

うん、やっぱそうだよね。失恋したときはヨガに限るよね。限んねーよ。

 

ナタリー「ヨガやるとねー、結構いろいろスッキリするよ」

 

なんかね、いつもお母さん(インド人)にヨガ教えてもらってるだって。で、お父さん(インド人)も交えて一緒にやってるんだって。これが、悩んでる時とかによいんだって。よいんだってさ。

 

もうねー、ありがたいじゃん。カレーとかね、ヨガとかね。この子、絶対俺を楽しませようとしてくれてる。俺の期待を裏切らないようにしてくれてる。 わかりやすく、わかりやすくしてくれてる。そこまで言われたらさ、俺だって退けないよ。

 

僕「ヨ、ヨガってどうやるの?」
ナタリー「お?やる気になった?」
僕「うん、俺、やってみるよ!」
ナタリー「ヨシ!じゃあバッタのポーズ!まずうつ伏せに寝てー!」
僕「こう!?」
ナタリー「アゴは床につける!」
僕「はい!それから!?」
ナタリー「足!上げる!」
僕「はい!」
ナタリー「もっと!もっとイケる!」
僕「んんんんん!」

店員さん「(コンコン)失礼しまーす!こちらメロンソ…ダ…」

バッタ「あ、そこ置いといてください…」

 

もうさ、完全にアレだよね。虫だよね。ナタリー、涙流して笑ってるよね。

 

で、なんだかんだで夜も更けて。バイバイの段階になってさ。いや、ホントに楽しかったんだよね。ナタリーも楽しそうにしてくれてたし。

 

マジでね。あの日あの時あの場所で、声かけてくれてサンキュッて。そして「ごめん、あたし今ちょっと携帯持ってなくてさ。あ、じゃあ君の携帯貸して?『ナタリー』で番号入れとくね」、最後にそう言ってくれてサンキュって。

 

家帰ってから、何度も何度も見返したよ。携帯に、新しく入ったナタリーの名前。「内藤君」と「奈良原似(日ハム)」の間だった。

 

「会いたくて会えなくて何度も受話器を置いた 永遠に永遠にこの胸の中」

 

本当にこんな感じだったなー。初めて電話した夏の夜のこと、今でも忘れないよ。あの日、君が入れてくれた電話番号。何度も携帯を開いては、何度も携帯を閉じた。でも、決心してね。君の名前にカーソルを合わせて、俺、ゆっくりとボタンを押したんだ。

 

(プルルルルプルルルル)

インダス川「ナマステー!アップコンボルラへホー!?

僕「すいません、間違えました」

 

ねぇナタリー、聞こえる?今君に電話しようと思ったら、現地につながったよ?そっか。携帯、本当に持ってなかったんだね。日本語って難しいね。

 

そんなわけでさ、ナタリーが今何してるかとかは、ちょっとわかんないんだよね。そう、ごめんね。

 

でもさ、例えば今日みたいな日が来るとね、ふと思い出すんだよ。ナタリーが話しかけて来てくれたこと。二人でカラオケでヨガやったこと。今日みたいに、お昼カレーで、夕飯もカレーだと、思い出すんだよ。元気でやってんのかなって。楽しくやってけてるのかなって。

 

君はもう、俺のことなんて、きっと覚えていないだろうけどもさ。まぁそれはそれで、いいんだけどさ。

 

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