2008年3月12日 (水)

あんしんぼ

Ansinbbo 「今回の究極のメニュー対至高のメニューの対決は、『貧乏くさい料理』をテーマといたしました。それに関しての材料や様式は全て自由に取り組んでいただきます」

審査員の一人である男がそう話した。海原おとこやまが中心となり料理を考える至高のメニュー。そして俺、山岡アナスイが担う究極のメニュー。同じテーマでどちらが優れたメニューなのかを競うこの会合は、今までにも何回か行われてきた。海原おとこやま、非常に格式の高い会員制である美食倶楽部のトップであり、そしてまた俺の血の繋がった父でもある。しかし親子とは名ばかりで、俺はやつを許してはいないし、またおとこやまも俺のことを忌み嫌っている。究極のメニューの看板のためにも、そして俺のプライドのためにも、この勝負負けるわけにはいかないのだ。

「それでは究極の貧乏くさい料理から、発表していただきましょう」

俺たちが用意した料理が、それぞれ審査員の前に配られる。それを見た審査員が一様に驚いた顔をした。

「こ、これは・・・卵かけご飯!?」



-3日前の昼休み。

「ねぇ山岡さん。貧乏臭いってどういうことなのかしら?」

究極のメニュー作りのパートナーであるマロンゆう子が聞いてくる。その質問に対し、俺は明確な答えを出せずにいた。

「うーん、難しいね。まぁあまり高級な材料は使えないだろうなぁ。貧乏くさい、か・・・」

実際今回のテーマは抽象的でかなり難しい。一口に貧乏臭いと言っても色んな捕らえ方ができる。例えば今言ったように材料費を安く抑えるだとか、普通なら捨ててしまう余りものを材料に料理をするとか。しかし、それでは何かが違う気がするのだ。何かが足りない。

「あれ?マロンさん、今日はお弁当なの?」

俺はふとマロンさんが机に広げたそれが気になった。

「えへ、ちょっと給料日前でお金がなくってね。久しぶりのお弁当。大学のときはよく作ってたんだけどなー」

「はは、そうなんだ。俺が学生の時は・・・。・・・」

「・・・山岡さん?」

それは突然の閃めきだった。自分の体内に一筋の電撃が走ったような気分だった。

「・・・そうだ、そうだよ!その手があった!」

「え!?急にどうしたの山岡さん!?」



-「はい、我々が用意したのは見ての通り卵かけご飯です。俺は学生時代お金がなくて毎日のようにこの卵かけご飯ばかり食べていました。卵かけ=青春と言っても過言ではありません。お前といるとヒヨコ妊娠しそう、と彼女にフラれたことだってあるほどです。低コストで飽きが来ない。そしてお腹がふくれる。これこそが『貧乏臭い料理』にピッタリだと考えました。卵はスーパーの特売品を使用しております」

卵かけご飯を食した審査員達は、皆満足そうな顔をした。「懐かしい」、「やはりうまい」、「うぅ、ばあさんや。なんで先に逝っていもうたんじゃ」、などとそれぞれがそれぞれに感想を口にしている。審査員達の評判は上々だ。これなら勝てる。

そのときだった。会場に笑い声が響いた。

「ふ、ふふ・・・!ふはははは!わーはっはっは!」

「お、おとこやま!何がおかしい!」

「ぎゃはははは!ひぃー!ひぃー!ぎゃ、ぎゃあっはっはっは!」

「いや、だから!おい!おとこやま!」

「お腹痛いお腹痛い!ちょ、誰か助けて!ヘルプ!ヘルプ!」

「落ち着けって!」

「はーはー・・・。あー・・・。ふん、これが貧乏臭いだと!?笑わせるな!士郎!」

「士郎とか言うな!アナスイって言ってるだろ!一体どういうことだ!?」

「お前は大きな間違いをおかしている!」

「なんだと!?」

「確かに卵かけご飯は安くあがるし食べ応えもある。しかし貧乏臭い料理と庶民的な料理は同義ではない。おい、私の料理を皆さんの前へ!」

「こ、これは・・・!?」

そこには割り箸に刺されたきゅうりが一本横たわっていた。とろっとした何かがかけられている。これは・・・ハチミツ?

