2007年10月 2日 (火)

下町七不思議 其の四

Sitamati4_2 世界には未だに解明できない怪奇現象や生物が確かに存在している。そして東京のとある下町で起こったそんな不可思議を紹介していくコーナー「下町七不思議」。これらの話はすべて確かに起こった事実である。
恐怖への扉が今開かれる・・・・。


━拾いっ子ちゃん

「はぁもったいないもったいない」

振り返ると奴がいる。妖怪拾いっ子ちゃんだ。主に粗大ゴミ置き場などで目撃情報が集まる。拾いっ子ちゃんはあらゆる物を拾う。早朝や深夜といった人気のない時間に現れては、行動に出る。その老婆のような外見とは裏腹に、かなり大きな物も拾い、住処に持ち帰るその姿は豪快といった形容がふさわしい。ときに台車も使いこなすが、その台車もおそらく拾った物なのだろう。1分間に15回ぐらいの頻度で「よっこいしょー」と叫ぶ。別にこれといった被害は出ていないし、リサイクルの観念から一見すると自然に優しいようにも見えるが、拾った物の用途は我々の考えでは及ばないところがあり怖ろしい。鍋も拾うし、紐も拾う。ヤングマガジンも拾う。テレビや電子レンジはわかるが、中華料理のメニューの書かれた看板なんかは一体どうするつもりなのだろう。考えるだけで身震いしてしまう。

ライバルはカラスで、日々縄張り争いを繰り広げている。さっき拾った「閉店セール」と書かれた旗を振り回しカラスを追っ払う姿は、圧巻の一言である。見た事もない果物をぶつけて追い払うこともある。ちなみに人間には優しい。

なお拾いっ子ちゃんに関する目撃談が寄せられた。

S藤 アナスイさん・22歳・大学生 からの目撃談

「はい、頻繁に見ますね。いやー別に特別ではないですよ。うちのおばあちゃんもそうなんですけど、けっこう何でもとっておくところがあるんですよね。それはもう使わないだろって物でも。うん、そういうのの延長なんじゃないですかね」

こうれという被害が出ていない件についてはどうなのだろう。

「うーん、被害・・・ですか。そうそう出ないと思いますよ。拾いっ子ちゃんは誰かが捨てたものを持ち帰るのが基本ですからね。うん、悪い妖怪ではないんでしょう。縄張りを荒らしたらどうなるのかはわからないですけど。全身緑の服着て背中にギターケース背負ってたときはビックリしましたけどね。亀バズーカかと思いましたもん」

なるほど特に危惧すべき妖怪でもないようだ。ただ一つS藤氏から気になる一言が聞かれた。

「ただね、1回拾いっ子ちゃんを駅前で見たんですけどね。はい、そうです。いつも通りもったいないもったいないって言って。止めてある自転車を持って帰ろうとしてたんですよね。まぁまぁ、気持ちはわからなくもないですけど、それはさすがに窃盗だろう、と(笑)」

S藤氏はなおも続ける。

「なんかね、ちょっと学ばなきゃって思いますよ。拾いっ子ちゃんの精神はね、切って捨てるにはやっぱりもったいないですよ」

もしかしたら、確かに拾いっ子ちゃんのその精神は我々現代人が、忘れてはならないものなのかもしれない。物が溢れ、ゴミが溢れたこの社会。すぐに取替えられるこの社会。騒がれているリサイクルもエコも、全て先人のほうがはるかに優れていたのではないだろうか。これからは大事にするを大事にしなければいけない。それまだ使えるんじゃない?買い換える前に、今一度考え直してみてはどうだろうか。

「はぁ、もったいないもったいない」

ほら、拾いっ子ちゃんの声が聞こえてくるぞ。

世界には未だ解明できない怪奇現象や生物が確かに存在している。今ロウソクの火がまた一つ消された。

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2007年8月 3日 (金)

下町七不思議 其の三

Sitamati3 世界には未だに解明できない怪奇現象や生物が確かに存在している。そして東京のとある下町で起こったそんな不可思議を紹介していくコーナー「下町七不思議」。これらの話はすべて確かに起こった事実である。
恐怖への扉が今開かれる・・・・。