「これが至高の貧乏臭い料理。メロン棒だ。どうぞ召し上がれ」

「な・・・」

「どうですみなさん。きゅうりにハチミツをかけるとメロンの味がするでしょう。すごーい」

「や、やられた・・・。なんて貧乏臭いんだ・・・」

「それだけではない。次の品を!」

おとこやまがそう言うと、係りの者が次の料理を審査員たちの前に運んだ。

「こ、これは・・・?」

「私も究極のメニューの考え方にはある程度共感ができる。しかし我々の至高のメニューはそれだけではない」

そう言ったおとこやまがチラリとこっちを見た。一瞬だが目が合う。怒りと悔しさが入り混じった感情が沸き立つ。

「くっ!おとこやまめ!」

「これは『輪ゴムかけご飯』だ。どうぞ召し上がれ。卵かけごはんとは違い、なんとこちらはずっと噛んでいられる!」

「もはや食べ物ですらないじゃないか・・・!」

「士郎」

「アナスイだって言ってんだろ!何だよ!?」

「私の髪の白い部分、これ実はメッシュ入れてんだよね」

「な!?料理とは一つも関係ないけど、それは確かに貧乏臭いというか安っぽいというか・・・。とにかくちょっとショックだ・・・!」

「チーズバーガー大好き」

「わかった・・・。もうわかったからこれ以上イメージを壊さないでくれ・・・」

「マイミクシィどうぞ」

「あ、あぁ・・・」

もう、ダメだ・・・。もう・・・。



「結果を発表します!勝者は究極のメニュー側!」

その発表に俺は驚いた。俺が覚悟していた結果とまるで逆だったからだ。そしてそれはおとこやまも同じであるようだった。

「・・・なぜだ?至高のメニューのほうが遥かに貧乏臭かったではないか」

「え?だってお前の輪ゴムの変なの食べ物じゃないし」

会場にその日二度目のおとこやまの笑い声が響いた。

「ふ、ふふ・・・!ふはははは!わーはっはっは!」

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2008年2月26日 (火)

MUKASI  BANASI

Mukasi_banasi_3 原作: 『桃太郎』

英訳: 斉藤 アナスイ(英検4級)-『あん』管理者





ムカシムカシ オジー&オバー イン アルトコロ。オジー シバカット マウンテン。オバー ウォッシュ リバー。オバー ウォッシング イッチョウラ 、ビッグピーチ ドンブラコドンブラコ。 オバー イタダキ ビッグピーチ。

「ヘイ、オジー!ラッキーラッキー!」

「ワオ!オバー!ベリー デカシタ!」

ビッグピーチ マップタツ イン ザ ナイト。ナントビックリ ボーイ イン ピーチ。

「ワーオ、イッツ ミラクル!」

オジー&オバー コシヌカシ 3デイズ。

「ヘイ、オジー!ディス イズ ピーチジョン!」

「イエス!ディス イズ ピーチジョン!」

ザ ボーイ イズ モモカラウマレタ ピーチジョン。ピーチジョン イズ スクスクオオキク。スクスクオオキク アットイウマ。

-ピーチジョン イズ 15ズ ナイト。  

「ヘイ ピーチジョン。オデカケ?リッツパーティー?」

「ノー。アイ ゴー トゥー オニタイジ」

「ワッツ?」

「オジー&オバー アイ ゴー トゥー オニタイジ!」

「WAHAHAHAHAHA!イッツ ベリー ナイス ジョーク!PJジョーク!」

「ヘイ!ノー ジョーク!リアル!ザ リアル!」

「・・・リアル!オー、オーケー!」

オバー プレゼント キビダンゴ ピーチジョン。キビダンゴ イズ ワガシ。デントウノアジ。ピーチジョン ゴー トゥー オニタイジ バイ バイセコー。

ピーチジョン バッタリ ドッグ。

ドッグ 「ヘイ ピーチジョン!プリーズ キビダンゴ!オニタイジ スケット!バウワウ!」

ピーチジョン プレゼント キビダンゴ ドッグ。ドッグ ゴー トゥー オニタイジ。トゥギャザーシヨウゼ。

ピーチジョン バッタリ モンキー。

モンキー「ヘイ ピーチジョン!プリーズ キビダンゴ!オニタイジ スケット!ウキー!」

ピーチジョン プレゼント キビダンゴ モンキー。モンキー ゴー トゥー オニタイジ。トゥギャザーシヨウゼ。

ピーチジョン バッタリ ナンカシラナイ マイナーバード。

キジ「ヘイ ピーチジョン!プリーズ キビダンゴ!オニタイジ スケット!キジ!」

ピーチジョン「ノーサンキュー」

ピーチジョン イズ ノット ノートイエナイニホンジン。キジ イズ サミシソウナセナカ。マァイッカ。

ゼイ オジャマシマス オニガシマ。ワーオ。ライト モ レフト モ オニ オニ オニ。バトル スタート!

ピーチジョン スイング カタナ。

ドッグ パックリ ノドボトケ。

モンキー ヒッカキ コドモノケンカ。

キジ オウチデ マクラヲヌラス。

ウィナー イズ ピーチジョン。オニ ドゲザ 6デイズ7ナイツ。

イエス!ザ ジャスティス ウインズ!

ハナサク スマイル!スマイル イズ 1000000ドル!

イエー!オーイエー!

(Fin)

次回予告 金太郎

『ベアー VS ザ・ゴールドマン』

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2007年12月28日 (金)

D-NOTE

Death 学校の授業は退屈だった。窓から眺める景色だけが僕を少しだけ救った。斉藤アナスイ22歳。大学生。

その日もいつものように窓の外を眺めていると、キャンパスの片隅に、薄い何か黒い長方形が落ちているのに気づく。

「ん?なんだあれ?」

授業が終わって外に出ても、それはまだそこにあった。近くで見て初めてそれがノートだと気がついた。誰からも拾われなかったのか。確かに漆黒のノートなど気味が悪い。触れたくないというのもわかる。しかし、アナスイは違った。誰もが避けたこのノートを何のためらいもなく拾う。昔から落ちているものに何の抵抗も示さないことだけがアナスイの取り柄だったのだ。その表紙には「DEATH NOTE」と書かれていた。

「こ、これは・・・!?ま、まさか・・・デアスノーテ!?」

アナスイはあまり英語が得意ではない学生だった。そのヒヨコレベルの英語力では、何か書かれている英語の説明文のようなものもやはりわからない。とりあえずアナスイはノートをカバンに入れて持って帰ることにした。昔から落ちている物は口かカバンに入れるように教育されてきたのだ。

『書く人物の顔が頭に入っていないと効果はない ゆえに同姓同名の人物に一遍の効果は得られない』

『名前の後に人間界単位で40秒以内に死因を書くとその通りになる』

『死因を書かなければ全てが心臓麻痺となる』

『死因を書くと更に6分40秒詳しい死の状況を記載する時間が与えられる』

ようするに名前を書かれた人は死ぬ、ということか。なんだこれ、くだらない。こんないたずらよくやるよな。辞書を調べてようやく導き出した説明に対するアナスイの感想はそんなところだった。こんなことをしてないでブログの更新でもしようか、と思ったそのときだ。

「ふ、ふふ」

誰もいないはずの後方から急に声が聞こえた。アナスイは恐る恐る後ろを振り返った。

「う、うわぁあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!おばけぇぇぇぇえええええーーーー!!!」

そこにいたのは異形の、何とも不気味な姿。全身真っ黒で、目は飛び出し口は大きく裂けている。まるでこの世のものとは思えなかった。

「だ、だ、だ、だ、だ、誰!?おばけ!?おばけ!?おばけぇぇぇぇえぇえええーーー!!!」

「何故そんなに驚く。そのノートの落し主、死神のリュークだ」

「し、し、し、死神!?・・・おばけぇぇぇええええぇぇえええーーーー!!!」

「いや、だから聞けって・・・」

落ち着くまでかなりの時間を要した。だって目の前に死神がいるのだから仕方がない。お化けでないことはようやく理解できたが、それでも動揺は隠せない。死神?死神ってあの死神?あの死神ってどの死神?

タバコに火をつける。その煙がアナスイの考えをいくらか冷静にさせた。どうやらこのノートは本物だと思ってもいいようだ。まだ誰の名も書いていないので効果を試したわけではないが、実際死神が見えるようになっただけで説得力は十分だった。

名前を書いただけで人が殺せる?マジで?大嫌いなあいつも。どんな悪人も。そんなのって最強じゃないか。使い方によっては世界だって変えられる。このノートの力がある以上、僕は、そう、神だ。無敵の神だ。

その日アナスイは眠れなかった。突然手にすることになった強大な力に対する緊張感と恐怖に何度も吐き気を催した。そしてその裏側にある悦びに打ち震えていた。




朝になると時計が予想外の時間を刻んでいる。やばい。アナスイは焦った。昨日夜更かしが過ぎて予定時刻に起きれなかったようだ。学校に行かなければ。遅刻だ。目を開けるとリュークの怖ろしい顔がすぐそこにあったおかげで、驚いてすっかり目は覚めた。最悪の気分だったけれど。急いで準備をし、家を出ようとする。靴を履こうとするアナスイに声がかかった。後ろからだけど、リュークではない。

「アナスイ、朝ご飯食べていかないの?」

ババァだ。

「いらない。時間ない」

「もう、せっかく用意したのに。肉骨粉」

「そんなもん食わねーよ!」

そう言い終わるか終わらないかのうちにアナスイは家を飛び出していた。リュークが背中で笑っていた。

家に一人残されたのはババァである。さぁて勝手に息子の部屋の掃除でもしようかと、そのドアを開けた。息子の部屋は相変わらずひどい散らかり様だ。空になったペットボトル。辺りに敷き詰められた洋服。散らばった漫画と何故か2本ある『トバルNo1』。そしてババァは机の上に一冊の見慣れぬノートを見つけた。漆黒のノート。DEATH NOTE。ババァはそれを手に取った。

「何かしらこれ?ノート?」

ババァは小さくため息をついた。

「まったくあの子ったら持ち物にはいつも名前を書いておきなさいって言ってるのに。しょうがない子ねぇ」

ババァは気をきかせたつもりでノートに息子の名前を書いた。ふふん♪とご機嫌で綴られる、ババァ独特のいつものその丸文字には神の力が宿っていた。




‐斉藤アナスイ 死亡 

 死因 心臓麻痺




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