━からくりババァがやってくる

からくりババァ。

機械と一心同体のババァ。からくりババァは止まらない。原付自転車にまたがり町中を颯爽と走り抜ける。主に車道で発見できるが、たまに歩道でも見かける。そしてその悪行は、何の罪もない歩行者や車に多大な迷惑をかける。例え歩道でもクラクションを鳴らして通る凶行ぶりである。ほとんどの場合ヘルメットは被っておらず、一方通行もなんのその。人間界のルールを破る危険極まりない妖怪。

ただスピードは時速7キロほどなので、その点ではそれほど被害は聞かれない。チャリやものすごい綺麗なフォームで走る女子に簡単に抜かれていく。からくりババァがまたがるのは、歩くのが辛くなった高齢者が乗る補助的なそれではなく、確かに原付である。車種は白のDIO。不気味に薄汚れたその車体のカゴには、たくさんの荷物や野菜が積まれている。

都心または通行量の多い道路にはからくりババァは表れない。複雑に入り組んだ路地や、地元の人しかわからないような陽の当たらない小道。いわゆる下町らしい道がババァのテリトリーだ。あまり警察の目の届かないような独自の文化、町並みが生み出した妖怪なのである。

なおからくりババァに関する目撃談が寄せられた。

S藤 アナスイさん・21歳・大学生 からの目撃談

「あ、はいはい。からくりババァね。僕の家の横の路地でもよく見ましたよ。別に怖くはないけど迷惑ですよね。どこでも原付で走りますからね。え?ヘルメット? いや、僕が見たときはちゃんと被ってましたよ。広島カープのやつでしたけどね。僕それ見たときその場でうずくまりましたもん。笑いすぎて。そうですそうです、例の赤ヘルです。ファンが被ってそうなやつ。まぁどっちにしろ違反なんですけどね」

なぜ原付に乗り続けるのか。S藤氏はこう続ける。

「普通のおばちゃんのいわゆるチャリ代わりなんでしょうね。確かに原付のほうが漕がない分楽ですし。何せあの荷物ですからね。いつも小旅行レベルの荷物積んでますもん。あ、でも動かなくなった原付をガンガン蹴ってたときはビックリしましたね。たぶん単純にガス欠かなんかだと思うんですけど。衝撃与えたら直るって昭和のテレビじゃないんだから。まぁ、はい、ざまあみろって感じです(笑)」

人間界の掟では決して縛れない妖怪たち。ただそんなからくりババァも最近では影を潜めているという。

「最近じゃこの辺もかっちり整備されちゃって。それがからくりババァとしてはやりずらかったんでしょう。あ、でも元気そうですよ。からくりババァから普通のババァになっただけです。まぁでもそうゆう迷惑行為がなくなったのは確かにいいんですけど、少し寂しい気もしますね。下町の味が薄れたと言うか。良くも悪くも健全になったんです。」

S藤氏はなおも続ける。

「人間に住処を破壊されるのは、動物だけじゃなく、また妖怪もそうなんでしょう。」

からくりババァが鳴らすクラクションは、もしかしたら人間の自然破壊に対する警鐘だったのかも知れない。

世界には未だ解明できない怪奇現象や生物が確かに存在している。今ロウソクの火がまた一つ消された。

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2007年2月19日 (月)

下町七不思議 其の二

世界には未だに解明できない怪奇現象や生物が確かに存在している。そして東京のとある下町で起こったそんな不可思議を紹介していくコーナー「下町七不思議」。これらの話はすべて確かに起こった事実である。
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━ジジィ樹の快

ジジイ樹(じじいじゅ)。

天気のよい日、陽だまりの下の公園のベンチなどで目撃することができる。夕方、日が落ちると住処へ帰って行く。動きは遅く、どうしてもそのベンチに座りたいとき以外は被害もない。とにかくベンチに座って動かない。もしかしたらベンチに根付いているのかもしれない。太陽光をありがたがるところから、おそらく光合成をしているものと思われる。しかし、そこで水を欲しがるかと思いきや酒(日本酒か焼酎)のほうが喜ぶなど、まだまだ謎が多い妖怪。酸素はそれほど必要としない。肌は乾燥してパッサパサ。

出かけるとき通りかかった公園で発見、用事を済ませた帰り道にまたその公園を通りかかったらまだいる、なんてパターンも少なくない。ジジイ樹よく似た妖怪で高い鉄棒にただただぶら下がっているジジイ蔦(じじいつた)もいる。姿だけではなく、行きも帰りもぶら下がっているという点も酷似している。ただジジイ蔦はジジイ樹に比べ動きも俊敏で活発である。そんなジジイ蔦がジジイ樹より先にポックリ逝ったりするからわからない。

孫に弱いジジイ樹。

ハトがよく似合うジジイ樹。

声をかけたり、挨拶をすると喜ぶ。ただ口数は多くない。他に音に反応する植物としてはフラワーロックなどがある。

よく見たら身内だったりする

なおジジイ樹に関する目撃談が寄せられた。

S藤 アナスイさん・21歳・大学生 からの目撃談

「いやぁよく見ますよ。うちの近くに割りと大きな公園があるんですけどそこではもうしょっちゅうですね。特に春先なんかは。まぁ大体4割ぐらいはうちのおじいちゃんなんですけど。ぶら下がってる方とも仲いいみたいですよ。あ、でもあんまり好きではないみたいです。」

なぜずっとそこにいるのかは孫のアナスイさんにもわからないという。

「なんですかね。え?光合成?かも知れませんね。ただ家でご飯食べてますよ。えぇ、そうです、基本は魚です。」

みなさんもジジイ樹を見かける事があるかもしれない。そのときはどうか声をかけてあげて欲しい。ジジイ樹はどちらかというと若い女の子に声をかけられたほうが喜ぶ。あらゆる意味で枯れてないのだろう。

しかし冷たい言葉はご法度だ。なぜなら彼らは陽だまりの温度を好むのだから。

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2007年2月 8日 (木)

下町七不思議

世界には未だに解明できない怪奇現象や生物が確かに存在している。そして東京のとある下町で起こったそんな不可思議を紹介していくコーナー「下町七不思議」。

恐怖への扉が今開かれる・・・・。


━こうもりババァの怪。

こうもりババァはとある建物の二階にある美容院から出現する。どういうつもりか頭にはロッドを巻いたまま、体には切った髪の毛が服につかない為の、あのケープというか前掛けをつけたままの姿で現れる。ケープの色は漆黒。その異形たるや凄まじいものがある。異形も異形。その姿を見たものはあまりの恐怖にその場で立ちすくんでしまうであろう。
こうもりババァの怖さはそれだけではない。こうもりババァの動きは非常に機敏だ。階段を一段ずつ下りてきたと思えば、最後の三段ぐらいでジャンプして着地するのだ。ババァの動きとはとても思えない。我々の常識が通じる相手ではない。もし追いかけられたとしても、この飛行能力の前では逃げることは不可能だろう。
その最後のジャンプをした時に、漆黒のケープの中に風が入り、ケープが膨らむ。その姿がまるで巨大なこうもりが翼を広げているように見えるところから、こうもりババァと呼ばれるようになったようだ。
そしてこうもりババァは目的のために手段を選ばない。その姿のまま、近くのコンビにへと入っていく。そうして店内にいる人もまた、恐怖のどん底へと落とし込まれる。
そして狙った獲物(おでん)を捕らえたババァは、満足そうにまた美容院へと戻っていくのだ。

こうもりババァの目撃談が寄せられた。

S藤 アナスイさん・21歳・大学生 による目撃談
「えぇ、そりゃもうビックリしました。まさかあの姿のまま出てくるとは。何か階段で飛んだし。夜だったらちょっと泣いていたと思います。きっとパーマでもかけてる最中に小腹が減ったのでしょう。それから気になってずっと見てたんです。でもお釣りを募金箱に入れてたし、もしかしたらいい妖怪なのかも知れません。え?お会計は全部小銭でしたよ。」

この事件以来S太さんはこの美容院の前をなるべく避けているという。もう二度とこうもりババァの姿を見たくないからだそうだ。

「そうですね、次会ったらなんだか生まれ育ったこの街が嫌いになっちゃう気がして。」

みなさんも二階に美容院がある建物の前を通るときは、気をつけたほうがいい。こうもりババァが漆黒のマントをひるがえし飛び回っているかも知れないのだから。

世界には未だ解明できない怪奇現象や生物が確かに存在している。今ロウソクの火がまた一つ消された。

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